PDFファイルをまとめて印刷するメリット
複数のPDFを一つにまとめてから印刷する作業は、学術論文、報告書、契約書などを扱う際に頻繁に発生します。
- 紙の節約:ページ毎に切り離す手間がなくなり、紙代を削減。
- 印刷時間短縮:1回の印刷ジョブで全てを処理でき、プリンタの待機時間が減少。
- 管理のしやすさ:ファイルの数が減り、ファイル名やバージョン管理がシンプルになる。
- セキュリティ:ファイルごとにパスワードを付けてしまうより、まとめて安全にパスワード設定。
このような利点を最大限に活かすために、無料で高速にPDFを結合し印刷するツールを選定します。
何故同時印刷を高速化したいのか
印刷環境は以下の2点でボトルネックが発生します。
-
プリンタのドライバ処理
プリンタはドライバを通じて受信したPDFをページ単位で変換します。ファイルが多いと変換リクエストが増え、待ち時間が膨らみます。 -
USB/ネットワーク遅延
フルドキュメントを送信すると、帯域が一時的に圧迫され、他の印刷ジョブやネットワークサービスに影響します。
結合されたPDFは一度の転送で済むため、上記の遅延を大幅に減らすことが可能です。
まとめツール選定のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自由度 | PDFを挿入順序やページ範囲が細かく指定できるか |
| 処理速度 | 大容量でも高速に結合できるか |
| 使いやすさ | UIが直感的で操作ミスが起きにくいか |
| レイアウト保持 | 文字、画像、フォントが崩れないか |
| メモリ消費 | 高負荷でなく、一般PCでも動くか |
| プラットフォーム | Windows / macOS / Linux で動くか |
これらを基準に、無料で入手できる代表的なツールをご紹介します。
Windowsで無料に高速プリントできるツール
1. PDFsam Basic
- 概要:https://pdfsam.org/
「Split & Merge」機能がフリーです。 - 特徴
- 拖り込み操作でファイル順序を簡単に変更。
- ページ範囲を指定しながら結合可能。
- 10ページ単位で分割も同時に実行。
- 使用手順
- “Merge/Extract” を選択。
- 「Add」ボタンでPDFを追加。
- ページ範囲を設定し、「Merge」をクリック。
2. PDFshuffler
- 概要:主にLinuxですが、Windows で Wine を利用しても動作します。
- 主な機能
- ページのドラッグで順序変更。
- 余分ページ削除、ページ合成。
- 高速でメモリ消費が少ない。
- 使い方
- PDFリストにファイルを追加。
- 必要なページを選択。
- 「Export」ボタンで結合。
3. PDFtk Server
- 概要:コマンドラインベース。https://www.pdflabs.com/tools/pdftk-server/
- 利点
- 非常に高速。
- バッチ処理で大量ドキュメントを一括結合可能。
- 基本コマンド
pdftk file1.pdf file2.pdf cat output merged.pdfcat inputX outputYでページ範囲を指定。
4. SumatraPDF(仮想プリンタ版)
- 概要:軽量PDFリーダーで、印刷時にバッチとしてまとめることが可能。
- 手順
- 「Print」→「Print to File」
- PDF単位で出力し、結合ツールでまとめる。
ヒント:SumatraPDF では「設定 → Print」画面で「Use Windows’ default printer」オプションを選択すると、プリンタドライバを経由せず高速印刷が実現します。
macOS環境向けのおすすめ
1. Preview(プレビュー)
- 概要:macOS 標準に搭載。
- 結合方法
- 各PDFを開き、サイドバーでページサムネイルを選択。
Cmdキーを押しながらドラッグし、順序を調整。File → Export as PDFで一つに保存。
- 印刷
File → Printから「ページ番号」や「範囲」を指定。
- メリット
- 追加ソフトが不要。
- ソートやページ削除が簡単。
2. Skim
- 概要:学術文献向けのPDFビューア。
- 機能
- ページのコピー&ペーストで結合可能。
- 連続印刷設定が細かくでき、数ページごとに区切り印刷も実施。
- 使い方
- Skimでドキュメントを開く。
Edit → Insert → PDF Pageでページを追加。
注:macOS 版の
