開始時に
PDF を「ばらす」こと――分割したり圧縮したりする作業は、ビジネス文書や学術資料、レポートを共有する際に非常に役立ちます。
しかし、オープンソースや有料のソフトウェアが多すぎて、どれを選べばよいかわからない、という声も多いです。
本記事では、初心者でも簡単に使える無料ツールと操作手順を丁寧に紹介し、PDF を「ばらす」際の疑問点を解消します。
1. PDF 分割の基本:何を「ばらす」必要か?
分割の目的はケースバイケースです。
例を挙げると:
| 目的 | 具体例 |
|---|---|
| 大きなPDFを複数の章やセクションに分ける | 書籍全体→1章〜10章へ |
| セキュリティ上の理由でファイルを小分けにする | 個人情報を含むページを削除して別ファイルに |
| 送付ファイルの容量を削減 | 50ページのレポートを5ページずつに分割 |
分割する際に注意したい点は、ページ番号の変更、書式の保持、元ファイルのバックアップです。
2. 無料で使える PDF 分割ツール
2.1 Smallpdf(ブラウザベース)
| 特徴 | 優点 | 注意点 |
|---|---|---|
| オンラインで完結 | インストール不要、モバイルも可 | インターネット回線が必須 |
| 直感的なドラッグ&ドロップ操作 | ユーザーインターフェースがシンプル | 大量ファイルの処理に時間がかかる可能性あり |
使い方
- Smallpdf.com にアクセスし、「PDF Splitter」を選択
- 「File Upload」から対象PDFをアップロード
- 「Split by range」や「Split all pages」などのオプションを設定
- 「Split PDF」をクリックし、完了後ダウンロード
2.2 PDFsam Basic(オフライン・オープンソース)
| 特徴 | 優点 | 注意点 |
|---|---|---|
| デスクトップアプリ | オフラインで作業 | Windows/macOS/Linux それぞれにインストールが必要 |
| 高度な分割/組み合わせ機能 | 章単位での分割、ページ順序の変更 | GUI が若干古風 |
使い方
- PDFsam Basic をインストール(公式サイト)
- “Split”モジュールを起動
- 「Split by range」オプションでページ範囲指定
- 「Execute」ボタンで分割実行
2.3 iLovePDF(ブラウザ&デスクトップ)
| 特徴 | 優点 | 注意点 |
|---|---|---|
| デスクトップ版もあり | 無料版で十分な機能 | 一部機能は有料プラン限定 |
| マルチタスクで複数PDFを同時に処理 | 連続処理可能 | ファイル一括アップロード時に遅延が発生することがある |
使い方
- iLovePDF.com で「Split PDF」へ
- PDFをドラッグ&ドロップ
- “Split each page” か “Split by range” を選択
- 処理が完了したらダウンロード
3. PDF 圧縮で容量を大幅ダウン
3.1 なぜ圧縮が必要か?
長年の業務で、PDF ファイルが数十MB〜数百MBに達することがあります。
Eメール添付上限やクラウドストレージの制限、または携帯電話での閲覧を想定すると、圧縮は不可欠です。
3.2 無料で使える PDF 圧縮ツール
3.2.1 Smallpdf Compress PDF
| 特徴 | プラス | マイナス |
|---|---|---|
| 画質をほぼそのままに圧縮 | スマホやタブレットからもアクセス可能 | 圧縮率が限定される場合あり |
| 5分に3回まで無料 |
使い方
- Smallpdf.com で「Compress PDF」
- 「Standard compression」か「Strong compression」を選択(後者は品質を犠牲に)
- 圧縮が完了したらダウンロード
3.2.2 PDF Compressor(Windows Desktop)
| 特徴 | 好感度 | デメリット |
|---|---|---|
| GUI として操作が簡単 | 高圧縮率で元ファイルの品質を維持 | 無料版は広告表示あり |
使い方
- PDF Compressor をダウンロード(公式サイト)
- “Add file(s)” で対象を選択
- 「Compress」ボタンをクリック
- 圧縮後のファイルを確認
3.2.3 Ghostscript(CLI)
| 特徴 | 強み | 力点 |
|---|---|---|
| スクリプトや自動化に最適 | コマンドラインでバッチ処理が可能 | CLI に慣れていないと敷居が高い |
| 無料でオープンソース |
使い方(例:Windows PowerShell)
gswin64.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 `
-dPDFSETTINGS=/ebook -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH `
-sOutputFile=output.pdf input.pdf
-dPDFSETTINGS=/ebookは中程度の圧縮率-dPDFSETTINGS=/screenはさらに低品質/高圧縮
4. 分割と圧縮を組み合わせたワークフロー
- まずは分割
PDFが大きすぎる場合はまず章やページ単位で分割。 - 次に圧縮
分割した各ファイルを個別に圧縮。小さくなるほど送付に便利。 - まとめて共有
圧縮されたPDFをZIPに圧縮し、メール添付またはクラウドストレージで共有。
ポイント
- バックアップを忘れない:元ファイルは必ず別フォルダへコピーしておく
- ページ順序の確認:分割後に順序が乱れないか必ず確認
- 品質チェック:圧縮後は目視で重要な図表や文字が欠陥していないか確認
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 無料ツールで 100 以上のページを持つ PDF は扱えないの?
