PDFの暗号化を簡単に解除する方法:初心者向けステップバイステップガイド

はじめに

PDFファイルにパスワードをかけると、閲覧や編集、印刷を制限できます。
しかし、何らかの理由で忘れてしまったり、必要なときにパスワードを入力せずに閲覧したいケースもあります。
ここでは、初心者でも分かりやすいステップバイステップで、PDFの暗号化を解除する方法を紹介します。
注意事項として、暗号化を解除する際は必ず「自分が所有するファイル」や「権利を持つファイル」に限るようにしましょう。権利のないファイルの暗号化解除は違法行為に該当します。


1. PDFの暗号化の種類を知る

PDFの暗号化には主に2種類があります。

種類 特徴
パスワード保護(ユーザーパスワード) ロックを解除するにはパスワードが必須。閲覧は可能な場合もあり。
アクセス権限制御(暗号化キー) パスワードなしで開けるが、印刷や編集が制限されている。

暗号化の解除方法は、どちらのパスワードが設定されているかにより手順が異なります。


2. Adobe Acrobat DCを使ってパスワードを解除

Adobe Acrobat Readerだけでは解除できませんが、Acrobat ProPro DCを持っていれば簡単です。

ステップ

  1. Acrobatを起動し、ファイル > 開く で対象PDFを選択。
  2. 上部メニューに「保護」タブがある場合は直接開くときにパスワードが求められます。
  3. パスワード(ユーザーパスワード)が分かっている場合は入力し、開いたら ファイル > 名前を付けて保存
  4. 保存時に「セキュリティ」オプションを表示し、「パスワードで保護」をオフにして保存。

これでパスワード保護は解除されます。

ポイント: これらの操作は、PDFの暗号化方法が非強化なAES 128Bitの場合に有効です。強化された暗号化(AES 256Bit など)には別途ツールが必要になる場合があります。


3. 無料オープンソースツール「qpdf」で簡単解読

qpdf は Linux・macOS・Windows で動作し、複雑な設定なしに暗号化を解除できます。

インストール

  • Linux (Ubuntu など)

    sudo apt-get install qpdf
    
  • macOS

    brew install qpdf
    
  • Windows
    公式ビルドをダウンロードし PATH に追加 (またはダブルクリックで実行)。

解除手順

qpdf --password="入力したいパスワード" --decrypt source.pdf output.pdf
  • source.pdf: 解除したいファイル
  • output.pdf: 解除後のファイル名

パスワードが分からない場合は、qpdf では自動的に試行(Brute Force)を行いません。以下で別途「PDFCrack」を使用します。

注意: qpdf は単に復号化操作を行うだけで、悪意のある使い方は禁止されています。


4. PDFCrackでパスワードを自動生成

PDFCrack はパスワードを列挙して試行するツールです。

インストール

  • Linux

    sudo apt-get install pdfcrack
    
  • Windows
    Windows バイナリをダウンロードし、ディレクトリへ解凍。

解除手順

pdfcrack -f source.pdf

実行すると、ハッシュ計算を行い、既知のパスワードリスト(デフォルトで英数字・記号)で試行を開始。
成功すると、解読に使用したパスワードが表示され、source.pdf のパスワードが分かります。

注意: 長い文字列や特殊文字が含まれるパスワードの検索時間は膨大です。
暗号化レベルが高い場合には実質的に不可能になることもあります。


5. オンラインサービスを利用する

代表的なサイト

  • PDF24 Tools
  • Smallpdf – PDF Unlock
  • ILovePDF – PDF Unlocker

使い方

  1. サイトにアクセスし、「PDF Unlock」または「PDF Decrypt」ボタンをクリック。
  2. ファイルをドラッグ&ドロップ、またはアップロード。
  3. パスワード入力欄に正しいパスワードを入力し、解除。
  4. 完了後、解除済みファイルをダウンロード。

メリット: ソフトウェアをインストールせず簡単に作業。
デメリット: 大容量ファイルや機密情報のアップロードには注意。


6. Mac で Preview(標準アプリ)を活用

Mac標準の Preview もパスワード解除が可能です。

  1. PDF を Preview で開く。
  2. 画面上部に表示された 鍵マーク をクリックし、パスワード入力後開く。
  3. ファイル > 別名で保存 で保護無しファイルを作成。

Preview はパスワード保護のみ解除でき、編集制限付きPDFは別途ツールが必要です。


7. Windows で「パソコン情報マネージャ」(旧名:コマンドプロンプトツール)

Windows 10 以降、cipher コマンドで暗号化解除は可能ですが、これはファイルシステムレベル(EFS)向きです。PDF 自体の暗号化解除には使えません。

なので、Windows では主に qpdf、Acrobat、オンラインサービスを選択すると良いでしょう。


8. パスワード保護付きPDFを安全に扱うためのベストプラクティス

  1. バックアップ: 解除したファイルは元々のファイルと同じ場所に上書きしない。
  2. 記録: パスワードを忘れないよう安全な場所(例えば暗号化されているメモ帳)に保存。
  3. 権利確認: PDFの著作権や配布制御を確認し、権利者以外の破壊的操作は行わない。
  4. 匿名化: 機密情報を含むPDFを外部サイトにアップロードする場合は、情報をマスクするか専用プロキシサービスを利用。

9. よくある質問(FAQ)

質問 回答
Q1. パスワードを忘れた場合、必ず解読できますか? 必ずしも保証はありません。パスワードが長く複雑な場合、試行時間が膨大になります。
Q2. PDFに印刷禁止が設定されている場合、印刷はどうすればできますか? 印刷禁止の暗号化キーを解読するには、同じ手法で解除する必要があります(qpdfに --decrypt を利用)。
Q3. 解除したファイルを再び暗号化できますか? はい、Acrobatやqpdfを使って再暗号化が可能です。
Q4. 解除作業は無料ですか? ほとんどのツールはオープンソースまたはフリーミアムです。ただし商用利用の場合は有料版が必要になることもあります。
Q5. パスワードを解読すると安全なのか? 解読後も PDF は暗号化されていないため、第三者に渡さない限り安全ですが、情報管理は個人の責任です。

10. まとめ

  • Adobe Acrobat DC: もっとも簡単だが有料。
  • qpdf / PDFCrack: 無料でオープンソース。
  • オンラインサービス: 手軽だが安全性に注意。
  • Mac Preview:Macユーザー向けの手軽なオプション。

PDFの暗号化は「情報を守る仕組み」として有効ですが、自分が所有・管理するファイルを扱う際には、適切なツールで簡単に解除することが可能です。
何か問題が起きた場合や不明点があれば、上記方法を組み合わせて試行してみてください。安全かつ合法な範囲で作業を行い、情報管理を徹底しましょう。

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