PDFのパスワード解除を安全に行うための基礎知識
PDFに設定されたパスワードは、機密情報を守るために欠かせません。しかし、本人が忘れてしまったり、古いファイルを開く必要が生じた時に「パスワードがわからない」という状況に直面することもあります。そうしたとき、パスワードを安全に、確実に解除できる方法が求められます。本記事では、合法的に自分で所有するPDFのパスワードを解除するための最速で効率的な手段をまとめました。読者が「PDFのパスワードが分からない」と疑問に思った瞬間に検索されるキーワードを想定し、具体的なステップから注意点まで網羅します。
1. パスワードタイプ別に対策を決める
パスワード付きPDFは大きく「開封パスワード(ユーザーパスワード)」と「権限制御パスワード(オーナーパスワード)」の2種類に分類されます。解除方法はそれぞれ異なるため、まずはどちらのパスワードかを特定することが重要です。
| パスワード | 作用 | 解除方法 |
|---|---|---|
| ユーザーパスワード | PDFを開く際に入力が必要 | クリアパスワードで解除 |
| オーナーパスワード | 印刷・編集・コピー制限を解除 | 変更/削除を許可するオプションを使用 |
1‑1. クリックで確認する方法
- Adobe Acrobat Reader DC(無料版)でPDFを開こうとすると、パスワード入力画面が表示されます。ここで入力できないか、一度だけ「閉じる」を選び、ファイル > プロパティ > セキュリティに移動します。
- 「ドキュメント保護モード」が「パスワードによる保護」に設定されている場合はユーザーパスワード。
- 「権限が制限」にチェックが入っている場合はオーナーパスワード。
- もし不明な場合は、ファイル > プロパティ > アクセシビリティの「アクセシビリティ設定」でも確認可能です。
2. パスワードを見つける/再取得の合法的な手段
2‑1. メールやクラウド通知から検索
-
送信元のメールの添付情報
PDFを送受信したメールの件名・本文に「パスワード」や「暗号化」の記載があるか確認。 -
クラウドストレージの共有リンク
Google Drive、OneDrive、Dropboxなどで共有されたPDFにはコメントセクションにパスワードが添付されていることがあります。 -
過去のメモアプリ
Apple Reminders、Google Keep、Evernoteなどに「PDF パスワード」とタグ付けしている場合があります。
2‑2. パスワードを想起するヒント
-
業務で使用しているワンタイムパスワード
会社のポリシーで使用しているパスワードに「pdf」や「doc」という接頭辞が付いている場合。 -
日付+キーワード
作成日やイベント名+「password」形式で試す。
2‑3. パスワードのリセット要請
-
ファイルの提供元に連絡
PDFを送った相手に、パスワードを忘れた旨を正直に伝え、再送またはリセットを依頼しましょう。 -
PDFの編集権限持ち
オーナーパスワードを持つ人物がいれば、PDFを開き直し、権限削除やユーザーパスワードのリセットを行います。
3. 自前でパスワード解除するためのソフトウェア選択
以下は代表的な、合法的に自宅または業務機器で利用できるパスワード解除ツールです。すべて、自分が所有するPDFだけを対象に使用してください。
| ソフトウェア | 主な機能 | 推奨レベル |
|---|---|---|
| PDFCrack (オープンソース) | コマンドラインでハードワード検索 | 初心者向け・Linux・macOS |
| Elcomsoft PDF Password Recovery | GUI・GPU強化・辞書攻撃 | 高度な設定が必要 |
| GATIBOT (無料版) | 辞書・ブルートフォース併用 | 友人・家族向け |
| Adobe Acrobat Pro DC | パスワード解除・権限制御変更 | 業務で既に購入済み |
3‑1. コマンドラインからPDFCrackを試す
# インストール
sudo apt-get install pdfcrack # Debian/Ubuntu
brew install pdfcrack # macOS
# 基本的な実行例
pdfcrack -f mydocument.pdf
-
-fでファイルを指定。実行中は途中経過と推定残時間が表示されます。 - ブ루트フォース攻撃は時間が掛かります。辞書ファイル(
-dオプション)を併用すると効率が上がります。
3‑2. Elcomsoft PDF Password Recoveryで簡易操作
- インストール → Windows版を公式サイトから購入ダウンロード
- PDFファイルをドラッグ&ドロップ
- 「オプション」で【パスワードの種類】を選択
- ユーザーパスワード → 「パスワード認証」
- オーナーパスワード → 「権限解除」
- 「辞書攻撃」を選択し、既知の語彙ファイルを設定
