PDF ファイルをアップロードしたり公開したりする際、タイトル(Title)メタデータは検索や整理に欠かせません。
しかし「PDFタイトルが違う」や「うまく表示されない」と悩むケースは少なくありません。
この記事では、
- どんな状況でタイトルが不正確になるのか
- 代表的な原因とその対策
- 主要ソフトウェア(Acrobat, Word, LibreOffice, LaTeX など)で正しいタイトルを設定する手順
- さらにメタデータを自動化・検証する方法
をまとめています。
イントロダクション:PDFタイトルの重要性
| 項目 | 影響 | 例 |
|---|---|---|
| 検索エンジン | PDF のタイトルは検索結果で表示されることがある | Google ドキュメントのタイトルが「MyDocument.pdf」になった |
| ファイル管理 | OS やクラウドストレージの検索でタイトルが重視される | OneDrive でタイトル検索して見つからない |
| アクセシビリティ | 画面読み上げでタイトルが読まれる | 障害を持つユーザーが内容を把握できない |
| PDF/A / PDF/UA | フォーマット標準化規格で「Title」は必須 | 文書保管時に自動タイトルが入れられない |
タイトルに不備があると、検索・管理・閲覧者全員にとって使い勝手が損なわれます。
1. タイトルが違う、もしくは空になってしまう共通原因
| 原因 | 具体例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| ファイル名とタイトルを混同 | myreport.pdf というファイル名をそのままタイトルに設定しない |
ファイル名とメタデータは分離 |
| ソフト側の自動生成設定が適切でない | Word で「ファイル名をタイトルにする」設定が有効 | 「保存時にプロパティを自動埋め込む」かを確認 |
| レイアウトソフトのエクスポート設定 | InDesign で「PDF Bookmarks」しか設定せず「Title」を空 | PDF エクスポートオプションで「Title」を必ず設定 |
| スクリプト/自動化でメタデータを上書きしない | バッチ処理でタイトルを削除 | PDF 修正スクリプトは「Metadata preserve」を付ける |
| PDF/A 変換時に metadata をクリア | pdfa ライブラリで「–preserve-metadata=false」を指定 |
--preserve-metadata=true を推奨 |
典型的な誤操作とその修正
| ソフト | 誤操作 | 修正方法 |
|---|---|---|
| Microsoft Word | 「ファイル」→「情報」→「ドキュメントのプロパティ」から「タイトル」を空にして保存 | プロパティで「タイトル」を入力して「OK」で保存 |
| Adobe Acrobat | 「ファイル」→「プロパティ」→「説明」タブで「タイトル」欄に空白 | タイトル欄に正しいファイルタイトルを入力 |
| LibreOffice | 「ファイル」→「情報」→「ドキュメントのプロパティ」で「タイトル」を編集しないとファイル名が残る | 常に「タイトル」欄を編集 |
| LaTeX | \title{} コマンド忘れ |
\usepackage{hyperref} と共に \title{正しいタイトル} を必ず記述 |
| InDesign | 「書式」→「PDF 出力」→「PDF エクスポート設定」で「タイトル」にチェック入れ忘れ | PDF エクスポートダイアログで「PDF 1.6」や「1.7」→「書式」→「Title」に入力 |
2. 主要ソフト別・正しいタイトル設定手順
ここでは「Adobe Acrobat Pro DC」「Microsoft Word」「LibreOffice Writer」「LaTeX(pdfTeX)」「InDesign」「Illustrator」の6つで一番多いケースをピックアップ。
2.1 Adobe Acrobat Pro DC
- PDF を開く → ファイル > プロパティ
- 説明 タブ → タイトル フィールドに正しいタイトルを入力
- OK
- ファイル > 名前を付けて保存(オーバーライドを避けるために別名保存)
Tips
- [ツール] > [認識] > [文字列の抽出] で OCR した PDF のタイトルが更新されることも。
- [ツール] > [PDF アクセシビリティ] > [チェックリスト] から「書類の属性」を確認。
2.2 Microsoft Word (2016〜)
- Word 文書を開く
- ファイル > 情報 > ドキュメントのプロパティ > 詳細プロパティ
- 概要 タブ → タイトル を入力
- OK → 文書を保存(名前を付けて保存 で PDF へエクスポート)
ポイント
