はじめに
PDF文書に署名を入れると、作成者や承認者が確かにその文書を承認したことを証明できます。
でも、PDFに署名を入れると聞いて「どうやってやるの?」、「デジタル署名って何?」と戸惑う方も多いでしょう。
この記事では、PDF署名の基礎知識から、初心者でもわずか2分で実行できるセットアップ手順、そして署名を活用するコツまでを解説します。
「PDF署名って何?」「どんなソフトなら簡単にできる?」と疑問に答え、実際の手順を踏むことで、すぐに業務や個人利用に落とし込めるようにします。
PDF署名とは?
PDF(Portable Document Format)は、文書をデジタルで固定したまま共有したいときに使われる標準フォーマットです。
PDFに「署名」を埋め込むと、以下の2つが実現できます。
| 目的 | 具体例 |
|---|---|
| 真正性の保証 | 「この文書は○○さんが作成しました」という事実を、他人が改ざんできないように証明 |
| 承認の証明 | 「私はこの契約書に同意します」という意思表示をデジタルで残す |
署名には主に デジタル署名 と 電子署名 の2種類があり、使い分けは用途に応じて行われます。次にそれぞれの特徴を見てみましょう。
署名タイプ:デジタル署名 vs 電子署名
| 項目 | デジタル署名 | 電子署名 |
|---|---|---|
| 法的効力 | 最高レベル(多くの国で法的に証明力が高い) | 低〜中程度(国内法や用途による) |
| 証明情報 | X.509証明書を使い、公開鍵暗号化で検証 | 署名自体に認証情報は含まれず、署名フォームで証明情報を添付 |
| 導入コスト | 専用証明書発行が必要 | 無し/最低限の設定で済む |
| 対応ツール | Adobe Acrobat, Foxit, Nitroなど | Adobe Acrobat, Edge, Preview, オンラインプラットフォーム |
| 使い方 | 署名を押す前に証明書を読み込む | 署名欄をクリックし、手書き・画像・テキストで署名 |
| 管理 | 証明書失効・期限管理が必須 | 署名情報は文書内部に保存されるだけで、外部管理不要 |
結論:正式な契約書や機密文書にはデジタル署名、内部承認や一時的な同意書なら電子署名で十分です。
しかし、今回の解説では「初心者」向けとして、手軽にできる電子署名(デジタル署名を使わない)を中心に紹介します。
必要に応じて「無料のデジタル証明書」取得も併せて案内します。
署名に必要なもの:デジタル証明書の取得(必要なら)
デジタル署名を入れたい場合は、まずX.509 証明書を取得します。
- 公的認証局(認証機関):DigiCert、Symantec、Actalis、Fujitsu IDPなど。
- 手数料:数百円〜数千円。
- 期間:1〜5年。
-
取得手順
- 認証局の公式サイトへアクセス。
- 購入フォームに必要情報(氏名、メール、本人確認書類)を入力。
- 購入完了後、証明書をダウンロード、パスワード付きで保存。
これをAdobe Acrobatで設定すれば、署名時に自動で証明書が読み込まれます。
※今回は「最小コスト」で済ませる方法として「電子署名」の手順を重視しますが、必要に応じて上記証明書取得手順も併記しています。
Windows 版で PDF 署名を入れる【Adobe Acrobat DC】
-
Acrobat を開く
- PDF ファイルをダブルクリックして開きます。
-
署名ツールへアクセス
- 右端のツールバーから「署名」>「署名を追加」または「デジタル署名を追加」を選択。
-
署名箇所の配置
- PDF の任意の位置をクリックすると「署名フィールド」ダイレクトに配置されます。
-
署名情報を入力
- 「署名を作成」ダイアログで「名前」「会社」「役職」などを入力し、署名を確認。
- ここで電子署名を選択すれば、証明書不要で単純に署名画像が挿入されます。
-
署名完了
- 「OK」を押すと、署名情報が PDF に埋め込まれます。
-
保存
- 上書き保存、または「名前を付けて保存」で別ファイル。
ポイント
- 署名位置は「フィールドサイズ」調節が可能。
- 「署名を検証」タブが表示されれば、後で確認が簡単にできます。
Windows 版で PDF 署名:Edge ブラウザ(無料)
Edge は組み込みの PDF ビューアで簡易署名を可能にします。
- PDF ファイルを Edge で開く。
- 右上の「…」>「署名」>「署名を挿入」
- 署名方法を選択:
書き込み(手書き)か画像を挿入 - 署名図を作成/アップロードし、位置調整、保存。
- ファイルを「名前を付けて保存」で保存。
Edge のメリットは、追加ソフト不要で即座に署名できる点です。
ただし、暗号化や検証機能が基本的にオフライン版としては限定的です。
Mac 版で PDF 署名【Preview】
Mac の標準アプリ「Preview」でも簡単に電子署名が可能です。
- PDF を Preview で開く。
- 上部メニュー「表示」→「ツールバーを表示」→「注釈」を選択。
- 「署名」>「署名を作成」
- トラックパッドで手書き、もしくはiPhone/タブレットの「Apple Pay」を使って iPad で作成。
- 署名をタップ&ドラッグで PDF 上の任意の位置へ配置。
- 位置・サイズを調整し、保存。
備考
- Preview で生成した署名は テキストベースの画像であるため、あとから署名情報を編集することはできません。
- しかし、必要な情報(氏名・日時)は「注釈」>「テキスト」から手動で入力できます。
