はじめに
A3サイズ(297 × 420 mm)のポスターは、イベントやキャンペーン、教育資料などで頻繁に使われるフォーマットです。
しかし、A3は一般的な家庭用プリンタでは印刷できず、印刷業者に発注するだけだと「ちょっと高い」と感じることがよくあります。
そこで、PDFを使って、同じデザインを4枚作成し、印刷コストを抑える方法を紹介します。
「同じポスターを何枚か作るときに、費用をどう抑えるか?」「PDF作成の手順は?」「無料のツールはあるか?」など、よくある疑問に一気に答えます。
1. A3ポスターをPDFで作るメリット
| メリット | 説明 |
|---|---|
| 汎用性 | PDFはほぼ全ての印刷業者で読み込むことができ、フォント・画像が埋め込まれるのでレイアウトが崩れません。 |
| 拡張性 | A3の4枚を1つのPDFにまとめると、ファイルはわずか数MB。データ共有が楽です。 |
| コスト削減 | 1枚ずつ発注せずに「同時印刷」にすることで、切り貼りやセット数分のコストを減らせます。 |
| 印刷設定の自由度 | 「1ページに複数ページ」を設定できるプリンタなら、A3版を一枚のシートにまとめて印刷可能。 |
2. どんなツールを使えばよい?
| 無料・有料 | 特徴 | 推奨ポイント |
|---|---|---|
| Adobe InDesign / Illustrator | 業務用なら高性能。ページ設定が細かい。 | 高精度な配置が必要なときに最適。 |
| Affinity Publisher | 1回購入で長期利用可能なコストパフォーマンス。 | 無料体験版で試せます。 |
| Scribus | 完全無料のオープンソース。 | オープンソース好きにおすすめ。 |
| Canva | ブラウザ上で操作。豊富なテンプレート。 | 速く簡単にデザインしたいとき。 |
| Inkscape | ベクターデザインに強い。 | ドット単位で細部を調整したいとき。 |
おすすめ
ほとんどの人は Canva で簡単に開始できます。プロトタイプを作ったら、細かな調整は Scribus か InDesign へ移します。
3. 4枚のA3ポスターをまとめたPDFの作り方
3‑1. デザインの準備
- フォント – 出力時に埋め込み可能なフォントを選択(例:Noto Sans JP, Source Han Sans)。
- 解像度 – 画像は1200 dpi以上。
- カラー – CMYKモードで作業。
- マージン – 余白を少なくとも5 mmに設定。
- トリムマーク – 切り取り線を入れると、印刷時に見やすいです。
3‑2. 4面レイアウトの作成(例:Scribus)
- 新規ドキュメントを開く。
- ページサイズを「カスタム」に設定し、幅を 420 mm × 4 = 1680 mm、高さを 297 mm × 2 = 594 mm にします。
- 目的:2列 × 2行でA3を並べる。
- グリッド/ガイドラインを追加し、各A3の境界を確認。
- レイアウトツールで同じデザインを4回コピー。
- テキストと画像を配置。
- トリムマークを各A3境界に配置。
- Scribus なら「ファイル → 印刷設定 → マージンとトリムマーク」にチェック。
ポイント
すべてのレイアウトは「原寸」で配置します。プリンタ側に「4枚同時印刷」を設定すると、同じサイズの出力が得られます。
3‑3. PDFとしてエクスポート
- ファイル → エクスポート → PDF (印刷) を選択。
- **「レイヤー情報を保持」をオフにし、「線を線化」**をオフに設定(線の粗さを防止)。
- **「圧縮」**は「画像を圧縮し、ビットマップのデータを最小化」ではなく「画像を元の解像度で保持」を選んでください。
- “PDF/X-1a:2001” など、印刷業者が推奨するフォーマットを選ぶと安全です。
4. 印刷設定のミソ
4‑1. 「1ページに複数ページ」機能を使う
| 機能 | 用途 | 具体例 |
|---|---|---|
| 2×2 | 8枚A3を1枚A4に縮小して印刷 | 大型イベントでの低コスト化 |