- 「開始」をクリックすると自動的に試行開始。
- 成功したら「パスワードを入力して開く」から確認。
3‑3. Adobe Acrobat Pro DCで権限解除
- Acrobat Pro DC を起動 → ファイル > 開く
- パスワードを入力(ユーザーパスワード)
- ツール > セキュリティ → パスワードセキュリティの設定
- 右側の「権限制御」タブで「印刷・編集・コピー等」を許可する
- 保存 すると、以後のアクセスは制限なくなります。
4. ブルートフォース攻撃・辞書攻撃を使った回復
パスワードが強度が高い場合は、攻撃ベースで解除を試みる必要があります。ここでは実際に行う手順とコツを解説します。
4‑1. 辞書攻撃
-
辞書ファイル: すでに存在するキーワードリスト(例:
rockyou.txt)を使用 -
実装例: PDFCrackで辞書攻撃は
-d rockyou.txt - メリット: 人工的に推測されやすい単語を重点的に試すため成功率が高い
- デメリット: 辞書に存在しないパスワードは見逃す
4‑2. ブルートフォース攻撃
- 全組み合わせ: 指定文字種(大文字・小文字・数字・記号)へ全数を試す
-
ソフト例:
pdfcrack -c 1-5で1文字〜5文字までを全探索 - メリット: パスワードが短い場合には最短解決
- デメリット: パスワードが12文字以上の場合、計算時間は何年単位に膨れ上がる。
4‑3. GPUベースの高速化
- Elcomsoft や PDFunlocker は NVIDIA GPU を利用した高速化に対応。
- セットアップ: GPU ドライバを最新に保ち、CUDA Toolkit もインストール。
- 実行例:
pdfunlocker -o output.pdf -f input.pdf -puser -gpu 1
- GPU 効果は「1〜10倍」速くなるケースがあるが、ハードウェアに依存します。
5. パスワード解除後のデータ処理とセキュリティ
パスワードを解除してしまった後は、ファイル管理と情報保護に注意が必要です。
5‑1. ファイルの暗号化を再設定
- Adobe Acrobat Pro DC で、必要であれば再度パスワードを設定
- 既に破壊された権限制御は、PDFプロパティから「編集・印刷制限」を再設定
5‑2. バックアップの管理
- 解除済みファイルは 外部メディアや クラウドバックアップに暗号化して保存
- バックアップファイルにもパスワードを付けるか、ハードウェアロック(USB‐TK)を併用
5‑3. 法的遵守
- PDFの内容が業務機密や顧客情報を含む場合、**個人情報保護法(GDPR・日本個人情報保護法)**に対応
- パスワード解除は本人・組織承認のもとでのみ行うこと
- 解除したファイルを社外へ流用する際は、適切な暗号化やアクセス権の設定を行う
6. よくある質問(FAQ)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| パスワードが分からない場合、合法的に復元できるの? | 自分が所有するファイルに限り、パスワードが忘れた本人が使用できる手段は合法です。業務外で第三者のファイルを解除することは違法行為です。 |
| 一括で複数 PDF のパスワードを解除したい | Elcomsoft の「Batch Mode」や「Command Line」機能を利用すると、複数ファイルを一括で処理可能です。 |
| PDFのパスワード解除はウイルスに弱い? | 解除作業自体は安全ですが、ウイルス感染を防ぐためには安全なソフトウェアのみを使用し、信頼できるサイトからダウンロードしてください。 |
| パスワード解除は元の PDF 構造を壊す? | ほとんどの場合、構造は保持されますが、編集制限や署名は消去されることがあります。事前にバックアップを推奨します。 |
7. まとめ
PDF のパスワード解除は、本人が所有するファイルに限って合法的に行うことができます。まずは「ユーザーパスワード」か「オーナーパスワード」かを判定し、パスワードを手元に探し出せるか、メール・クラウド情報・メモを検索します。手がつかないときは、オープンソースの PDFCrack や商用 Elcomsoft などのツールを活用し、辞書攻撃・ブルートフォース攻撃で解除を試みます。解除後は再度暗号化し、バックアップとアクセス管理を徹底することで情報漏洩リスクを抑えます。
「PDF のパスワードが分からない」「どうすれば安全に解除できる?」という疑問に対し、読者が「手順をすぐに実行できる」「セキュリティを損なわない」ことを重視した記事構成に仕上げました。皆さんにとって、PDF アクセスのハードルが下がり、業務・プライベートともにスムーズに情報共有できる環境が整うことを願っています。


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