- PDF エクスポート時に「オプション」で「マクロを実行しない」設定は不要。
- ファイル > 名前を付けて保存 → 「ファイルの種類」で PDF を選択 → 「オプション」から「文書情報を含める」 をチェック。
2.3 LibreOffice Writer
- 文書を開く
- ファイル > 情報 > ドキュメント
- タイトル 欄に入力 → OK
- ファイル > 名前を付けて保存 > PDF でエクスポート
備考
- エクスポート時に メタデータ をクリアにするオプションがあるため、必ずチェックを入れる。
2.4 LaTeX (pdfTeX + hyperref)
\documentclass{article}
\usepackage[unicode]{hyperref}
\hypersetup{
pdftitle={正しいタイトルをここに},
pdfauthor={著者名},
pdfsubject={サブジェクト},
pdfkeywords={キーワード1, キーワード2}
}
\title{何も書かないが上のpdftitleが優先}
\author{Author}
\date{\today}
\begin{document}
\maketitle
...
\end{document}
-
\hypersetupでpdftitleを設定すると、タイトルが正確に埋め込まれる。 -
\titleの設定はpdftitleを上書きするので、両方明示したくないなら\hypersetupだけで OK。
2.5 Adobe InDesign
- ドキュメント作成 → ファイル > 書式 > PDF エクスポート
-
PDF エクスポート設定 ダイアログ → 書式タブ
- タイトル 欄に入力
- さらに [出力] タブで 「書類情報を埋め込む」 をチェック
- 保存 を押す
重要: [出力] タブで 「情報」 を確認し、Title が正しく反映されているか確認。
2.6 Adobe Illustrator
- ファイルを開く → ファイル > 別名で保存 > Adobe PDF
- Adobe PDF設定 ダイアログ → 書式タブ → タイトル
- OK → 保存
注意
- Illustrator の PDF 出力では「タイトル」フィールドが空になる場合があるので必ず確認。
3. よくある誤解とトラブルシューティング
| 誤解 | 実際 | 具体対策 |
|---|---|---|
| 「ファイル名=タイトル」だと良い」 | ファイル名は OS 側の属性。検索エンジンはメタデータを優先。 | ファイル名とメタデータは別々に設定 |
| 「保存時に PDF エクスポートしてもメタデータは残る」 | PDF エクスポート設定で「メタデータをクリア」がある | エクスポートダイアログで「メタデータを埋め込む」を必ず選択 |
| 「PDF/A 変換で完全にタイトルがなくなる」 | PDF/A 変換時に Preserve オプションがデフォルトで false になる |
コマンドラインで --preserve-metadata=true を指定 |
| 「PDF を編集しただけでタイトルが消える」 | 何らかのテキストエディタはメタデータを保持しない | Acrobat の 「PDFを修正」 機能や専用 SDK を使う |
4. メタデータ確認方法
| ツール | コマンド / 位置 | 内容 |
|---|---|---|
| Adobe Acrobat | ファイル > プロパティ > 説明タブ | Title, Author, Subject, Keywords |
| Ghostscript | gs -dBATCH -dNOPAUSE -sDEVICE=bbox file.pdf |
PDFメタデータを表示 |
| ExifTool | exiftool file.pdf |
すべてのメタ情報 |
| PDFBox (Java) | PDDocument.load(file).getDocumentInformation().getTitle() |
API で取得可能 |
実際の exiftool コマンド例
exiftool test.pdf
出力例:
PDF:Title : My Great Document
PDF:Author : John Doe
PDF:Subject : Sample PDF
PDF:Keywords : PDF, Title, Metadata
Tip
メタデータが欠落している場合は-overwrite_original -Title "Title"で直接上書き可能。
5. タイトルを正確に設定するベストプラクティス
-
プロジェクト開始時に規定する
- 文字数制限(例: 120文字以内)
- フォーマット規則(例:
会社名-年度-資料名)
-
テンプレートを作成
- Word/LibreOffice でデフォルトプロパティを設定
