PDF原寸印刷で失敗しない!フォーマット設定と紙サイズの選び方ガイド

PDF原寸印刷で失敗しないための完全ガイド

――ここでは、PDFファイルをそのまま「原寸」印刷したときに起こりやすい失敗と、その原因をどうやって回避するかを徹底解説します。
「この印刷を失敗しないようにしたい」「ファイルはすべてPDFだけど、どこを注意すればいい?」という疑問に対して、実務で使える設定と紙サイズの選び方を分かりやすくまとめました。


PDF作成時に確認すべき基本設定

1. PDF/X の利用

PDF/X(特に PDF/X‑1aPDF/X‑3)は、商業印刷業界で標準とされるフォーマットです。

  • PDF/X‑1a:フルトーン画像とベクトルが混在し、CMYKカラースペースのみ許可。
  • PDF/X‑3:カラーマネージメントに ICC プロファイルを埋め込むため、RGB もサポート。

印刷会社に依頼する際は、必ず「どちらのPDF/Xバージョンが必要か」を事前に確認しましょう。
PDF/X 対応ファイルは、フォントの埋め込み画像の解像度カラープロファイルが自動で適切に処理されるので、失敗率が格段に低くなります。

2. フォント埋め込みの徹底

印刷プラットフォームでフォントが不足していると「代替フォント」になるだけでなく、本文全体が正規に表示されないことがあります。

  • Adobe Acrobat Pro の 「ファイル → プリフライト」 から “文字とフォント” をチェックし、すべて埋め込みを実行。
  • OpenType(.otf)と TrueType(.ttf)のいずれも埋め込むように設定します。
  • サンセリフ体 などの見やすい字体は、印刷物の可読性を高めます。

3. 画像解像度とカラーモード

印刷品質を左右するのは 画像の解像度(DPI)と 色空間(CMYK)です。

  • 最低 300 DPI を確保。400 DPI を推奨(高解像度画像のはっきりした印刷)。
  • 画像を CMYK に変換し、ICC プロファイル(例:US Web Coated v2)を埋め込みます。
  • PNG ではなく JPEG(圧縮率 60‑80%)か TIFF(無圧縮 or LZW)を推奨。

4. 余白とベルト(Bleed)

オフセット印刷では、裁断線を少し外側に設ける(ベルト)ことが必要です。

  • 通常の余白: 3.0 mm(約0.12 inch)を確保。
  • ベルト: 3.0 mm 以上。
  • PDF でのベルト設定: アドビの Print Production → Set Bleed and Trim などで確認。

紙サイズの選び方

1. 原寸印刷とは?

原寸印刷では、デザインのサイズと実際に印刷する紙サイズが一致することが基本です。

  • 例: 210 mm × 297 mm(A4)で作成したファイルを、A4 紙にそのまま印刷。
  • ただし、裁断仕上げ のためにベルトを追加したい場合は、実際に印刷する紙は それより少し大きい 必要があります。

2. 使用紙の種類と厚み

紙面 代表的な厚み 用途 特徴
光沢紙 90 g/m²〜150 g/m² カタログ、ポスター 色鮮明で光沢がある。
マット紙 100 g/m²〜200 g/m² 名刺、ポストカード 手触りが良く、光の反射が少ない。
厚手紙 210 g/m²以上 写真集、オフセット 耐久性が高く、重厚感。
  • 印刷物の目的に合わせて紙質を決定。写真集なら厚手紙、名刺なら光沢紙が一般的です。
  • プリンタと印刷会社の機材は、使用紙の推奨スピード取り扱い範囲があります。事前に確認しましょう。

3. サイズの選び方

目的 推奨紙サイズ 備考
名刺 90 mm × 55 mm 余白 2.0 mm ベルト 2.0 mm
ポストカード 100 mm × 148 mm 余白 4.0 mm ベルト 3.0 mm
ブックレット 210 mm × 297 mm 余白 3.0 mm
ポスター 300 mm × 400 mm 余白 5.0 mm ベルト 4.0 mm
  • ベルトは裁断時に紙が切れ落ちないように設定。
  • 余白は内部印刷(コピーライト、ページ番号など)と 仕上げ(折り目)を考慮。

PDF設定の最終チェックリスト

  1. PDF/X バージョン – 1a / 3
  2. フォント – すべて埋め込み
  3. 画像 – 300 DPI、CMYK、ICC プロファイル込み
  4. ベルト(Bleed) – 3 mm(±)
  5. 余白 – 余白 3 mm 以上
  6. カラーマネジメント – プロファイル一致
  7. 出力設定 – 印刷用解像度確認
  8. プリフライト – すべての警告をクリア

印刷会社との連携ポイント

項目 具体例 重要性
ファイル形式 PDF/X-1a 互換性確実
サンプル 試刷・サンプル カラー確認
定額 1枚単価・パッケージ料金 予算計画
納期 1週間〜2週間 スケジュール調整
プリンタータイプ オフセット vs デジタル コスト/品質
  • 試刷サンプル取得は必須。色相差や解像度を確認し、微調整が必要なら再調整。
  • サーバー共有(Dropbox、Google Drive)でファイルを送付すると、バージョン管理が容易です。

よくある失敗と対策

失敗例 原因 対策
文字が欠ける、破損 フォント未埋め込み、サブピクセル文字化 Adobe Acrobat の「埋め込み」再実行
色が実際より薄い RGB 画像をそのまま印刷 CMYK 変換、ICC プロファイル埋め込み
画像がぼやける 低DPI(<150 DPI) 300 DPI 以上で再作成
ページが切れてしまう ベルト不足 ベルトを 3 mm 以上追加
余白が不適切 余白設定が 0mm 余白を 3 mm 以上に設定

実際のステップ:成功するデータ作成フロー

  1. デザインソフトで作業(Adobe InDesign / Illustrator)
    • 目的別にアートボードを作る。
    • 1〜2 mm 余白を設定。
  2. 色設定
    • カラールックアップテーブル(CMYK)でカラースペースを固定。
  3. 画像埋め込み
    • リンクを埋め込み、300 DPI に調整。
  4. フォント
    • すべて埋め込みをチェック。
  5. ベルト
    • 3 mm を追加。
  6. PDF/X エキスポート
    • 「Adobe PDF(プリセット)」→「Adobe PDF/X‑1a:2001」
  7. プリフライト
    • 誤字脱字、フォント確認。
  8. サンプルプリント
    • プリントプレビューで確認。
  9. 印刷会社へ送付
    • PDF/X ファイル+サンプル画像+紙質・サイズリクエスト

まとめ

PDF原寸印刷を失敗させないためには、ファイル作成段階から印刷会社とのコミュニケーションまでの一連のプロセスを正しく設定することが重要です。

  • PDF/X を基準とし、フォント・画像・カラープロファイルを統一。
  • 紙サイズは目的に合わせて余白・ベルトを含めて設定。
  • 印刷会社と細かい仕様を決定し、サンプルを必ず確認。

これらを順守すれば、色ムラや欠損、サイズズレを防ぎ、クオリティの高い印刷物を確実に完成できます。
ぜひこの記事を参考に、次の印刷案件で「失敗しない原寸印刷」を実現してください。

コメント