導入
PDFファイルは文書としては見やすく、印刷や配布も楽ですが、図やグラフを抜き出すときに煩わしいケースが多いです。特に学術論文やプレゼン資料では、図を編集して自分のプロジェクトに組み込みたいというニーズが必ずあります。そこで今回は、PDFから図を「画像として保存・編集」するための簡単テクニックをまとめました。
- すぐに使える方法を段階的に紹介
- スクリーンショットではなく「高解像度・ベクターデータ」を取得できる手段
- Windows・macOS・Linux・オンラインツールを網羅
- 取得後に編集する際のおすすめソフトとワークフロー
これらを実践すれば、図の取り出しと編集が「図を貼り付ける」レベルで完結します。さっそく一歩ずつ見ていきましょう。
PDF図の種類と保存方法を理解する
PDFに埋め込まれる「図」はざっくり2種類に分けられます。
- ラスター画像(JPEG, PNG, GIF など)
- ベクター画像(パス、テキスト, EPS, PDF の内図)
ラスター画像の場合
- 画質は元の画像解像度に依存。
- 画質が低い場合は拡大すると画面がギザギザになる。
- 直感的に「コピー」→「貼り付け」で画像が取得できるが、解像度は限界。
ベクター画像の場合
- 1ピクセル単位でなく「パス」で表現されるため、拡大縮小しても鮮明。
- ただし、PDF内の「図形要素」だけがベクターとして残っているかはツール次第。
- ベクターをそのまま編集したい場合は、IllustratorやInkscapeなどのベクターデータ編集ソフトが必要。
1. スクリーンショットで「クイックダウンロード」
最も手軽な方法。
# Windows
Win + Shift + S で範囲選択 → クリップボードにコピー → PaintやGIMPに貼り付け
# macOS
Command + Shift + 4 で範囲選択 → デスクトップに PNG 保存
# Linux (GNOME)
Shift + PrintScreen で範囲選択 → クリップボードへ
メリット: ①即時性、②設定不要
デメリット: ①画質が低い場合が多い、②編集時に拡大するとノイズが顕著になる
スクリーンショットは「確認用・下書き」程度に留め、正式に使う図は別途取得するのがベストです。
2. Adobe Acrobat Pro DC を使った方法
Acrobat Pro DC は PDF を「画像」や「SVG」へ変換できる便利ツールです。
画像として保存
- Acrobat で PDF を開く
ツール→ページを整理→画像を保存- ここで PDF 内のすべての画像を一括で取得
- 取得した画像は JPG/PNG(解像度設定あり)
区切り部分だけを選択して保存
画像を選択ツール(カーソルで四角形選択)右クリック→画像をコピー- 任意の画像編集ソフトへ貼り付け
注: PDF が暗号化されている場合は、まずパスワード解除が必要です。
3. PDF-XChange Editor でベクターをPNGへ変換
無料版からも十分に使える「PDF-XChange Editor」にはベクターコピー機能があります。
1. PDFを開く -> 右側メニューの「画像を抽出」ツール
2. 抽出したい範囲をドラッグ
3. 右クリック → 「画像を保存」 -> PNG (高解像度, 無劣化)
この方法では、元の図がベクターならそのまま高解像度で取得できます。
4. コマンドラインで一括抽出
スクリプトや業務フローに組み込みたいケースはコマンドライン。以下のツールがおすすめです。
4‑1 pdfimages(Ghostscript が必要)
# 画像として抽出(JPG 形式)
pdfimages -j input.pdf output_prefix
-jはJPEGをそのままコピー、-pngはPNGで抽出- 取得されたファイルは
output_prefix-000.jpeg,output_prefix-001.jpegという名前で保存
4‑2 ImageMagick を使った一括変換
magick input.pdf[0-9] output_%02d.png
input.pdf[0-9]は 10ページ目までを対象- 10〜50ページまで抽出したい場合は
[0-49]
4‑3 pdf2image(Python ライブラリ)
from pdf2image import convert_from_path
pages = convert_from_path('input.pdf', dpi=300) # 300DPIで変換
for i, page in enumerate(pages):
page.save(f'page_{i+1}.png', 'PNG')
Python のため、データサイエンスや自動化タスクに組み込みやすい。
5. 取得した画像を編集するベストプラクティス
5‑1 ベクターデータとして再構築
PDF に埋め込まれたベクターテキストや線を元に再構築する場合、Inkscape が無料で強力です。
ファイル→インポートで PDF を読み込むツールバーでノード編集、カラー調整エクスポートで SVG/PDF 形式に保存
ポイント: PNG からではなく直接 PDF をインポートすることで、ベクター要素を保護できる.
5‑2 画像編集ソフト
- GIMP(無料)
- 画像をレイヤー化し、透過情報を保持
エフェクト→フィルタでノイズ除去
- Adobe Photoshop(有料)
レイヤー→画像調整の幅広いオプションベジェ曲線でテキストをベクター化
- Canva(オンライン)
- UI が直感的で、簡単に文字を追加・回転可能
5‑3 デザインツールで仕上げ
取得&編集した図をレポートやスライドに挿入する際は、
- Microsoft PowerPoint / Google Slides
- 画像の
PNG (透過)を挿入し、レイアウトを調整 - 透明度・エフェクトを付けて見栄えを向上
6. よくある質問(FAQ) & トラブルシューティング
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| Q1. PDF 内の図が全てJPEG しか出てこない | PDF がセキュリティで編集制限されている可能性があります。Adobe Acrobat DC でパスワード解除後、画像抽出機能を再度試してください。 |
| Q2. 画像の解像度が必要以上に低い | pdfimages で取得する際 -jpeg オプションを外すか、pdf2image で DPI を 300 以上に設定してみてください。 |
| Q3. 画像がぼやける/ノイズが出る | スクリーンショットで取得した場合は本番は画像の再取得を検討。もし画像のみならば GIMP の「ノイズ除去」フィルタを適用。 |
| Q4. 画像を編集したあと再度 PDF に戻したい | Inkscape で編集後、ファイル → エクスポート → PDF で同じレイアウトを保持したまま出力してください。 |
| Q5. 画像を多く取ると出力が遅い | pdfimages コマンドでは jpeg 変換が高速です。代替として pdftocairo -png で一括変換をお試しください。 |
まとめ
-
目的に合わせたツール選び
- スクリーンショットは手軽だが解像度が不安定
- Acrobat Pro/ PDF-XChange Editor は UI で簡単に「画像」取得
- コマンドラインは大量取得に最適
-
解像度を落とさずに再利用
- ベクターデータが残っていれば Inkscape で編集
- JPEG/PNG なら GIMP/Photoshop で補正
-
最終成果物:
- 高解像度 PNG(レポート・プレゼン)
- SVG/PDF(再編集・拡大縮小)
PDF から図を抜き出すことは、ただ単に「コピーして貼る」以上の工夫が必要です。この記事の手順を参考に、必要な品質と編集性を両立させてください。次回のレポートや論文、プレゼン資料で「図の質が全体を左右する」瞬間に、ぜひ活用してください。


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