A1. ほとんどの無料サービスは制限なく扱えますが、ファイルサイズが 100MB を超える場合、アップロードに時間がかかることがあります。デスクトップアプリ(PDFsam、pdfcompressorなど)はローカルで処理できるため、こうしたケースに最適です。
Q2. ファイルの暗号化・パスワード保護はどうすれば?
A2. 無料ツールでも「Encrypt PDF」機能があります。Smallpdf では「Protect PDF」、PDFsam には「Encrypt」のプラグインがあります。
※ ただし、パスワードが強力であるほど処理に時間がかかります。
Q3. 画像の解像度を下げても文字が読めなくなることがある?
A3. -dPDFSETTINGS=/screen のように大幅に圧縮する場合、画像解像度が 72 DPI になることがあります。文字が読めない場合は、/ebook か screen を確認し、必要なら /prepress に変更してみてください。
Q4. PDF に挿入されているフォームフィールドや注釈は失われる?
A4. ほとんどの分割・圧縮ツールは基本情報のみを保持しますが、フォームフィールドや注釈が消えることがあります。必要に応じて「Keep annotations」オプションがあるツール(PDFsam の “Keep annotations” スイッチ)を使うと安心です。
6. 実践例:講義資料を5ページずつに分割し圧縮
ステップ 1:PDFsamで5ページごとに分割
- PDFsam Basic → “Split”
- 「Split by range」へ
- 「Split after every 5 pages」チェック
- “Execute” → いくつかのファイルが生成
ステップ 2:iLovePDFで圧縮
- iLovePDF → “Compress PDF”
- 生成したファイルをドラッグ&ドロップ
- “Strong compression” で圧縮
- ダウンロード → それぞれ 2–3 MB 程度
ステップ 3:ZIP へまとめ
- Windows エクスプローラーで全ファイルを選択
- 右クリック → “Send to” → “Compressed (zip) folder”
- ZIP をメール添付
結果として、原本 120MB → 5つの 2–3MB PDF → 1つの 30–35MB ZIP へと圧縮。
7. より高度な自動化:スクリプトで一括処理
Python + pdfrw + PyPDF2 の組み合わせ
from pdfrw import PdfReader
from PyPDF2 import PdfWriter
def split_pdf(file_path, pages_per_split=10):
reader = PdfReader(file_path)
total_pages = len(reader.pages)
for start in range(0, total_pages, pages_per_split):
writer = PdfWriter()
for i in range(start, min(start+pages_per_split, total_pages)):
writer.add_page(reader.pages[i])
writer.write(f"split_{start+1}_{start+pages_per_split}.pdf")
split_pdf("lecture.pdf", pages_per_split=5)
スクリプトを走らせれば、複数 PDF の自動分割が即座に可能です。
さらに Ghostscript を呼び出し、同時に圧縮処理も連結できます。
8. まとめ
- 分割:情報量が多い場合は「章・セクション」単位で分けると、読者の利便性が上がります。
- 圧縮:メールやクラウド共有時に容量制限を超えないよう、品質を落とさない範囲で圧縮。
- 無料ツール:Smallpdf、PDFsam、iLovePDF など、用途・環境に合わせて選ぶと楽々です。
- 自動化:Python スクリプトや Ghostscript で繰り返し作業を減らせるので、日常業務に取り入れる価値は高いです。
これらを駆使すれば、PDF を「ばらす」作業はシンプルで手間いらずになります。
次回からは「PDF を組み合わせる」「ページ追加や編集」をぜひ試してみてください。 Happy PDF‑crafting!


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