A3 ポスターを PDF から 2 枚印刷する完全ガイド
はじめに
A3 ポスターを 2 枚に分割して印刷すると、フライヤー・ポスター・展示会資料など、多彩な用途に活用できます。
しかし「A3 1 ページをそのまま印刷すれば OK だろう」と思うと、解像度不足や余白設定ミス、プリンターのページ割り当てがずれやすく、思ったよりも印刷物がぼやけたり、裁断ミスが生じたりします。
この記事では、PDF ファイルを使って A3 ポスターを 正しく 2 枚に分割印刷 するための手順を、解像度・余白・プリンター設定の観点から詳しく解説します。
設定の失敗で「画像がぼやけている」「余白が足りない」などの悩みを抱えている方は必ず読んでください。
1. 必要な環境と準備
| 項目 | 内容 | 推奨 |
|---|---|---|
| プリンター | オフセット印刷用の A3サイズ(297 × 420 mm)を扱えるプリンター | A3用紙が印刷可能な多機能プリンター、もしくはオフセット印刷業者 |
| PC | Windows/macOS/Linux | それぞれのドライバに応じた設定が必要 |
| PDF エディタ | Adobe Acrobat、Foxit、LibreOffice Draw | PDF 形式でページのサイズ・マージンを確認 |
| フォント | Web もしくは商用フォント | フォント埋め込みに注意(印刷時に埋め込まれていないと文字化け) |
| 印刷用データ | 原稿(ベクトル画像、テキスト) | 72 dpi ではなく 300 dpi 以上 で作成する |
| 紙 | A3(標準厚さ 120 gsm 以上が望ましい) | 余白がないように切りはみ切れる紙を使用 |
2. PDF ファイルを 2 枚に分割する前提
A3 1 枚を 2 枚に分割したい場合、必ずしも原稿を 2 ページ にしておく必要があります。
| 方法 | ステップ | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| PDF を 2 ページに分割 | 原稿を 2 本の PDF として保存 | それぞれを独立して印刷でき、余白・割り当て設定が安定 | 原稿を編集・再配置する手間 |
| 1 ページ PDF → 2 枚印刷 | 1 ページ PDF を 2 枚に印刷 | 原稿の再生成不要 | 余白/余計な白紙が入るリスク |
ほとんどの場合は、原稿を 2 ページにするのが最も確実です。以下では、PDF を 2 ページにした前提で手順を説明します。
3. PDF の解像度と画質確認
3.1 ベース解像度
- 300 dpi (dots per inch) は印刷業界での標準解像度です。
- 1200 dpi で作成したものは、拡大印刷(ポスター)でもシャープな表示を保ちます。
チェック方法
Adobe Acrobat の「プロパティ → ファイル情報」や、LibreOffice Draw の「プロパティ」から「解像度」を確認します。
ベクトル画像 (Illustrator, Inkscape など) を使用すると、ピクセル単位での解像度は気にせずに済みます。
3.2 PDF 内のフォント埋め込み
印刷時にフォントが埋め込まれていないと、文字化け になることがあります。
- Adobe Acrobat:
ファイル > プロパティ > フォントで埋め込み済か確認 - 埋め込みが無い場合は「フォントを埋め込む」オプションを付与
3.3 余白と裁断線(bleed)の設定
- 標準余白: 5 mm 以上
- Bleed: 3 mm (or 8 mm) 余白を余白の外に伸ばすことで、裁断時の白い線を防ぐ。
- PDF 作成時に「裁断線」として
Bleedマージンを設定すると、印刷業者(または自前の裁断機)で簡単に切り出せます。
4. PDF の 2 枚配置設定
4.1 1ページを 2 枚に分割 (単一 PDF)
プリンター側の「ページ配列」機能を使うと、1 ページを 2 枚に配置できます。
- Windows Print dialog: 「ページレイアウト」→「縦に 1 枚、横に 2 枚」
- macOS: 「プリント」ダイアログ → 「余白・ページ」→「複数ページ」→「2列 1行」
注意
- 余白が完全に設定されていないと、印刷時に裁断線が無効となる
- ページスケール が 100 % であることを確認
4.2 2 ページ PDF を配置
一番シンプルなのは、すでに 2 ページの PDF を作成し、A3 用紙にそのまま印刷 です。
- Adobe Acrobat: 「ファイル > プリント」→「ページ設定」→「用紙サイズ」A3→「ページスケール」→「自動調整」
- Ghostscript: コマンドラインで PDF を 2 枚に印刷
gs -dPDFFitPage -sDEVICE=pdfwrite -sOutputFile=output.pdf input.pdf
5. プリンター設定の詳細
5.1 用紙サイズの設定
| 用紙サイズ | 寸法 (mm) | 推奨設定 |
|---|---|---|
| A3 | 297 × 420 | 用紙サイズ で「A3 (210 × 297)」を正確に選択 |
| A3 (日本標準) | 297 × 420 | プリンター設定 で「A3 (297 × 420)」を選択 |
よくある誤り
- A4 を「A3 に拡大」する設定のままだと、文字や画像が縮小されてしまう
用紙サイズと印刷倍率の両方が正しいかを再確認
5.2 カラーマネジメント
- Adobe RGB で作成した PDF は、プリンター側で sRGB に変換されることがあります。
