行間の広がりは、読みやすさを損ねる大きな敵です。
特にPDFは「そのまま」の印刷物として使われることが多く、
文字の間隔が不自然に変わってしまうと、情報の伝達効率が大きく下がります。
この記事では、PDFで行間が広がる主な原因と、
実際に手を動かして対策したい「編集してスッキリ整理する方法」を徹底解説します。
Webライターとして記事や資料をPDF化する際に、必ずチェックしたいポイントをまとめました。
PDFを作成する際の「行間」設定基準
まず始めに、PDF自体の仕組みを理解しましょう。
PDFは「ページ」という単位でテキストや画像を座標化してレンダリングします。
行間は**「Line Spacing(行距)」**と呼ばれ、テキストのベースライン間隔で決まります。
- テキストコンテンツは、フォントサイズと行間の相関関係(Leading)で表されることが多い
- PDFに埋め込まれるフォント情報によって、見た目が大きく変わる
- 変換ツールやビューアの設定次第で、同じPDFでも見え方が変わる
行間が広がる主な原因と解説
1. フォントサイズと行間のミスマッチ
- 本文は10〜12pt、見出しは14〜18ptが一般的ですが、
- 変換時に「フォントサイズは維持したまま行間を自動調整」されることがあります。
- 例:10ptの本文に対し、ツールが12ptの行間を設定すると、20%程度広がる。
2. フォント埋め込みの欠落
- PDFを生成する際にフォントが「埋め込まれず」
- ビューアは利用可能な互換フォントに置き換え、行間が変更(幅が広がる)
- 例えば、Times New Romanが埋め込まれていないと、Arialで代替され、行間が広がるケースが多い。
3. 変換ツールや保存設定の差異
- Microsoft Word → PDF:設定で「自動行間調整」をオンにすると、行間が大きくなる。
- Google Docs → PDF:Web版のフォントが埋め込まれないことがあり、行間が不揃い。
- LaTeX → PDF:パッケージ設定が原因で、行間が広がる(
\linespread{1.3}など)。
4. PDFエディタ(Acrobat)での「最適化」機能使用時
- 「PDF最適化」では「テキストオプション」→「行間調整」が行われる。
- 特定のページだけ選択すると、行間が変更されてしまうことがある。
5. スケールとズームの影響
- PDFビューアが表示倍率を「90%」に設定していると、実際の行間が拡大されて見える。
- アンカーボックスの影響で微妙にズレることもある。
行間をスッキリ整理する実務レベルの対策
① 変換前に原稿の行間設定を統一
- Word
- 「ホーム」→「段落」→「行間」→「1.0倍」または「固定値」
- 「設定」→「行間」→「行の間隔を明示的に指定」
- LaTeX
\renewcommand{\baselinestretch}{1.0}(デフォルト)- 余分なパッケージ(
setspaceなど)を無効化
② フォント埋め込みを必ず有効に
- Wordの場合
- 「ファイル」→「オプション」→「保存」→「PDFに埋め込まれるフォントを最小限にする」にチェックを外す
- Google Docsの場合
- 「ファイル」→「ダウンロード」→「PDFドキュメント」
- ただし、Google Docsでは埋め込みが完全に保証されないので、変換後にAcrobatで「フォントを埋め込む」を手動実行する
③ PDF編集ソフトでの「行間調整」機能を使う
-
Adobe Acrobat Pro
- 「ツール」→「PDFを編集」
- テキストを選択して右クリック → 「テキストオプション」
- 「行間」フィールドに「1.0」または「0.8」など統一値を入力
- すべてのページに適用(「全ページ」チェック)
-
PDF-XChange Editor
- 「編集」→「文字」→「文字セット」→「行間」
- こちらは「相対的」に入力できるので、**±10%**で微調整が可能
④ Ghostscriptを使ったPDF再構築
gs -o output.pdf -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 \
-dPDFSETTINGS=/prepress -dEmbedAllFonts=true \
-dSubsetFonts=true -dAutoRotatePages=/None \
input.pdf
- これにより、フォント埋め込みは完全に解決され、行間も元の設定通りに復帰
- ただし、画像や図形は再圧縮されるので、画質に注意
⑤ ページ単位で行間を手動修正
- Adobe Acrobat
- 「ページサムネイル」から該当ページを選択
- 「ページレイアウト」→「ページ修正」
- テキスト範囲をドラッグし「行間」調整
- PDF編集無料ツール(例:PDF24 Tools)
- 「ページエディット」→「テキストの編集」→「行間調整」
- 手軽に実装できるが、精度はやや劣る
⑥ Webライター向けのTips:PDFを「テキスト化」して作成
- テキスト→PDF の工程に「Markdown → HTML → PDF」パイプラインを使用。
pandocでMarkdownを直接PDFに変換すると、行間はLaTeXのデフォルト(1.0倍)で安定。
- 例:
pandoc article.md -o article.pdf --pdf-engine=xelatex -V geometry:margin=2.54cm - この方法では、PDF内の文字列は文字コードが一貫するので、フォント埋め込みや行間調整が不要になる
行間を広げないためのチェックリスト
| 項目 | チェック方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 1. フォント埋め込み | Acrobatの「文書情報」タブで確認 | 字体置き換えを防止 |
| 2. 行間設定 | PDF作成前に「段落設定」を統一 | 行間不揃いを未然防止 |
| 3. 変換ツール設定 | Wordの「保存」→「PDF」のプロパティで「自動行間調整」無効化 | 変換時の自動変更を防止 |
| 4. スケール設定 | Acrobatの「表示」→「ズーム」では「元のサイズ」固定 | 表示倍率が行間に影響しない |
| 5. PDF最適化 | Acrobatの「最適化」→「テキストオプション」をオフ | 変更される行間を防ぐ |
| 6. 文字コード | Acrobatの「プロパティ」→「フォント」→「文字コード」 | エンコード不整合を解消 |
まとめ
- 行間が広がる原因は、フォント埋め込みの欠落や変換ツール/ビューアの設定にあります。
- まずは変換前に原稿の行間を統一し、フォント埋め込みを必ず有効化することが基本。
- それでも広がってしまう場合は、Acrobat Proでの手動調整、あるいはGhostscriptでの再構築をおすすめします。
- WebライターとしてPDFを配布する際は、閲覧環境を意識し、テキストからPDFへ直接変換するパイプラインを組むのが最も確実です。
行間を適正化することで、PDFの読みやすさとプロフェッショナリズムを格段に向上させることができます。
次にPDFを作成する際は、この記事のチェックリストを参照し、行間の「広がり」を徹底的に排除してみてください。


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