年末調整は、毎年行われる給与所得者向けの税金調整手続きです。2026年の新しいルールやポイントを押さえて、手間なくスムーズに完了できるように、実際の書類の作成や提出手続きを段階的に解説します。まずは年末調整の基本を整理し、その上で必要書類・手順・ポイントまとめてお届けします。
年末調整とは――税金のバランスを整える最後の仕上げ
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目的
- 所得税額の過不足を調整し、正確な税金を確定させる。
- 社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除などの適用を会社側で正しく処理。
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対象
- 日本国内で給与所得を得ている給与所得者(会社員・正社員・契約社員など)。
- 所得金額が一定額を下回ると、自己申告で税額は確定するため年末調整が不要。
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手続きの時期
- 原則として12月中旬〜末。企業は12月初めに情報整理し、12月中旬までに処理。
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結果
- 前年度の源泉徴収税額と実際の税負担額を照合。
- 税額が不足していれば会社の給与から差し引き過ぎた分を返却。
- 税額が余っていれば、給与から差し引き過ぎた分を追加徴収。
2026年版年末調整の変更点
2026年度の年末調整で注目すべき変更点を整理します。法改正や税率の改定がある場合は必ず確認しましょう。
| 項目 | 変更内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 税率 | 所得税の累進税率表の上限が3%増加 | 高所得者は少しだけ税負担が増える |
| 社会保険料控除 | 社会保険料控除の上限額が5%増加 | 高額課税世帯の負担軽減 |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の所得制限が上がり、控除額が12万円増 | 夫婦合算で所得が高い層に有利 |
| 住宅ローン控除 | 初年度の控除率が0.45%→0.50%に変更 | 借入額に応じた税額減が増える |
※上記変更は仮の情報です。実際の税務署や総務省の公式発表を必ず確認してください。
必要書類チェックリスト
年末調整で必要となる主な書類を一覧化。提出期限や保管期間に注意してください。
1. 基本書類
- 給与支払報告書(会社が作成)
- 源泉徴収票(翌年分の報告書)
- 健康保険・厚生年金などの保険料支払証明書
2. 控除証明
| 控除項目 | 例 | 補足 |
|---|---|---|
| 扶養控除 | 扶養親族の戸籍謄本・所得証明 | 扶養人数と所得制限を確認 |
| 配偶者控除 | 配偶者の所得証明・住民票 | 所得制限を超えないよう注意 |
| 配偶者特別控除 | 配偶者の所得証明・住民票 | 上限額・所得制限を確認 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険・厚生年金等の領収書 | 保険料の合計額を正確に算出 |
| 生命保険料控除 | 生命保険会社の控除証明 | 受取人が同一人物の場合は別途 |
| 医療費控除 | 医療費の領収書(1人あたり2000円以上) | 詳細は総務省サイトで確認 |
| 住宅ローン控除 | 住宅ローン契約書・年末残高証明書 | 初年度は住宅取得年限に注意 |
3. 重要ポイント
- コピーだけでなく原本は確定申告時に求められる可能性があります。
- 証明書の有効期限を確認し、失効しているものは新しいものを取得。
- 年間収入が給与所得以外(副業等)がある場合は追加書類が必要になります。
年末調整の実務手順(会社担当者向け)
1. 従業員情報の把握
- 社内システムから給与情報、控除対象経費の有無を抽出。
- 変更(転勤・配偶者の転居・子供の出生・死亡等)があった場合はすぐに更新。
2. 控除証明書の受領・確認
- 従業員からの証明書は口頭確認は行わず、書類レベルで正確な内容を確認。
- データ化(PDF化)して保管し、バルクアップロードなどの自動化ツールを利用すると作業効率化。
3. 計算ソフト・マニュアルの設定
- 最新の税率・控除額が反映された会計ソフトを使用。
- 自社規定に合わせ、給与額 ± 控除額で税額計算。
4. 調整の確認
- すべての従業員について、前年の源泉徴収税額と今回の計算結果を比較。
- 過不足があれば給与差引計算表を作成。
- 上限額や例外がある場合(配偶者特別控除の上限超過など)は、必ず社内チェックリストに沿って調整。
5. 変更届の提出
- 年末調整の結果を年末調整通知書として従業員に送付。
- 必要に応じて内勤手続きで税務署に報告。
6. 確定申告のサポート
- 自己申告が必要な従業員への案内資料配布。
- 疑問ポイントをまとめたFAQを社内イントラサイトに掲載。
よくある質問 (FAQ)
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年末調整が必要な所得金額の上限は?
- 2026年度は195万円を超える給与所得者が対象。超過分は自己申告で確定申告となるケースが増える可能性があります。
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住宅ローン控除は初年度から受けられる?
- 住宅ローン控除は住宅取得日から10年間の期間、初年度も適用可能です。ただし、初年度は「繰上げ損失」がある場合は除外となります。
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副業収入があると年末調整はどうなる?
- 副業が給与所得以外(フリーランス等)であれば、確定申告で全ての所得を合算して税額を確定します。年末調整は給与分だけが対象です。
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配偶者控除の所得制限を超えている場合、何か対策はある?
- 所得制限を超えた場合は配偶者特別控除に切り替えることで一部控除が可能です。所得の調整や給与控除のリクエストも検討してください。
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健康保険料が個人負担か会社負担かで差は?
- 個人負担の場合は全額控除可能ですが、会社負担分は控除対象外です。証明書に負担割合を明記することが重要です。
まとめ――スムーズに完了するためのチェックリスト
| ステップ | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 情報収集 | 正確なデータを集める | 記載ミス防止の二重チェック |
| 2. 証明書確認 | 控除額の正確性を確保 | 受領した証明書は必ずスキャン |
| 3. 計算 | 税額と控除額のバランスを調整 | ソフトの最新アップデートを確認 |
| 4. 調整提出 | 会社内で税金過不足を解消 | 期限内に届け出を完了 |
| 5. 従業員へ周知 | 従業員が不備を把握 | 重要ポイントの説明を忘れずに |
年末調整は「年末の税金整理」として、企業と従業員双方のメリットがあります。2026年度の変更点を先に把握し、必要な書類を漏れなく揃えることが最も重要です。準備を整えて、期末までに余裕を持って手続きを完了させましょう。


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