PDFを読みながら、必要な部分だけを抜き取りたい――というニーズはよくあります。
本記事では、選択範囲を「簡単にエクスポート」して保存できる方法を、代表的な PDF ツールを中心にまとめました。
目的に合わせて使い分けてください。
1. 必要な領域を確認し、選択ツールを使いこなす
まずは何を抜き取りたいのかを明確にします。
一方的に文字をコピーしたいのか、ページ全体を画像化したいのか、または複数ページをまとめてエクスポートしたいのかを決めると、後の作業がスムーズです。
| 目的 | 選択方法 | 具体的な操作 |
|---|---|---|
| テキストだけ抜き取り | テキスト選択ツール | クリック+ドラッグ |
| ページの一部を画像として保存 | ツールバーの「領域選択」 | 右上の四角アイコンを有効化 |
| 複数ページの連続抜き取り | ページサムネイル | Shift+クリックで範囲選択 |
※一部の PDF はコピー禁止設定になっている場合があります。その場合は別途 OCR をかける必要があります。
2. Adobe Acrobat Pro DC で領域をエクスポート
Adobe Acrobat Pro は PDF 編集の金字塔ですが、領域だけを切り出すのも簡単です。
- [ツール]→[編集 PDF] を選択。
- [領域を選択](四角アイコン)をクリック。
- 抜き取りたい領域をドラッグして枠を作成。
- 右クリック→[選択領域を新しい PDF として保存]。
ポイント
- 「選択領域を新しい PDF として保存」では、選択範囲がそのまま別ファイルになります。
- ページが複数あるファイルの場合は、1ページずつ保存したいときだけこの操作を繰り返してください。
- 失敗した場合は「印刷」→「Adobe PDF を印刷先に選択」→印刷範囲を指定して PDF を生成する手もあります。
3. Foxit PhantomPDF / Foxit Reader の利用法
Foxit は軽量ながら高機能。選択範囲エクスポートは以下の手順です。
- [PDF 編集]→[選択ツール] を有効化。
- 必要な領域をドラッグ。
- 右クリック→[選択を新しいファイルに保存]。
※Foxit Reader でも同様に「ページ選択」→「新規作成」から範囲を抜き出せます。
Foxit は「ページの切り抜き」機能が強力で、ページ単位で「ページの切り抜き」を選ぶと、指定範囲のページだけを抜き取ります。
4. 無料環境:PDF‑XChange Editor
PDF‑XChange Editor は無料版でも多機能。領域を切り出すには:
- [選択ツール] をON。
- 切り出したい領域をドラッグ。
- [編集]→[選択範囲を別ファイルで保存] を選択。
また [ページ]→[ページ範囲の切り抜き] で複数ページをまとめて抜き取ることもできます。
PDF‑Change の「Snip」機能を使えば、画面全体のスクリーンショットを取得し PDF として保存も可能です。
5. Windows 10/11: Snipping Tool / Snip & Sketch で画像化
コピー機能が使えないスクリーンショット形式の PDF を対象にするときは、これらツールが便利です。
- Snip & Sketch を起動(Win + Shift + S)。
- 「矩形スニップ」を選択し、抜き取りたい領域をドラッグ。
- クリップボードにコピーされた画像を 画像エディタ で開き、【名前を付けて保存】 → PDF として保存。
画像化した方がテキスト検索できないときは、OCR スクリプト(例:Microsoft OneNote)を合わせて使うと便利です。
6. macOS Preview で領域を切り出す
Mac で標準搭載の Preview を使えば、テキストと画像両方に対して選択+保存が可能です。
- PDF を Preview で開く。
- ツールバーの「矩形選択ツール」 で領域をドラッグ。
- [ファイル]→[エクスポート…】、フォーマットは PDF。
- 「範囲」を「選択範囲」に設定して保存。
Preview では「スクリーンショット」機能も搭載されており、⌘+Shift+4 で直接領域を指定して画像化できます。
7. コマンドラインで自動化(Optional)
大量の PDF から同じ領域を抜き取りたい場合は、pdftk や qpdf を組み合わせてスクリプト化する手もあります。
例:
# 1ページ目の左半分だけ抜き取る
qpdf input.pdf --pages . 1 --infile-pages=1:1,2,3,4,5 --pages . --output sub.pdf
ただし、領域選択(座標指定)は手作業で行い、座標情報をスクリプトに渡すのが主流です。
PyMuPDF(fitz)を使えば、Python で座標指定して抜き取ることも可能です。
import fitz
doc = fitz.open("input.pdf")
rect = fitz.Rect(50, 50, 300, 400)
page = doc[0]
newdoc = fitz.open()
newdoc.insert_pdf(doc, from_page=0, to_page=0, clip=rect)
newdoc.save("chunk.pdf")
8. 便利なショートカットとヒント
| ツール | ショートカット |
|---|---|
| Adobe Acrobat | Ctrl + Shift + N(新PDF生成) |
| Foxit | Ctrl + E(選択範囲を新規作成) |
| PDF‑XChange | Ctrl + Shift + N(新規文書に選択) |
| Preview | ⌘ + Shift + 4(選択領域スクリーンショット) |
| snip & Sketch | Win + Shift + S(矩形スニップ) |
- PDF 変換先フォーマット: 必要に応じて「JPEG」→「PNG」→「PDF」などへ変換したうえで、PDF 化するとページレイアウトを保ちやすいです。
- ページ単位 vs. 区切り範囲: 「ページ単位で抜き取る」場合は、対象ページを選択した後に「コピーして新規作成」を使うと、途中の改行や余白もそのまま残ります。
- テキスト検索を保持したい: 画像化せず「ページ範囲抽出」→「PDF として保存」を選択し、テキストレイヤーをそのまま残すと検索可能です。
9. よくあるトラブルと対処法
| 問題 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| コピー出来ない | PDF にコピー禁止設定 | OCR をかける(Tesseract など) |
| テキストが崩れる | フォントが埋め込まれていない | 文字情報を別 PDF へエクスポート後、フォント埋め込み実行 |
| 画像がぼやける | DPI が低い | 「ページサイズ指定」→「高解像度(300DPI)」でエクスポート |
| 範囲外が切り取られる | 座標の単位が混在 | PDF の座標系(ポイント)を確認し、必要なら変換スクリプトで正規化 |
10. まとめ
- 選択範囲を切り出す方法はツールによりさまざま。
- Adobe Acrobat Pro が最も手軽だが、Foxit、PDF‑XChange、Preview、Snipping Tool など無料ツールでも十分に対応可能。
- 手作業での選択が多い場面でも、Python(PyMuPDF)や Bash(qpdf) で自動化できるケースがあります。
- 画像化が必要な場合は Snip & Sketch、Preview のスニップ、または PDF‑XChange の Snip 機能を併用すると効率的です。
- コピー禁止や低解像度といったトラブルには OCR や DPI 調整で対処してください。
これらのステップを覚えておけば、長文 PDF の必要な部分だけを効率的に取り出し、目的に合わせたファイルとして保存できます。ぜひ試してみてください。


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