- プリンターのドライバに ICC プロファイル を設定し、カラーマネジメントを有効にします。
- Web 版 を印刷する場合は、Adobe RGB → sRGB 変換を事前に行わせると安定。
5.3 スケーリングとバウンディング
| 設定 | ポイント | 例 |
|---|---|---|
| ページサイズ | 100 % 固定 |
サイズが変わりにくい |
| バウンディングモード | 「トラッキング」や「カバー」 | 余白がなくなると裁断線が入る |
スケール 100 % のまま、バウンディングに「余白無し」設定を行うと、A3 全体にデータがフィットします。
5.4 裁断機との連携
- オフセット印刷業者 へ送る場合は 「裁断線(Bleed)」 を付けてください。
- 自前で裁断する場合 はプリンター側で「余白を含む」、「余白無し」にチェックを入れ、裁断機で 3 mm 余白をマッチさせます。
6. Windows での PDF から A3 2 枚印刷手順
- PDF を開く
Adobe Acrobat Reader を起動。 - 印刷を選択
Ctrl+Pまたは「印刷」アイコン。 - プリンターを選択
A3 をサポートするプリンターを選択。 - 用紙設定
用紙/トレイ→A3ページのサイズ→A3 (297 × 420)
- ページレイアウト
- 「ページ設定」→「縦に 1 枚、横に 2 枚」
- スケール
100 % に設定。 - 印刷
OKをクリック。
エラー対策
- 「A3 が認識できない」→プリンターの設定に戻り
A3を選択し直す- 「余白が足りない」→PDF の余白を増やすか「余白無し」オプションを確認
7. macOS での PDF から A3 2 枚印刷手順
- PDF を プレビュー で開く。
- 「ファイル」→「印刷」
- 「用紙サイズ」→
A3 - 「余白・ページ」タブ → 「複数ページ」
- 「横に 2 枚」または「縦に 2 枚」
- 「スケール」→
100 % - 「プリンタと仕上げ」 → 「コピー数」や「カラー管理」設定
印刷
macOS のプリントダイアログはシンプルです。
- 「余白調整」オプションが無い場合は PDF の1ページ目と2ページ目を別々ファイルとして作成してから印刷すると、余白ミスを防げます。
8. Linux での PDF から A3 2 枚印刷手順 (ghostscript)
# 1 ファイルを PDF 書き出し
# 2 枚のページを含む PDF を作成
gs -dNOPAUSE -dBATCH -sDEVICE=pdfwrite -sOutputFile=split.pdf \
-dDEVICEWIDTHPOINTS=420 -dDEVICEHEIGHTPOINTS=297 \
-sPAPERSIZE=a3 -dPDFFitPage \
input.pdf
-sDEVICE=pdfwriteで PDF 出力-sPAPERSIZE=a3用紙サイズ A3-dPDFFitPageでページを A3 に合わせてスケール
印刷時は lp (CUPS) で
lp -d printer_name split.pdfを実行。
-o fit-to-pageオプションでプリンター側で縮小/拡大可。
9. よくあるトラブルと対処法
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 画像がぼやける | 300 dpi 未満の画像が含まれる | 画像を高解像度で再取得かトリミング |
| 余白が足りない | PDF 内の余白設定が0 | PDF を編集し、3 mmの余白を追加 |
| 色味が異なる | カラープロファイル未設定 | ICC プロファイルをプリンターで設定、または PDF で埋め込み |
| 文字化け | フォントが埋め込まれていない | フォント埋め込みまたはフォントを別途プリンターにインストール |
| 2 枚が左右逆転 | データ配置が誤っている | PDF 内でページ順序を入れ替える、印刷設定で「回転」を確認 |
10. プロ印刷業者を利用する場合のチェックリスト
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ファイル形式 | PDF/X-1a もしくは PDF/X-4 で保存 |
| 解像度 | 300 dpi 以上 |
| Bleed | 3 mm 以上 |
| カラーモード | CMYK で保存、色域は「CIE RGB」もしくは「Adobe RGB」 |
| フォント | 全フォント埋め込み |
| フォーマット | A3 (297 × 420 mm) |
| 余白 | 5–10 mm 余白保留 |
| コピー数 | 正確に指定 |
業者へ送る際、印刷サンプルを要求すると、仕上がりを確認できます。
11. まとめ
- PDF は 2 ページに分割(ベースレイアウトを 2 項目にする)で設定ミスを低減します。
- 解像度 300 dpi 以上、Bleed (3 mm)、フォント埋め込み を必須条件に。
- プリンターの 用紙サイズ選択 と ページレイアウト の設定は、スケール 100 % で行う。
- Windows/macOS/Linux それぞれで印刷設定は若干の差がありますが、共通点として "用紙サイズ A3" を正しく設定すること。
- トラブル発生時は 余白・解像度・カラープロファイル の確認が鍵。
これで、PDF から A3 ポスターを 2 枚に正確に印刷できるようになります。
「もうプリンター設定で迷うことはない」 という安心感を手に入れ、クオリティ高いポスターマテリアルを手元に届けましょう。


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