PDFの一括印刷は、文書が大量にある場合や、同じ種類のレポートを複数社に発行する際に時間と労力を大幅に削減できます。
本稿では、初心者でも簡単に実行できる方法を、実際に手を動かして確認しながら、ステップごとに解説します。
まずは「なぜ一括印刷が必要なのか」を整理し、次に「準備」「実行」「後処理」の3段階で具体的な手順を紹介します。
最後に、よくあるトラブルと解決策もまとめていますので、スムーズに作業を進めるための参考にしてください。
1. PDF一括印刷をするメリット
| 時間 | コスト | エラー率 |
|---|---|---|
| 高速化 | 書類を個別に開く必要がなくなる → 1 つの操作で印刷 | 減少 |
| コスト | 用紙の無駄を省ける | 減少 |
| 生産性 | 1 つのタスクをまとめて完了 | 向上 |
- 日次・週次のレポート:数百ページを何度も印刷しないといけないとき、個別印刷は管理が大変。
- 社内文書の配布:経営幹部が会議資料を全員に配る場合、1 つずつ印刷するよりも一括のほうが確実。
- 教育資料の作成:教材の配布資料を複数受講者へ送付する際、バラバラに印刷して送るよりも一括で印刷してまとめて発送。
2. 必要なものと事前準備
2.1 印刷するデバイス
- 接続方式:USB, Wi‑Fi, ネットワークプリンタ
- 印刷容量:大容量紙カートリッジがあると経済的です。
2.2 PDF ファイル
- 統一フォーマット:ページレイアウト、フォント、余白等を統一。
- ファイル名:簡潔でわかりやすい名前にしておくと後から検索しやすい。
- パスワード保護:必要な場合は「解除」を済ませておくか、印刷時にパスワード入力を求める設定にする。
2.3 ソフトウェア
| 使用例 | 説明 |
|---|---|
| Adobe Acrobat Pro | ほぼ全機能に対応。スクリプトを使って自動化可能。 |
| プリンタドライバー | ネットワークプリンタを利用する場合、メーカーの専用ユーティリティをインストール。 |
| PDFリーダー+スクリプト | 無料のPDFリーダー+Python スクリプトで簡易自動化も可能。 |
ポイント
一括印刷専用のソフトは基本的にプリンタに付属することが多いです。
まずはプリンタのユーティリティに「バッチ印刷」オプションがあるか確認しましょう。
3. 一括印刷手順(Adobe Acrobat Pro を例に)
3.1 複数ファイルを開く
-
ファイル > バッチ > ファイルを選択
選択したフォルダ内の PDF を一括で開きます。 -
プリンタの設定を一括で指定
プリンタードライバを選択し、用紙サイズ・印刷部数を設定。
3.2 印刷ジョブを作成
-
印刷設定ウィンドウ
- ページの選択:すべて印刷
- 拡大/縮小:ページ合わせ(Fit)
- 余白削除:必要に応じてオフ
-
ジョブの名前を付ける
「レポート_2025_週次」といったわかりやすい名前にしておくと、印刷履歴の確認が楽です。
3.3 ジョブの実行
-
印刷実行ボタン
クリックすると、プリンターへ一括送信されます。 -
進捗表示
ジョブごとに進捗バーが表示されるので、途中で停止した場合は原因を確認。
3.4 印刷後のチェック
- ページの欠落:PDF が多ページの場合、最後のページが印刷されないケースがあります。
- 紙詰まり:用紙路に異物があるとジョブが停止するので、エッジマークが出たらすぐに対処。
- 用紙の偏倒:プリンターの水平・垂直のスクリーニングツールを使用して調整。
4. コマンドラインで自動化したい場合
4.1 PDFtk を使ったバッチ印刷
# PDFtk: 複数ファイルを順次印刷
for f in *.pdf; do
pdftk "$f" output "${f%.pdf}_out.pdf"
lp -d printer_name "${f%.pdf}_out.pdf"
done
-
lpは Linux のプリントコマンド。 - Windows でも CUPS を使えば同様に実行可能。
4.2 Python + PyPDF2 + subprocess でカスタムスクリプト
import os, subprocess, PyPDF2
pdf_files = sorted([f for f in os.listdir('.') if f.endswith('.pdf')])
for pdf in pdf_files:
print(f"印刷中: {pdf}")
subprocess.run(['lp', '-d', 'printer_name', pdf])
- カスタムスクリプトにより、印刷前に OCR を走らせたり、ページ番号を付与したりできます。
5. よくあるトラブルと対処法
| 問題 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| ページが欠ける | 用紙サイズとPDFサイズの不一致 | 用紙設定を「用紙合わせ」に変更 |
| 紙詰まり | 用紙詰まり、リボンの汚れ | プリンタ内部を清掃し、定期的なメンテナンスを行う |
| 印刷品質が低い | インク残量、プリンタドライバの設定 | インク残量確認、ドライバの「解像度」を高めに設定 |
| ジョブが途中で止まる | ネットワーク不安定、プリンタの応答停止 | ネットワーク環境の確認、プリンタの再起動 |
| プリンタのメモリ不足 | PDF ファイルが非常に大きい | ファイルを複数の小さなファイルに分割して印刷 |
6. 応用:自動メール送信との連携
一括印刷後に、印刷物の PDF を社内メールで配布したい場合の手順:
-
印刷ジョブ完了後に PDF を Zip 形式へ圧縮
zip -r reports.zip *.pdf -
SMTP クライアントを使ってメール送信
Python のsmtplibなどを利用し、BCC で同時送信。
import smtplib
from email.message import EmailMessage
msg = EmailMessage()
msg['Subject'] = '週次レポート(印刷済み)'
msg['From'] = 'me@example.com'
msg['To'] = 'team@example.com'
msg.set_content('添付ファイルをご確認ください。')
with open('reports.zip', 'rb') as f:
msg.add_attachment(f.read(), maintype='application',
subtype='zip', filename='reports.zip')
smtplib.SMTP('smtp.example.com').send_message(msg)
7. まとめ
- 一括印刷は、単に印刷を速くするだけでなく、紙とインクの節約、エラー削減、作業時間の短縮というメリットが大きいです。
- Adobe Acrobat Pro や プリンタユーティリティ、あるいは PDFtk / Python を使えば、初心者でも「一括印刷」ジョブを簡単に作成・実行できます。
- 事前にファイル形式・用紙設定・ドライバ設定を統一しておくことで、トラブルを未然に防げます。
- 印刷後のチェックを怠らないことで、確実に正確な資料が届きます。
数時間の手作業を数分で済ませるために、ぜひ今日から「PDF一括印刷」を取り入れてみてください。疑問点や新たに必要な機能があれば、コメントで教えていただければ幸いです。


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