ブラウザでPDFが自動で開いてしまうと、ページ遷移が重くなったり、不要な広告表示やマルウェアの混入リスクが高まります。
それを防ぐために「PDFファイルをブラウザで開かない」設定を行う方法を、最速で実装できる手順としてまとめました。
この記事では、代表的なブラウザ(Chrome・Edge・Firefox・Safari)における設定方法だけでなく、拡張機能やサーバー側での制御、また管理者向けのグループポリシー設定までカバーしています。
1. なぜPDFをブラウザで開きたくないのか
-
パフォーマンス低下
PDFをブラウザがレンダリングすると、CPU/メモリ使用量が増え、ページ読み込みが遅くなることがあります。 -
セキュリティリスク
PDFにはスクリプト埋め込みや悪意あるフォーマットが存在し、閲覧時にマルウェアが実行されることがあります。 -
プライバシー保護
外部サイトのPDFを自動で表示することで、アクセスログや閲覧履歴が増える場合があります。 -
ユーザー体験
企業内ポータルでPDFが表示されると、ユーザーはリンクをクリックしてもブラウザ上にPDFが開くだけで、専用のPDFリーダーにダウンロードしたほうが適切になるケースが多いです。
2. Chrome(Windows・macOS・Linux)
Chrome では、組込み PDF ビューワーをオフにする設定は標準UIにありませんが、以下のようなサブステップで実現できます。
2‑1. ブラウザ設定で拡張機能を禁止
chrome://extensions/を開く。- 拡張機能を管理 → PDF Viewer が有効になっている場合は、切り替えスイッチをオフにします。
注意: Chrome 80 以降、一部 PDF リーダー拡張は標準機能であるため、スイッチをオフにしても組込みビューワーが有効。
この場合は「拡張機能の権限を制限」や「Chrome 管理者による設定」へ戻ります。
2‑2. デフォルトアプリの変更(Windows)
- Windows の設定 → アプリ → 既定のアプリ
- PDF ドキュメント の既定アプリを「Adobe Acrobat Reader®」などに変更。
- ブラウザから PDF を開くと、Chrome ではなく設定した PDF リーダーが起動します。
2‑3. ポリシーで組込みビューワーを無効化
IT 管理者がデバイス全体で統一した設定を行う場合、chrome://policy で利用可能なポリシーを適用します。
| ポリシー名 | 説明 |
|---|---|
| DisableBuiltInPDFViewer | ブラウザ内ビューワーを無効。ファイルはデフォルトアプリで開く。 |
| DownloadMode | 「ダウンロード」モードに設定し、PDF は自動でダウンロードされる。 |
手順
- グループポリシーエディタ(gpedit.msc)を開く。
コンピュータの構成 → 管理用テンプレート → Google → Google Chromeへ移動。- 上記ポリシーを見つけて有効化し、必要に応じて「ダウンロード設定」で「すべてのPDFをダウンロード」を選択。
- ポリシーを適用し、PC を再起動。
2‑4. ブラウザ拡張機能で制御
- PDFblocker
Chrome Web Store からインストールし、設定で「PDF を自動で開かない」オプションを選択。
さらに「ダウンロード」ボタンでファイルを取得できる UI を表示します。
Tips: 企業の管理下にある PC では拡張機能のインストールが制限されるため、IT 部署と連携して配布を行うと効率的です。
3. Microsoft Edge(Chromium ベース)
Edge も Chrome と同じ chrome://policy プロファイルを持っています。
3‑1. 組込み PDF ビューワーの無効化
edge://policyにアクセス。- DisableBuiltInPDFViewer を「有効」に設定。
- Edge を再起動すると、PDF がダウンロードされます。
3‑2. Edge 管理者用ポリシー
- OpenDownloadsInDefaultApp
ダウンロード時に既定のアプリで PDF を自動開く。 - OpenInNewWindow
PDF を開かせる際、新しいウィンドウとして起動。
これらは
gpedit.mscなどで管理できます。
Edge 管理テンプレート(Microsoft から提供)を入手し、グループポリシーにインポートしてください。
4. Firefox(Windows・macOS・Linux)
Firefox はデフォルトで PDF ビューワー内置ですが、簡単にオフにできます。
- 右上のメニュー → オプション → コンテンツ へ移動。
- PDF Viewers セクションで PDF.js のチェックを外します。
これで PDF は自動的にダウンロードされ、既定のアプリで開くようになります。
もし「ダウンロード」したくない場合は、about:preferences#downloadsで「ファイルのダウンロードを自動的に開く」オプションをオフにします。
4‑1. グループポリシーで統一管理
FireFox の policies.json を使用して下記設定をプロファイルに適用します。
{
"policies": {
"DisableBuiltinPDFViewer": true,
"Browser": {
"Download": {
"OpenPDFInExternalApp": true
}
}
}
}
- このファイルは **C:\Program Files\Mozilla Firefox\distribution**(Windows)や /usr/lib/firefox/distribution/(Linux)に置きます。
- ポリシーを適用後、Firefox を再起動。
5. Safari(macOS)
Safari では組込み PDF ビューワーをオフにする UI 設定はありません。デフォルトのアプリ設定によって開き方を切り替えます。