モバイルで PDF 署名(Android & iOS)
iOS (「ファイル」アプリ)
- 「ファイル」アプリで PDF を選択。
- 右上の **「編集」→「注釈」→「署名」**を選択。
- 署名作成後、ドラッグで配置し「完了」→「保存」
Android(Google PDF Viewer)
- PDF を開き、**「編集」**ボタン(鉛筆アイコン)をタップ。
- 「テキスト」>「署名」を選択し、手書きでサイン。
- サイズ・位置を調整し、「保存」
ポイント
- 手書き署名はタッチパッド上で行うため、サイズ・スタイルが自由に調整できます。
- ただし、検証機能(デジタル署名としての確認)はサポートされていない場合が多いです。
オンラインサービスで PDF 署名(無料版)
Smallpdf、SignRequest、DocuSign など、インターネット上で簡単に署名・共有できるサービスがあります。
- 公式サイトにアクセスし、PDF をアップロード。
- 「署名」オプションを選び、手書き、画像、テキストで署名。
- 署名位置をドラッグ&ドロップで調整、保存。
- 必要であれば、署名情報をメールで共有。
メリット
- インストール不要、ブラウザだけで完結。
- 署名後の PDF をすぐにダウンロード・共有可能。
デメリット
- ファイルのアップロード先が外部サーバーになるため、機密性が高い文書の取り扱いは注意が必要。
- 無料版は機能制限(署名数、ファイルサイズ)がある場合があります。
署名設定の詳しい操作
1. 署名フィールドのサイズと位置
- PDF 署名ツールでは、フィールドサイズ(高さ×幅)を数値入力できることが多いです。
- 大きすぎると文字が切れるので、必要最低限の大きさ(例:80×40px)を推奨。
2. 署名情報の記入
- 署名者名・役職・部門・メールアドレスなどを併記。
- Adobe Acrobat では「署名パラメータ」ダイアログで「情報を表示」チェックすると、署名時に表示される「名前」「会社」「役職」の項目を設定可能。
3. 有効期限の設定(デジタル署名の場合)
- デジタル証明書が有効期限を持つため、証明書の失効日まで署名が検証可能です。
- 期限満了後は PDF 署名が無効(警告)になるので、期限前に更新を行うようにしましょう。
4. 署名ロック(編集不可)
- 署名後に PDF の編集を防ぐ「署名をロック」も設定できます。
- Adobe Acrobat なら「署名を確認」>「文書を保護」>「署名の検証を有効にする」で可能。
署名を検証する方法
| 方式 | 検証手順 |
|---|---|
| Adobe Acrobat Reader | PDF を開き「表示」>「署名」>「署名検証」を確認。 |
| Preview (Mac) | 署名をクリックすると「署名の情報」ポップアップが表示。 |
| Edge | 署名を選択し右クリック > 「署名を確認」 |
| オンライン | Smallpdf などのサイトで「検証」ボタンを押す。 |
ポイント
- 「署名の有効性」→「有効」か「無効」か。
- 「証明書の情報」→「発行元」「失効日」を確認すると、デジタル署名の信頼性を判断。
よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 署名が表示されない | フィールド位置が画面外 | 位置を調整、またはフィールドサイズを縮小 |
| PDF が開けない | 署名に使った証明書の失効 | 別の証明書を取得、または電子署名に切替 |
| 署名が「検証できない」 | オンラインで保存したときに「署名を削除」設定が入っていた | 署名時に「検証を有効にする」オプションをON |
| 署名位置がずれた | 画面の DPI が異なるデバイス間での表示 | PDF を標準サイズで作成し、スケールを 100%に設定 |
署名をもっと安全に:ベストプラクティス
-
証明書の安全保管
- デジタル署名を使用する場合、秘密鍵は USB ストレージやハードウェアセキュリティモジュール(HSM)に保存。
-
定期的な監査
- 署名された文書を年に数回確認し、証明書有効性が保たれているかチェック。
-
多要素認証
- 署名プロセス自体にスマートカードや OTP を組み合わせる。
-
署名ポリシー
- 会社/チーム内で「どの文書に署名を入れるべきか」「署名者の権限は?」といったルールを策定。
まとめ(初心者でも2分でできるサイン)
-
ツール選び:
- Windows → Adobe Acrobat / Edge
- Mac → Preview / Adobe Acrobat
- モバイル → ファイルアプリ・Google PDF Viewer
- オンライン → Smallpdf / SignRequest
- 署名方法:手書き・画像・テキストで登録。
- 署名位置と情報:必ず名前・日時・役職を入力。
- 保存&共有:PDF を保存し、必要なら共有。
以上を踏まえて、まずは「無料で使える電子署名」(証明書不要)を試し、慣れたらデジタル署名にステップアップできれば完璧。
PDF 署名は「法的効力を持たせる」ときも、単に「同意を示したい」ときも、シンプルに取り扱えるツールです。
「初心者でも2分で分かる!」というテーマの通り、さっそく一つの文書に署名を埋め込むことで、ビジネスの証書管理がスムーズになります。
ご質問や実際の署名体験談があればコメントで共有ください!


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