パソコンやスマホでPDFを扱う機会は増えている一方で、PDFは変更が難しいというイメージが根付いています。
しかし、正しいツールと手順を知れば、テキストの修正・画像の差し替え・署名の追加・レイアウト調整といった作業を自在に行えます。
本記事では、2024年最新版における「無料ツール」と「有料ソフト」の両面から、PDFの編集方法を徹底解説します。
さらに、編集時の注意点やワークフローも提案しているので、これからPDF編集に挑戦したい方は必ず読んでください。
PDF編集の必要性と基本流れ
なぜPDFを編集するのか?
- 業務上の修正が必要 – 請求書、契約書、報告書等、PDFで配布された資料を誤字・脱字で訂正するケースが多い。
- データの再利用 – 既存のPDFをベースに新しいレポートを作る。
- デジタル署名 – 署名欄を追加したい、または既にサイン済みのファイルに再署名したい。
- レイアウト最適化 – ページサイズや余白、フォントサイズを変更して印刷時の見栄えを整える。
一般的な編集の流れ
- 目的に合ったソフトを選ぶ
- 編集モードに切り替える(テキスト編集、画像配置、フォーム作成など)
- 変更点を確認し、必要ならバージョン管理やコメントを残す
- 署名やセキュリティ設定を追加
- 最終チェック後に保存・書き出し
1. 無料ツールで手軽にできる編集
無料にも関わらず、実用的な機能を備えたツールは数多く存在します。ここでは代表的なものを紹介します。
| ツール | 主な機能 | OS | 価格 |
|---|---|---|---|
| Adobe Acrobat Reader DC | コメント、署名、簡易編集 | Windows/Mac/Android/iOS | 無料 |
| PDF-XChange Editor | テキスト・画像編集、OCR | Windows | 無料版あり |
| LibreOffice Draw | ページレイアウト調整、図形挿入 | Windows/Mac/Linux | 無料 |
| Foxit Reader | フォーム入力、署名 | Windows/Mac/Android/iOS | 無料 |
| Smallpdf | ウェブベースの編集 | Web | 無料プラン有 |
1‑1. テキスト・画像の修正
-
Adobe Acrobat Reader DC
「コメント」→「テキスト追加」で文字を挿入。削除は「注釈を削除」から。画像挿入は「編集」→「画像追加」ではなく、別ソフトで画像を挿入してPDFに貼り付ける方法が多い。 -
PDF‑XChange Editor
画面左側のツールバーから「編集ツール」→「テキスト」や「画像」で直接編集可。バージョン制御機能があるため、元のファイルが残るのが安心。 -
LibreOffice Draw
PDFを開くとページが独立したオブジェクトとして表示。図形ツールや文字ツールで自由に配置できる。
「ファイル」→「エクスポートPDF」で保存。
1‑2. フォームや署名
-
Adobe Acrobat Reader DC
「フォームを埋める」モードでフォームフィールドを入力し、署名欄にデジタル署名を追加。
署名は「署名の挿入」→「署名の作成」で行う。 -
Foxit Reader
「フォームの記入」→「署名」を利用。署名用に電子署名証明書を設定できる。 -
Smallpdf
ウェブで「署名」を選択。マウスやタッチで署名を書き込み、配置後に確定。
1‑3. レイアウト変更
-
PDF‑XChange Editor
ページサイズ変更は「ファイル」→「ページ操作」→「ページサイズ変更」から。余白やページのトリミングもここで。 -
LibreOffice Draw
ページ設定から用紙サイズを変更し、すべてのページを一括で適用。ページ背景や余白は「ページ設定」で調整。 -
Smallpdf
「PDFを編集」→「ページの回転/削除/変更」で直感的に操作。
2. 有料ソフトでプロフェッショナルに編集
無料ツールでは実現しにくい高度な編集やセキュリティ機能を求めるなら、有料ソフトを選択します。代表的な商用ソフトは以下です。
| ソフト | 主な特徴 | OS | 価格 |
|---|---|---|---|
| Adobe Acrobat Pro DC | 本格的な編集、OCR、多重署名、配布管理 | Windows/Mac | 月額約¥1,200/年額約¥10,000 |
| Foxit PDF Editor | 速い起動、クラウド連携、PDF/A変換 | Windows/Mac | 月額約¥1,000 |
| Nitro Pro | PDF作成・編集・変換、電子署名 | Windows | 一括購入約¥20,000 |
| PDF Studio | コストパフォーマンス高い編集ツール | Windows/Mac/Linux | 一括購入約¥20,000 |
2‑1. Adobe Acrobat Pro DC – 業界標準
-
テキスト・画像の高度編集
「ツール」→「編集PDF」でレイアウトを自由に再構築。
文字サイズやフォント、行間も直感的に変更可能。 -
多ページ編集
*「ページを整理」*でページ番号の入れ替え、削除、追加が一括で行える。 -
OCR機能
スキャンした画像PDFをテキスト化し、検索・編集が可能。