command + shift + nでページをドラッグしながら結合も可能です。
Linuxでの選択肢
1. pdfunite(Poppler)
- 概要:Poppler ツールセットの一部。
- 使い方
pdfunite infile1.pdf infile2.pdf outfile.pdf
2. qpdf
- 概要:軽量な結合/分割ツール。
- コマンド例
qpdf --empty --pages file1.pdf file2.pdf -- output.pdf
3. Ghostscript(gs)
- 概要:プロフェッショナルレベルのPDF処理。
- コマンド
gs -dBATCH -dNOPAUSE -q -sDEVICE=pdfwrite -sOutputFile=merged.pdf file1.pdf file2.pdf
おすすめ:Linux ユーザーは
pdfsamのコマンドライン版もあり、GUI が不要であればpdfsam-cliを使用すると、スクリプト化が容易。
オンラインサービスとの比較
| サービス | 料金 | 主な特徴 | セキュリティ |
|---|---|---|---|
| Smallpdf | 無料+有料 | ブラウザ完結、ドラッグ&ドロップ | 暗号化はブラウザ側のみ |
| ILovePDF | 無料+有料 | API 提供、複数機能統合 | HTTPS、5分後自動削除 |
| DocuPub | 無料 | PDFの可読性改善 | 個人データは一定期間保存 |
結論:オンラインサービスは手軽ですが、機密性の高い資料ではローカルツールを選択すべきです。
組み込みツール vs 専用デスクトップ
- 組み込みツール(Print、Preview)
- プリントジョブの設定や直接印刷が容易。
- 機能が限定的(例:ページ範囲指定は PDF 結合ができない場合も)。
- 専用デスクトップ(PDFsam、qpdf)
- 大規模な結合・分割、ページ抽出に強力。
- 使いこなすまでに操作学習が必要。
使い分け:業務フローを高速化したい場合は専用ツールであらかじめ結合を済ませ、組み込みプリンタでスピーディに印刷。
まとめた後の印刷手順
-
プリンタ設定の最適化
高品質→標準に変更。- カラーモードは
グレースケールに設定すると紙代削減につながる。
-
解像度
- 300dpi 以上が標準。
- 200dpi で良い場合は設定を下げて転送時間を短縮。
-
連続印刷
Continuous paper feed(連続紙送り)を有効にすると、プリンタの紙送り待ちがなくなる。
-
プリンタのドライバアップデート
- 最新ドライバにはバグ修正や高速化機能が含まれる。
-
プリントジョブの優先度
- Windows なら
Print Spoolerを管理し、ジョブを優先度高へ。
- Windows なら
よくあるトラブルと対処法
| トラブル | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 文字が途切れる | フォント埋め込み不足 | PDF 作成時に「埋め込み全フォント」を選択。 |
| 画像解像度低下 | 画像圧縮率が高い | 画像の「高品質」設定を有効化。 |
| 印刷ジョブが失敗 | ドライバ不整合 | 最新ドライバをインストールし、互換モードで実行。 |
| PDF が壊れる | 大幅な結合によりバイナリが損傷 | qpdf --check で検証し、修復後再結合。 |
| 時間がかかる | メモリ不足 | 先にページを分割し、複数回に分けて印刷。 |
まとめ
PDFを結合してまとめて印刷することで、紙コスト、時間、そして業務の効率化を実現できます。
無料で高機能かつ高速に結合できるツールとしては、Windows なら PDFsam Basic、PDFtk Server、Linux なら pdfunite や Ghostscript が代表例です。
macOS では標準の Preview が最も手軽ですが、Skim でさらに細かな編集も可能です。
選択したツールで 結合→保存 を完了させ、プリンタ設定を最適化し、連続印刷機能を活用すれば、数十ページから数千ページまでをスムーズにインクコストも抑えつつ高速出力できます。
今後の業務ではまず「結合」→「設定」→「印刷」の三段階を確実に行うワークフローを確立し、定期的にプリンタドライバを最新に保つことが重要です。
これにより、紙や時間を節約しつつ、データ管理の品質も向上させることができます。


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