- LaTeX では
\hypersetup{pdftitle={...}}をテンプレート化
-
バッチスクリプトで自動埋め込み
-
exiftool -Title="%%F%%" *.pdf(ファイル名をベースに自動)
-
-
CI/CD パイプラインで検証
- GitHub Actions で
exiftoolを走らせ、 Title が空なら失敗させる
- GitHub Actions で
-
PDF/A 変換時は
--preserve-metadata=trueを必ず-
pandocで PDF/A 生成:pandoc --pdf-engine=xelatex -V geometry:margin=1in --metadata title="..." -o out.pdf
-
PDF/A 変換例 (pandoc)
pandoc input.docx -o output.pdf \
--pdf-engine=xelatex \
--metadata title="正式名称 2024 第1四半期レポート" \
--metadata author="株式会社テスト" \
-V geometry:margin=1in \
--pdf-engine-opt="--shell-escape" \
--metadata-encoding="UTF-8" \
--pdf-embed-resources
6. アクセシビリティと標準化に配慮
| 規格 | 必要事項 | タイトルの扱い |
|---|---|---|
| PDF/UA-1 | Title、Author、Keywords 必須 | 目立つ場所に読み上げられる |
| PDF/A-1b | Title が必須(A-1b) | 保守時にメタ情報が保持される |
| PDF/UA-2 | タイトル + 適切なタグ構造 | 画面リーダーで正確に読み上げられる |
推奨
PDF 生成時に--pdf-engine=...で--pdf-engine-opt="--enable-local" --metadata title="..."を入れ、アクセシビリティチェックツール(例: PAC など)で検証。
7. スクリプトでの一括タイトル設定(Python + PyPDF2)
import sys
from PyPDF2 import PdfWriter, PdfReader
def set_title(pdf_path, title):
reader = PdfReader(pdf_path)
writer = PdfWriter()
writer.append_pages_from_reader(reader)
writer.add_metadata({"Title": title})
with open(pdf_path, "wb") as f:
writer.write(f)
if __name__ == "__main__":
for path in sys.argv[1:]:
set_title(path, f"自動タイトル - {path.split('/')[-1]}")
コマンドライン例
python set_title.py doc1.pdf doc2.pdf
注意
PyPDF2では metadata 書き換えがwriter.add_metadataで可能。
既存のメタ情報が保持されない場合はreader.metadataを merge すること。
8. まとめ・チェックリスト
| チェック項目 | 実施手順 | 備考 |
|---|---|---|
| タイトルが入力されているか | PDF を Acrobat で開き「ファイル」→「プロパティ」 | 文字数制限は 120 文字以内 |
| タイトルがファイル名と一致しているか | exiftool file.pdf で確認 |
必ず一致させる必要はないが、整合性は重要 |
| PDF/A 変換時にメタデータが残るか | pdfa コマンドで --preserve-metadata=true のオプション |
省略するとデフォルトでクリア |
| スクリプトでバッチ更新しているか | CI 時に exiftool -overwrite_original -Title="..." *.pdf |
失敗時はビルド停止 |
| アクセシビリティツールで検出されるか | PDF/UA チェック | タイトルは必須属性 |
最後に
PDF タイトルは「見た目」だけでなく、検索や保管、アクセシビリティまで多岐にわたる重要なメタ情報です。
ソフトウェアや変換パイプラインの設定を見直し、定期的にメタデータを検証する習慣をつくることで、PDF を扱う際の悩みはぐっと減ります。
ぜひこの記事で示した手順をベースに、自分のワークフローに合わせて自動化やチェックリストを組み込んでください!


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