*「ツール」→「OCR」→「今すぐOCR」で処理。 -
電子署名
署名フィールドを自動で検出し、署名・証明書管理が容易。
*「ツール」→「署名と証明書」*で設定。 -
PDF/A変換
アーカイブ用PDFを作成。フォント埋め込みや相対パスの解除を自動化。
2‑2. Foxit PDF Editor – 軽快でクラウド優先
-
連携型編集
Cloud(Dropbox, Google Drive, OneDrive)と連携し、ブラウザ上でも同じファイルを編集可能。 -
バージョン管理
同じファイルの異なるバージョンを自動保存し、差分を比較。 -
セキュリティ機能
パスワード付き暗号化、デジタル署名、ファイル埋め込みなどが標準搭載。
2‑3. Nitro Pro – コストパフォーマンス重視
-
PDF作成機能
WordやExcelから直接PDF化、または既存PDFにテキスト・画像を追加できる。 -
レイアウト調整
余白、マージン、ページボーダーをドラッグ&ドロップで変更。 -
OCRと変換
高速で高精度なOCRを実装しており、画像からテキストへの変換がスムーズ。
2‑4. PDF Studio – オープンソース感覚で手軽に使える
-
クロスプラットフォーム
Linuxでも動作するため、サーバー環境で自動化処理を組み込みやすい。 -
コマンドラインツール
pdftk-gtkでバッチ処理が可能。 -
PDFの圧縮
画像圧縮や不要オブジェクトの削除を行い、ファイルサイズを小さく保てる。
3. デジタル署名とセキュリティ
PDFは情報の共有・承認に不可欠なファイル形式ですが、セキュリティが甘いと改ざんリスクがあります。以下に代表的な対策を紹介します。
3‑1. 署名の設置
-
モノライン署名
署名と日付だけを埋め込む。 -
多要素署名
X.509 証明書と組み合わせ、発行元、期限、署名者の詳細を含める。 -
署名フィールドの検出
PDFエディタで自動検出し、署名作業を簡素化。
3‑2. パスワード保護
-
暗号化レベル
128ビット以上のAES暗号を使用し、大半の商用ソフトで対応。 -
制限付きパスワード
印刷禁止、コメント削除、コピー禁止などを設定。
3‑3. PDF/A & PDF/X 標準
-
アーカイブ向け
PDF/Aは長期保存に最適。フォント埋め込み、相対パス破棄、メタデータ管理が必要。 -
印刷業務向け
PDF/Xは印刷業務で必要とされる設定(コントロールパネル、トーンマップ)を保証。
3‑4. 署名・暗号化の自動化
-
スクリプト
Adobe Acrobat (Acrobat SDK) では JavaScript で自動署名。 -
CLI ツール
qpdf,openssl,mutoolでコマンドライン上で署名・暗号化。
4. ワークフローの構築例
4‑1. 共有・レビューの流れ
- 作成 – Word/Excel → PDF
- 編集 – PDF Studio (無料版可)で初稿を調整
- レビュー – 共有リンクで関係者にコメントをもらう (Adobe Acrobat Cloud)
- 最終修正 – Adobe Acrobat Pro で内容を統合
- 署名 – 署名フィールドを設置 → 数多く署名者に配布
- 保存 – PDF/A で保存し、クラウドにアップロード
- バックアップ – 物理CDまたは外部HDDにアーカイブ
4‑2. バッチ処理で効率化
-
PDF合併
qpdf --empty --pages *.pdf -- output.pdf -
OCR一括
ocrmypdf *.pdf output.pdf -
圧縮
ghostscript -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 -dPDFSETTINGS=/ebook -o compressed.pdf original.pdf
5. おすすめ選択ガイド
| 目的 | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| 小規模な修正・コメント | PDF‑XChange Editor | 低コストで高機能 |
| 大量のPDFを扱う企業 | Adobe Acrobat Pro DC | 高度なOCR、配布管理機能 |
| Linux 環境での連携 | PDF Studio | クロスプラットフォーム、CLI対応 |
| 費用を抑えたい個人 | LibreOffice Draw / Smallpdf | 無料で必要最低限の編集が可能 |
| スマホで署名したい | Adobe Fill & Sign (iOS/Android) | 軽量でモバイル重視 |
まとめ
PDFの編集は「パソコンにPDFを載せて直す」という単純な作業ではなく、目的・レベルに応じたツール選択と手順設計が重要です。無料ツールも基本的なテキスト編集や署名まで対応していますが、OCR精度やレイアウト調整、セキュリティ・バージョン管理までトータルに行いたい場合は、Adobe Acrobat Pro DC や Foxit PDF Editor のような有料ソフトが有利です。
適切なワークフローを構築し、必要に応じて自動化スクリプトを組み込むことで、PDF作成・編集の業務を劇的にスピードアップできます。
PDFを自在に操作し、業務の効率化と精度向上を実現しましょう。


コメント