| 4×1 | 4枚A3を1枚A3に並べて印刷 | 大型紙のスパブリッシャー用 |
注意
印刷時に「実寸表示」の設定を必ず確認してください。設定ミスで枠外印刷になることがあります。
4‑2. プリンタ別の推奨設定
| プリンタ | 推奨設定 | コスト削減ヒント |
|---|---|---|
| HP DesignJet | 「多ページ一枚」 → 「4‑4」 | 大型プリントを同時に1枚にまとめる |
| Canon imagePROGRAF | 「複数ページ」 → 「2×2」 | 余白を減らして紙を有効活用 |
| Fujitsu fi‑800 | 「モノメニュー」 | カラーマネジメントを行い、余分な色修正を削減 |
5. コストを抑える具体策
| コスト項目 | 節約ポイント | 実例 |
|---|---|---|
| 紙の量 | 1枚にまとめて印刷 | 4枚分のA3を1枚のA3に並べる |
| 用紙費 | 大判紙をまとめて注文 | 複数枚まとめて発注することで割引が受けられる場合がある |
| インク | コストパフォーマンスの高いインクカートリッジ利用 | カラーマネジメントでインク使用量を最小化 |
| 外注費 | 1回の発注で複数枚を処理 | 別々に発注するとセット手数料が増える |
| デザイン作業 | 既存テンプレート再利用 | Canvaのテンプレートをそのまま複製 |
5‑1. 具体的なコスト計算例(A3 4枚)
| 項目 | 単価 | 数量 | 小計 |
|---|---|---|---|
| A3用紙(印刷用) | ¥500 | 1枚 | ¥500 |
| インク | ¥0 | 1回 | ¥0 |
| 送付・梱包 | ¥200 | 1回 | ¥200 |
| 総額 | ¥700 |
比較
A3を1枚ずつ印刷した場合は、紙 4枚 × ¥500 = ¥2000 になる。
4枚を1枚にまとめる方法で、紙代を3割に抑えられます。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 「カスタムサイズのPDFを作ると、印刷業者でエラーにならないか?」
A1. ほとんどの業者は「自動スケーリング」を有効にしているので、エラーは起きにくいです。
ただし、業者が「A3・A4・A1」としか認識しない場合は、プリント用紙サイズをA3に戻し、単純に「4枚A3を2×2で縮小して印刷」設定を使用してください。
Q2. 「Canvaで作ったデザインをA3サイズに拡大しても解像度が落ちる?」
A2. Canva はベクターデザインのベースは持っていないため、拡大時にピクセル化します。
対策: 画像を高解像度に設定し、PDF/X-1a でエクスポート。
また、Adobe Acrobat で 「印刷品質を保つ」 オプションを選ぶと拡大時に再調整されます。
Q3. 「印刷費が安くなるだけでなく、デザインの統一感を保ちたい。」
A3 4枚で同一デザインの場合、レイアウトの一貫性を維持するために 「マスターページ」 を使うと便利です。
Scribus では 「マスターページ」 に共通要素を設置し、各ページで同じトリムマーク・罫線を自動で展開できます。
7. まとめ
- PDF は互換性が高く、コスト削減に直結。
- Scribus や Canva など無料・低コストツールを使えば、手軽に4枚まとめたPDFを作成可能。
- プリンタの「1ページに複数ページ」機能を活用すれば、紙・インク費を大幅に削減。
- トリムマーク・ベクトル化・CMYK設定を忘れずに、印刷品質を確保。
- 事前にインクや用紙単価を比較し、まとめて発注することでさらに経費を抑えられます。
ポスターの数が増えるごとに印刷コストが上がると感じたときは、PDFを使った“多枚一束” 設計と プリンタのスケール設定の見直し が最大の節約ポイントです。
ぜひ今回の手順で試してみてください。楽しくデザインしつつ、予算内で最高のクオリティを出してくださいね!


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