PDFを閲覧する際に「ツールバーをすべて非表示にしたい」と思ったことはありませんか?
例えば、印刷物のようにクリーンなページ表示だけを強調したいとき、学習資料を共有するとき、またはデザインのプレゼンテーションで観客の注意を散らさないようにしたいときに便利です。
このガイドでは、初心者でも安心して取り組める設定手順と、知られざる裏技を中心に、代表的なPDFリーダー(Adobe Acrobat Reader, Acrobat Pro DC, Foxit Reader, PDF.js, Chrome, Edge, モバイルブラウザ)でツールバーを非表示にする方法を解説します。
さらに、カスタム設定を保存する方法や、PDFファイル自体に埋め込む方法も紹介しますので、業務で頻繁にPDFを扱う方は必見です。
1. ツールバー非表示のメリットと注意点
ユーザー体験の向上
- 視覚的ノイズの削減:ページに集中でき、情報が散乱しにくくなる。
- プレゼンテーション時のスマートさ:無駄なオプションが見えないことで、観客の目線が画面全体に向きやすい。
注意点
- 操作性の低下:検索・ページ移動・印刷・ツールへのアクセスがしにくくなるため、設定の解除方法を覚えておきましょう。
- ユーザーによっては逆に負担になる:多機能を必要とする方にとっては、操作が不便に感じるかもしれません。
2. Adobe Acrobat Reader DC でツールバーを非表示にする
Adobe Acrobat Reader DCは最もポピュラーなPDFビューワーのひとつです。ここでは「画面モード」の設定と「印刷時の設定」を活用します。
2.1 画面モード(「閲覧モード」)の設定
-
File > Preferences(ファイル > 設定)を開く - 左側のリストから
Page Display(ページ表示)を選択 - 右側で
Page Layout(ページレイアウト)をSingle Page(単一ページ)に設定(複数ページと比べ注目点が分散しづらい) -
Displayセクションで-
Show Page Background(ページ背景表示)をチェック(デザインによっては白背景が必要) -
Always Show Menu BarとShow Toolbarsのチェックを外す
-
ポイント
「Always Show Menu Bar」 が有効だと、ツールバーは常に表示されます。必ずオフにしてください。
2.2 PDFを開くと自動で設定を適用
設定を完了後、一度 Print(印刷)ダイアログを開き、Print as Image(画像として印刷)をオフにします。これにより、PDF内のページが「フルスクリーン」モードで表示され、ツールバーが自動的に非表示になります。
2.3 印刷時にツールバーが残る問題の回避
-
Print>Advanced(詳細) でPrint as Imageを再度確認。 - 「Print as Image」が有効だと、ページがピクセル化されて印刷されにくくなるだけでなく、ビューワーの機能も制限されます。
3. Acrobat Pro DC で「ツールバーを常に非表示」設定を保存
Adobe Acrobat Pro DCはファイルを編集可能にした高度なツールです。非表示設定を永続的に保存するには「設定ファイル」(acrobat.cfg など)に書き込む方法を紹介します。
3.1 設定ファイルへの手動編集
-
ファイルエクスプローラーを開き、
%APPDATA%\Adobe\Acrobat\DC\nifフォルダに移動 -
profiles.txtを再生成(エディタで) - 既存の行を以下のように書き換える
Tools=Off PageMode=FullScreen - Acrobatを再起動
注意:設定ファイルは誤って編集すると、Acrobat自体が正しく動作しなくなる可能性があります。
変更前は必ずバックアップを取ってください。
3.2 ウィンドウプロパティを利用したカスタムツールバー
- Acrobat Pro DCでは「
Edit > Preferences > General > Display」でEnable Full Screen Modeをオンにすると、F11 キーで全画面表示に切り替えられます。 - この全画面モードではツールバーが自動的に非表示になります。
-
File > Preferences > Full ScreenでShow Menu BarとShow Toolbarのチェックを外してください。
4. Foxit Reader でのツールバー非表示
Foxit Readerは軽量で高速。ツールバーを非表示にするには、標準UIでは設定項目が少ないため、スクリプトで制御します。
4.1 画面モードの設定
-
File > Preferencesを開く -
Page DisplayセクションでSingle Page Viewingを選択 -
DisplayタブでShow Toolbarsのチェックを外す
スクリプトで強制
FoxitはJavaScriptを利用してPDF内でUIを操作できます。this.addEventListener("afterPrint", e => e.preventDefault()); //印刷時にツールバー消去
4.2 印刷時にツールバーが表示される場合の対策
-
View > Full Screen(または F11)で全画面表示にすると、ツールバーが非表示に。 -
Tools > CustomizationからToolbarを「完全に未表示」に設定。 - さらに、プロファイル設定(ファイル > 設定 > ビュー > ツールバー)で**
Hide** オプションを選択。
5. PDF.js(Web埋め込み)でのカスタム表示
PDF.jsはJavaScriptベースでブラウザにPDFを埋め込むためのオープンソースライブラリ。デフォルトUIを完全に消したい場合は次のようにします。
<!-- index.html -->
<div id="pdf-container" style="width:100%; height:100vh;"></div>
<script src="pdfjs-dist/build/pdf.js"></script>
<script>
const url = 'sample.pdf';
const container = document.getElementById('pdf-container');
const loadingTask = pdfjsLib.getDocument(url);
loadingTask.promise.then(pdf => {
// ページ1のみ表示
