導入 ― もっと小さく、もっと軽く。PDF圧縮の悩みを解消
デジタル時代において、PDFは資料共有の定番フォーマットですが、ページ数が増えるとファイルサイズも急増します。
メール添付やクラウドへのアップロード、Webサイトへの掲載など、容量の制約が増している今、PDFを「小さく」したいと思うケースは多いはず。
しかし圧縮をすると画質が落ちる、機能が失われる、元に戻せないといった不安がつきまといます。そこで今回ご紹介するのは、「圧縮してもほとんど劣化が出ない」、**「設定を変えるだけで簡単に実践できる」**3つのテクニックです。
ファイルサイズを大幅に削減したい時、ぜひ試してみてください。
1. 画像を圧縮・最適化する
PDFに埋め込まれた画像はファイルサイズの最大の原因となることが多いです。
画像は表示時にしか見る必要がないため、容量を減らす最初の一歩は「画像圧縮」です。
1-1. 画質を落とさずにサイズを削減(有効圧縮)
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圧縮レベルを調整
画像を保存する際に「JPEG」か「PNG」かを判断し、JPEGなら画質を70〜85%に下げることで大幅に軽量化できます。
PNGは透過が必要なときに使い、可逆圧縮なので画質が落ちませんが、サイズはJPEGより大きくなる傾向があります。 -
イラストやグラフは「SVG」に変換
ベクターデータは拡大・縮小しても画質が落ちないので、アイコンや簡易図をSVGで保存すると圧縮率が高まります。
1-2. PDFの「画像圧縮機能」を使う
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Adobe Acrobat Pro / Nitro PDF
「ファイル」→「プロパティ」→「画像」タブで圧縮レベルを設定。
「自動圧縮」で「最適化されたJPEG」に設定すると、画質がほぼ同等に保たれながらサイズが半分程度に。 -
オンラインツール
smallpdf.com、ilovepdf.comなどで圧縮前後のサイズを比較しながら調整できます。
1-3. 画像の解像度を下げる
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表示用途に合わせる
目的が「Web表示」なら96 DPI、印刷なら300 DPIが基本。
それ以上高い解像度の画像は無駄に容量を取ります。 -
解像度を変更
PhotoshopやGIMPで「イメージサイズ」→「解像度」設定。
2. PDFの設定を最適化して余計なデータを削除
PDFは構造化されたフォーマットで、不要に埋め込まれたレイヤーやフォント情報、メタデータが容量を膨らませます。
ファイルを軽量化するために、設定を調整して「必要な要素だけ残す」ようにします。
2-1. フォントのサブセット化
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使われている文字だけ埋め込む
Adobe Acrobat Pro の「プロパティ」→「フォント」で「サブセット化」を選択。
フォント全体を埋め込むのではなく、実際に使用された文字だけを残すことで数十%の削減に。
2-2. 無駄なレイヤ、オブジェクトの削除
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「レイヤ」を無効化・削除
設計図やスキャンイメージに複数レイヤがある場合、不要なレイヤを消去。 -
不要オブジェクトの手動クリーニング
Acrobat の「印刷最適化」→「オブジェクトの最適化」で「不要なオブジェクト」を削除。
2-3. メタデータとセキュリティ情報の削除
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メタデータ
ファイルに埋め込まれた作成日時、作者名、キーワードは不要なら削除。
Acrobat なら「ファイル」→「プロパティ」→「説明」タブで編集可能。 -
セキュリティ設定
パスワード保護や閲覧制限は、無効にすると小さくなる場合があります。
2-4. PDF/A 標準を使用する
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長期保存に特化
PDF/A は「長期保存のための標準化フォーマット」なので、ファイルが持つ不要な情報を除去し、サイズを抑えやすい。
Acrobat は「PDF/A に変換」オプションを提供。
3. オンライン/CLI ツールで一括圧縮・最適化
個別に設定を行うよりも、専用ツールで一括処理すると時間を節約できます。
3-1. 低価格・無料ツール
| ツール | 主な機能 | 料金 |
|---|---|---|
| Smallpdf | 画像圧縮、PDF結合、分割、変換 | 無料(制限あり) |
| ILovePDF | 画像圧縮、メタデータ削除 | 無料(制限あり) |
| PDF Compressor | 手軽な圧縮ボタン | 無料 |
3-2. コマンドライン:Ghostscript
Ghostscript は PDF の圧縮・変換に強力なツールです。
以下のコマンドで最適化を実行できます。
gs -sDEVICE=pdfwrite \
-dCompatibilityLevel=1.4 \
-dPDFSETTINGS=/ebook \
-dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH \
-sOutputFile=output.pdf \
input.pdf
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-dPDFSETTINGSによって品質・サイズを調整できる-
/screen(低解像度) で約1/10のサイズ -
/ebook(中品質) で約1/4サイズ -
/prepress(高品質) はほぼ元のまま
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3-3. オフラインツール:qpdf、pdfsizeopt、qPDF
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qpdf
PDF の再構成・最適化を行う。 -
pdfsizeopt
画像除外、フォント最適化を自動化。 -
qPDF
PDFを再構成し、ページごとに圧縮。
これらは Windows、macOS、Linux で利用可能。
まとめ:実践のフロー
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まずは「画像圧縮」
- ファイルの中でも大きな容量を占める画像を圧縮。
- 画質は70〜85%で十分。
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「フォント・レイヤ・メタデータ」を削除
- PDF 内の不要情報を削除し、軽量化。
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「専用ツールで最終圧縮
- オンラインツールで簡易圧縮。
- コマンドラインなら Ghostscript で細かい設定が可能。
これらを順に行うだけで、元のファイルサイズの約30〜60%に縮小できるケースが多いです。
※「重要な情報が失われないか」を保証できるのは、画質を極端に下げないかつ必須フォントを保持した設定です。
ファイルが大きいと使い勝手が悪く、メール送信やクラウドストレージに支障が出ることも。
今回紹介した3つの簡単テクニックを使えば、必要な情報はそのままに、ファイルサイズだけをスリムにできます。
ぜひ、まずは画像圧縮からトライしてみてください!


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