5‑1. デフォルトアプリを変更
- Finder で任意の PDF ファイルを右クリック → 情報を見る (
⌘ + I)。 - 「このアプリケーションで開く」 を PDF を扱うアプリ(例 Adobe Acrobat Reader)に変更。
- すべてを変更 をクリックして、全ての PDF が該当アプリで開くようにします。
Safari から PDF が開く際、自動でリンクを表示するのではなく、設定したアプリで開きます。
5‑2. Safari 拡張機能
- PDF Viewer Blocker(App Store で提供)
Safari 11 以上で利用可能で、PDF を表示しないように設定できます。
インストール後、設定メニューで「PDF を自動で開かない」にチェックします。
6. サーバー側(開発者向け)で PDF を表示させない構成
Web サイト側でも PDF をブラウザで開かせないようにすることができます。
特にコンテンツ配信ネットワークやファイルサーバーを管理している場合、HTTP ヘッダーを調整するだけで済みます。
6‑1. Content-Disposition ヘッダーを attachment に設定
HTTP/1.1 200 OK
Content-Type: application/pdf
Content-Disposition: attachment; filename="example.pdf"
<binary data>
これにより、ブラウザは PDF をダウンロードリンクとして表示し、内蔵ビューワーで表示しません。
6‑2. X-Content-Type-Options: nosniff
X-Content-Type-Options: nosniff
このヘッダーは MIME タイプが正しく宣言されていない場合に、ブラウザがビューワーを起動しないように促します。
6‑3. CSP(Content Security Policy)で inline PDF をブロック
Content-Security-Policy: default-src 'self';
もしくは
frame-ancestors等で PDF の埋め込みを制限し、外部からの読み込みも防ぎます。
7. まとめ:1 か所での統一管理
各ブラウザごとの設定を行うと、IT 部署・エンドユーザーの負担が分散します。
以下のベストプラクティスを参考に、組織全体のセキュリティポリシーに沿って統一化を図りましょう。
| 項目 | 具体策 | 目的 |
|---|---|---|
| 一括配布 | Chrome/Edge 用の グループポリシー、Firefox の policies.json、Safari の管理設定 |
組織全体で同一の動作を保証 |
| ユーザーへの告知 | イントラネットポータルに PDF ダウンロード手順を掲載 | 混乱を最小化 |
| 監査ログ | PDF ダウンロード時にログを収集 | セキュリティインシデント時のトレース |
| 継続的改善 | 新しいブラウザバージョンや拡張機能のリリースチェック | 設定が古くならないように |
8. よくある質問(Q&A)
Q1. PDF ビューワーをオフにしたら、PDF がそのままダウンロードされることが多いが、クリックして即座に閲覧したい場面はどうすればいい?
A:
PDF ファイルをダウンロードさせた後、エクスプローラ/ Finder で「Adobe Acrobat Reader」等を使用して開くか、Chrome/Edge の拡張 Open PDF in new tab を導入すれば、ダウンロード後に即時ビューワーで閲覧可能です。
Q2. VPN を介して外部サイトにアクセスする場合、PDF がブラウザに表示されてしまう。ポリシー変更だけで済む?
A:
大抵の場合はポリシーだけで十分ですが、外部ネットワークに特別なセキュリティポリシーが設定されていると、VPN ルールに反映されていない PDF が開かれることがあります。VPN 設定に Content-Disposition: attachment をリライトさせるような中継サーバー構成が必要になる場合もあります。
Q3. モバイル端末(iOS/Android)では同様に設定できる?
A:
iOS の Safari は「デフォルトアプリで開く」設定がありません。代わりに Google Chrome for Android などでアプリ設定を変更し、Content-Disposition ヘッダーを attachment にすることで、ブラウザ内部ビューアでなく端末内の PDF リーダーアプリへ転送されます。
9. 参考リンク & 役立つツール
- Chrome Management Policy List – https://chromeenterprise.google/policies/
- Microsoft Edge Group Policy – https://learn.microsoft.com/en-us/deployedge/microsoft-edge-policies
- Firefox Enterprise Policies – https://blog.mozilla.org/security/2020/03/12/firefox-enterprise-policies/
- PDFblocker – Chrome Web Store
- Open PDF in new tab – Chrome/Edge拡張
- Adobe Acrobat Reader – PDF エディタおよびビューア
- CSP Evaluation Tool – https://csp-evaluator.withgoogle.com/
今すぐ設定してセキュリティとユーザー体験を向上させよう
PDF がブラウザで自動開く問題は、設定一つで解決できます。この記事で紹介した手順を活用し、組織全体で安全かつ快適な閲覧体験を実現してください。


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