PDFを簡単にまとめる方法:複数ファイルの結合と編集テクニック
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イントロダクション
昨今、リモートワークやオンライン授業の普及に伴い、PDFは共有資料の標準フォーマットとして欠かせない存在となりました。一方で、同じテーマの複数ファイルを一つにまとめる必要性や、ページの追加・削除・編集といった作業も頻繁に発生します。
しかし、PDFは従来のテキストドキュメントに比べて「編集が難しい」というイメージが根強く、結合や編集の手順をご存知ない場合が少なくありません。
この記事では、初心者でも手軽にPDFを結合・編集できるテクニックを、具体的なツールの使い方からコマンドライン操作、クラウドサービス利用まで網羅的に解説します。疑問点をそのまま解決していく構成で、作業効率を劇的に向上させるためのヒントが満載です。
① まずは結合したいPDFを用意しよう
1.1 ファイル構成を把握する
結合に入る前に、結合したいPDFの順序やページ数を確認しましょう。
- 「第1章.doc → 第2章.doc → 第3章.doc」という順序で結合したい場合は、ファイル名に数字を振ることで自動的に並べ替えられます。
- ページ数が多い場合は、結合後に「ページ削除」や「ページ挿入」が必要になることを想定しておくとスムーズです。
1.2 ファイル名に注意
01_会議資料.pdf、02_報告書.pdfのようにプレフィックスで順序を付与すると、結合ソフトが自動で順番に並べてくれます。- 同じフォルダに保管すれば、ドラッグ&ドロップでの操作が可能な多くのツールで扱いやすくなります。
② GUIベースの簡単結合ツール
2.1 PDFsam(PDF Split and Merge) – オープンソースで無料
- 特徴: 直感的なドラッグ&ドロップ、順序変更、複数PDFの同時結合が可能
- 使い方
- PDFsam Basicをダウンロードし、インストール
- 「Merge」モジュールを選択
- 「File list」でファイルを追加、必要に応じて順序をドラッグで変更
- 「Advanced options」でページ範囲指定やブランクページの挿入も可能
- 「Run」で結合を実行
- 注意点: ファイルサイズが大きい場合は処理時間が増えるため、結合前に不要なページを削除しておくと快適です。
2.2 Smallpdf / ILovePDF – ブラウザベースのオンラインサービス
- メリット: インストール不要、複数ファイルを同時アップロードできる
- デメリット: 大容量ファイルは「Pro版」の利用が必要、アップロード時にセキュリティ上の懸念が一部ある
- ヒント: 業務重要書類の結合にはローカルツールの使用をおすすめします。
③ バッチ処理で一括結合(Windows PowerShell)
3.1 PowerShell + Ghostscript
# ディレクトリ内のPDFをすべて結合するスクリプト
$sourceFolder = "C:\Users\Username\Documents\PDFs"
$files = Get-ChildItem -Path $sourceFolder -Filter *.pdf | Sort-Object Name
$output = "$sourceFolder\merged_output.pdf"
$gsPath = "C:\Program Files\gs\gs9.53.3\bin\gswin64c.exe"
$gsCommand = @(
"-dBATCH",
"-dNOPAUSE",
"-q",
"-sDEVICE=pdfwrite",
"-sOutputFile=$output"
)
# ファイルリストを追加
foreach ($file in $files) {
$gsCommand += "-f `"$($file.FullName)`""
}
& $gsPath @gsCommand
- 要点:
GhostscriptはPDF生成/結合に強力なエンジン- ファイル名順にソートしているので、名前の付け方が順序に影響します
- Windows 10/11 では
Chocolateyでgsをインストールすると手軽に使えます
- トラブルシュート:
- バッチファイルの実行権限が無い場合は
Set-ExecutionPolicy RemoteSignedを実行 - PDF 破損時は
-sPageList=1-200などでページ範囲を限定可能
- バッチファイルの実行権限が無い場合は
3.2 macOS / Linux
macOS では pdftk(もしくは qpdf)をコマンドラインで結合。
# pdftk で結合
pdftk *.pdf cat output merged.pdf
④ PDF編集の基本(Page の追加・削除・回転)
4.1 Adobe Acrobat DC(有料)
- ページナビゲーション: 「ページサムネイル」ペインでドラッグ&ドロップ
- ページ除去: サムネイルを選択して Delete キー
- ページ入れ替え: ページ番号をドラッグして目的位置へ移動
- ページ回転: サムネイルの右クリック > 「ページ回転」
- OCR: 完全に画像化されたPDFに対して「テキスト認識」→検索可能に