pdf.getPage(1).then(page => {
const viewport = page.getViewport({scale: 1.5});
const canvas = document.createElement('canvas');
canvas.width = viewport.width;
canvas.height = viewport.height;
container.appendChild(canvas);
const context = canvas.getContext('2d');
page.render({canvasContext: context, viewport: viewport});
});
});
</script>
5.1 ツールバーの完全隠蔽
- PDF.jsの
viewer.htmlはtoolbarとsidebarのidを持っています。 - CSSで隠せるので
display:none;を付与してください。 - また、
toolbarのオプションをautoRefreshで自動的にリロードし、ツールバーが表示されることを防ぎます。
6. Chrome / Edge での標準PDFビューア制御
Google Chrome と Microsoft Edge では 内蔵PDFビューア が使用されます。基本的にツールバーは自動で非表示になりません。以下の方法でカスタマイズします。
6.1 拡張機能を利用
- Chrome Web Storeで「PDF Viewer No Toolbar」のような拡張機能を探し、インストール。
- インストール後、ページを開くと
Ctrl+Pで印刷ダイアログに直行し、ツールバーは表示されません。
6.2 ブラウザ設定で自動全画面
-
chrome://settings/content/pdfDocuments- 「ダウンロード時にPDFを自動で開く」オプションをオフ
- PDFをダウンロードした際に自動で
PDF.jsで開くように設定すると、JavaScriptで全画面に切り替えられます。
裏技
「https://example.com/sample.pdf?print
7. モバイルブラウザ(Android/iOS)の非表示設定
モバイル端末ではツールバーが少ないものの、タップして表示されるメニューがある場合があります。
7.1 iOS Safari
-
設定 > Safari > 開発
- 「外部リンクを開く」→**「ドロップダウンなし」**
- PDFファイルを開く際に
Command + Shift + Pで印刷が可能。
7.2 Android Chrome
- PDFを開くとき、画面下部に表示されるツールバーはタップすると非表示にできます。
- 「設定 > PDF > デフォルトビューアを設定」 で「Google Drive」や「Adobe Acrobat」へ切り替えると、より細かい設定が可能です。
8. PDF自体にツールバー非表示設定を埋め込む(アドビ製品がサポート)
Adobe Acrobat Pro DCでは、PDFファイル自体に openAction を設定して開いたときに自動でフルスクリーンに切替えることができます。
// C#例(Acrobat SDKを使用)
var js = new Acrobat.Action();
js.Add("this.setViewSetting('uiToolbar',false);");
js.Add("this.setViewSetting('uiMenu',false);");
js.Add("this.setFullscreen();");
this.openAction = js;
8.1 手順
- PDFをAdobe Acrobatで開く
-
Tools > JavaScript > Document JavaScriptsを選択 - 新しいスクリプトを追加し、上述のコードを貼り付け
- PDFを保存
メリット
他者がPDFを開いたときにも設定が反映される。
ただし、一部のブラウザやビューアではJavaScriptが無効化される場合があります。
9. さらにカスタム表示を追求:ユーザー定義ツールバーを作成
9.1 Adobe Acrobat Reader Pro DC でのカスタムツールバー
-
Tools > Customization > Toolbars - 既定のツールバーをコピーし、不要な項目を削除
-
DisplayをHiddenに設定 - 再起動で有効化
9.2 PDF.jsでのUIカスタマイズ
var viewerOptions = {
toolbar: false,
sidePanel: false,
enablePrint: false
};
PDFJSViewer.defaultOptions.update(viewerOptions);
10. トラブルシューティング
| 事象 | 原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| ツールバーが表示されたまま | 設定が保存されていない | アプリを再起動し、設定を再確認 |
| 全画面モードに切り替わらない | キーボードショートカットが制限されている | Ctrl+Shift+F など別のショートカットを試す |
| スクリプトが無効化 | PDFにセキュリティフィルタが設定されている | Acrobatで「設定 > JavaScript」から許可を追加 |
| モバイルでツールバーがタップで現れる | デバイスの画面サイズが小さい | 画面回転で大画面表示を試みる |
11. まとめ
- ツールバーを非表示にする主なメリット は、プレゼンテーションや読み物の集中度を高めること。
- Adobe Acrobat Reader DC と Pro DC の設定は GUI だけでなく設定ファイル・JavaScript で完全にカスタマイズ可能。
- Foxit Reader は軽量ながらも、イベントリスナで UI を抑制できる。
- PDF.js やブラウザのビルトインビューアは CSS や URL パラメータで非表示を実装できる。
- モバイル も「設定」や「開発者モード」を駆使して、ダイナミックに UI を抑制。
- PDF自体に設定を埋め込む のは最も一貫した方法だが、受信側の環境に依存する事がある点は注意。
これらの方法を組み合わせることで、ほぼすべての環境で「ツールバーゼロ」の閲覧体験を実現できます。
試してみたいツールやプラットフォームに合わせ、上記の手順を実践してみてください。


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