PDF軽量化で高速読み込みを実現する5つの簡単テクニック

高速で PDF を閲覧したい、しかしページをめくるたびに読み込みが遅い…
そんな悩みを抱えている方は多く、しかも原因はさほど大きなものではありません。
「軽くしたい」だけで十分なのに、圧縮率を上げすぎて閲覧に支障をきたすケースも多いです。
この記事では 高速読み込みを実現するための 5 つの簡単テクニック を紹介します。
これらはすべて既存の PDF を対象に、初心者でも手軽に実践できる手順です。

1. 画像の圧縮と再エンコード

PDF 内の画像サイズがボトルネックとなっていることがほとんど。
特にスキャンや画面キャプチャ画像は解像度が高いまま格納されているケースが多いです。

アクション 推奨ツール 具体例
低圧縮JPEGへ再エンコード Ghostscript -dJPEGQ 80
PNG を WebP に変換 ImageMagick convert input.png -quality 80 output.webp
画像のリサイズ qpdf --linearize でサイズ変更はできないので、別途画像編集が必要

実践手順(Ghostscript)

gs \
  -sDEVICE=pdfwrite \
  -dCompatibilityLevel=1.7 \
  -dPDFSETTINGS=/ebook \
  -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH \
  -sOutputFile=compressed.pdf \
  input.pdf
  • /ebook は 200 KB くらいまで圧縮される設定です。
  • 画像解像度を 150 dpi に下げる場合は -dDownsampleColorImages=true -dColorImageResolution=150 などを追加します。

ポイント
画像を 300 dpi 以上のままにしておくと、モニター上ではほとんど違いが出ないのにファイルサイズが増大します。

2. 不要オブジェクトとメタデータを削除

PDF には「見えない」データがたくさん埋め込まれています。
タグ情報、カスタムメタデータ、使用されていないフォント・画像オブジェクトなどを削除することで数 MB 削減できます。

具体手法

ツール コマンド例
qpdf --clean
PDFtk cat input.pdf output output.pdf
Adobe Acrobat(Pro) ファイル情報メタデータを削除

qpdf での一例

qpdf input.pdf --replace-input --no-page-shift --clean
  • --clean は使用中でない全構造体を削除します。
  • ページレイアウトが変更されないことを確認してから実行してください。

注意
監査証跡が必要な文書や、長期保存規格(PDF/A)が必要な場合は削除しないでください。

3. フォントをサブセット化&標準フォントへ置き換える

多くの PDF では、全ページで同じフォントを使用しているのに、そのフォント全体を埋め込んでいる ことがあります。
サブセット化(使用している文字だけを残す)や、標準フォントへの置換はファイルサイズを劇的に削減します。

手順

  1. Adobe Acrobat Pro

    • ファイルプロパティフォント
    • 「埋め込み済みフォント」を確認。
    • 必要に応じて フォントを最小化(サブセット化)にチェック。
  2. Ghostscript

    gs -dEmbedAllFonts=false -dSubsetFonts=true \
       -sDEVICE=pdfwrite -sOutputFile=subset.pdf input.pdf
    
  3. Polypoint.com(オンライン)

    • PDF をアップロードして「フォント最小化」オプションを選択。

メリット
文字化けが起きにくく、閲覧時のフォント解凍とレイアウト計算が軽減されます。

4. PDF をリニア化(Web 最適化)する

リニア化とは、インストール型ビューアで「ページ前のデータを先に読み込む」 形式に変換することです。
Web 上に公開する際は必須ですが、オフラインでも「ページジャンプがすばやくなる」利点があります。

メリット デメリット
ピンポイントでページを読み込める 元ファイルが古い設定だと若干品質が落ちる
モバイルデバイスでのスムーズ度が向上 生成時に PDF の構造を変更するため、書き換え不可の文書は再生成が必要

Ghostscript でリニア化

gs -sDEVICE=pdfwrite \
   -dBATCH -dNOPAUSE -dPDFSETTINGS=/prepress \
   -dDoFullCompression=true \
   -dAutoRotatePages=/None \
   -dAutoFilterColorImages=false \
   -dAutoFilterGrayImages=false \
   -dAutoFilterMonoImages=false \
   -dCompressFonts=true \
   -dSubsetFonts=true \
   -dUseCIEColor=true \
   -dEmbedAllFonts=false \
   -sOutputFile=linearized.pdf input.pdf
  • -dPDFSETTINGS=/prepress は、印刷品質を保ちつつ高速化します。
  • 最終的に linearized.pdf を確認し、ページアクセス速度を確認してください。

5. コンテンツ構造をシンプルに(ページ分割の見直し)

PDF が 1000 ページを超えると、物理的に「1 つの大きなページ」になるケースがあります。
ページごとのアトリームサイズ を 10–20 MB 以内に抑えることで読み込み時間が短縮されます。

実践アイデア

  1. 章ごとに PDF を分割

    • pdftk

      pdftk input.pdf cat 1-50 output part1.pdf
      pdftk input.pdf cat 51-100 output part2.pdf
      
  2. 不要ページを削除

    • Adobe Acrobat の ページ削除 機能
  3. オブジェクトの再配置

    • qpdf--pages オプションで再構築

注意
分割すると「全体検索」や「目次リンク」機能が失われる場合があります。
記事ごとに分割すると、モバイルデバイスでの閲覧が非常にスムーズになります。


まとめ

テクニック 主な効果 推奨ツール
画像再エンコード ファイルサイズ ↓、読み込み速度 ↑ Ghostscript, ImageMagick
不要オブジェクト削除 さらにサイズ削減 qpdf, PDFtk
フォントサブセット化 文字化け防止 + 軽量化 Acrobat Pro, Ghostscript
リニア化 ページジャンプ高速化 Ghostscript
ページ分割 大きなファイルを分割して読み込みを高速化 Adobe Acrobat, pdftk

「速度が出ない」の原因は多種多様ですが、上記 5 歩を順番にチェックしてみてください。
いずれも一度実行すれば、次に同じ PDF を開いたときに 数秒以内に完璧に表示 できるはずです。

次のステップ

  1. 元の PDF をバックアップ。
  2. まずは画像圧縮を試す。
  3. フォントとメタデータのクリーニングを続ける。
  4. リニア化で最終チェック。
  5. 必要に応じて分割して完了!

皆さんの PDF が、軽量化されたまま 読みやすい 形に戻ることを願っています。

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