4.2 Freely Available Tools – PDF-XChange Editor、Foxit Reader
- 無料でもほぼ同等にページ操作が可能
- ただし、編集機能が制限される場合があるので複数ツールで検証すると安全です
4.3 コマンドラインでページ除去
# qpdf 使用例
qpdf original.pdf --pages . 1-5,7-10 -- output revised.pdf
--pagesの中で4のページを除外(3,5-10で除外も可)
⑤ 複数ファイルの結合時に注意すべき「文書統一性」
| 項目 | 解決策 | ヒント |
|---|---|---|
| フォント | 同一フォント埋め込み | pdftk ではデフォルトで埋め込み済み |
| ページマージン | 余白統一 | pdfjam で --scale 1.0 を指定 |
| 方向揃え | 縦/横混在 | pdfpages LaTeX パッケージで指定 |
| 目次 | 自動生成 | PDFTK にオプションは無いが PDFtk Server + pdfinfo で手動で作成 |
⑥ クラウドベースでのマルチファイル編集
5.1 Google Drive と Google Apps Script
- Drive 上で PDF をアップロードすれば、Apps Script で
Drive.Files.list()を使った自動結合が可能 - 例: 週間報告書を自動で結合し、リンクをメールで共有
5.2 Microsoft 365 と Power Automate
- 「Compose PDF」アクションがあり、複数ファイルを一括で結合。
- SharePoint でのアクセス権設定と組み合わせると、社内で安全に共有できます。
5.3 セキュリティ対策
- 暗号化: PDF にパスワード設定は
qpdfで--encrypt - 署名: Adobe Sign との統合で公式な署名も自動化
⑦ PDF編集の落とし穴とトラブル対策
| エラー | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 「ファイルが破損しています」 | 途中で保存が中断、途中ファイルサイズ大きさ不足 | 先に「PDF Repair」ツール(PDF2Go など)で修復 |
| ページが重複 | pdftk で同一ファイルを重複指定 |
--pages オプションの書式確認 |
| 埋め込みフォントが欠落 | フォントが埋め込まれていない PDF を結合 | qpdf --linearize で再生成、フォントを埋め込む |
| 複数ページの回転がずれる | 変更前にページ位置情報がずれている | 一度「ページ数の再設定」→「再結合」 |
⑧ 便利なコマンドラインベースワークフロー
# 1. PDFを結合し、1ページずつに分割しながら暗号化
pdftk *.pdf cat output temp.pdf
qpdf temp.pdf --pages . --encrypt userPassword ownerPassword 0644 -- output final.pdf
rm temp.pdf
# 2. PDFをテキスト抽出し、検索キーワード別にフォルダ分け
pdfgrep "重要" *.pdf > important.txt
while read -r file; do
dir=$(dirname "$file")
mkdir -p "$dir/重要"
cp "$file" "$dir/重要/"
done < important.txt
- メリット: スクリプト化しておけば、新たに入手したPDFも即座に処理
- 注意: ファイル名にスペースや特殊文字があるとエラーになるので、
-print0/xargs -0を併用。
⑨ 将来的なPDF編集の潮流
- AIを活用した自動編集: 画像認識で手書きノートを自動テキスト化し、PDFに統合するツールが登場
- サーバーレス PDF 操作: AWS Lambda + Textract + Acrobat DC API でクラウド上で即時編集
- WebAssembly でブラウザ内完結: PDF.js を拡張し、ページのドラッグ&ドロップで結合・編集が可能
⑩ まとめ
- 結合前にファイル構成を整理 → 名前順で自動処理が楽
- GUI ツール(PDFsam、Smallpdf など)が初心者向け、コマンドラインは一括処理に効果的
- ページ追加・削除は Adobe Acrobat が最も信頼性が高いが、無料ツールでも多くの機能をカバー
- クラウドプラットフォームを活用すれば、社内外での安全な共有も可能
- セキュリティを忘れず、暗号化・署名を行うことで資料の信憑性を担保
PDF を「簡単にまとめる」ことは、作業効率だけでなく情報の可視化、共有範囲の拡大にも直結します。今回紹介したツールと手順をベースに、自身の業務フローに合わせてカスタマイズしてみてください。手間を省き、その分クリエイティブに創造する時間を増やすことができるでしょう。
「PDF結合・編集が楽になる」道具へようこそ。


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