PDF圧縮のベストプラクティス: Adobe Acrobatでファイルサイズを数%削減する方法

PDF 形式は文書を交換しやすく、互換性が高いのが魅力ですが、画像やフォント(埋め込み)が多いとファイルサイズが大きくなることがあります。
本記事では Adobe Acrobat(バージョン DC 以降を想定)を使って、画像の圧縮・フォント最適化・不要要素の除去など、ファイルサイズをわずか数 % でも削減できるベストプラクティスを紹介します。


1. まずは「ファイルサイズの現状分析」から

1‑1. 「ファイル」→「プロパティ」で確認

  • サイズ:現行ファイルの容量
  • ページ数:ページが多いほど画像やフォントの重複が発生しやすい
  • 使用されているオブジェクト:画像、フォント、リンク等

1‑2. Acrobat の「プリフライト」機能で問題箇所を特定

  1. 「ツール」→「プリフライト」
  2. 「Print Production」タブ → 「コマンド」→「PDF ファイルのサイズを分析」
    • 画像解像度・圧縮方式
    • 埋め込みフォントの種類
    • PDF の構造(オブジェクト数)

分析結果を基に「何を圧縮すべきか」「何を除去すべきか」を決定します。


2. 基本的な圧縮手順(「ファイル」→「最適化」)

  1. ファイル > 保存 で一旦保存
  2. ファイル > 最適化

    • ここで「設定」をクリックして細かい項目を調整
項目 推奨設定 補足
画像 低解像度(72–150dpi) → JPEG 85% 画質を保ちつつ容量を削減
画像の圧縮 非表示画像表示画像 を同じ圧縮率に 必要な領域だけ高画質に保つ
フォント 埋め込みサブセット埋め込み 文字数が少ない場合はサブセット
オブジェクト 重複オブジェクトの削除 同一の画像・フォントは一つに集約
レイヤー 不要レイヤー を除去 仕上げファイルとして不要なレイヤーは削除
  • 最適化先の保存場所 は元のファイルと別名で保存すると安全です。

3. 画像圧縮の実践

3‑1. 高解像度画像のリサイズ

  • 画像 > タブ > サイズ変更

    • 「画像を最適化」にチェック → 目的解像度(例:印刷なら300dpi、Webなら150dpi)

3‑2. 画像形式の見直し

  • JPEG:写真系に最適。圧縮率 85–90% でほぼ画質差が発覚しない。
  • JPEG2000:非常に高い圧縮率だが、一部のアプリケーションで非対応。
  • PNG:透過を必要とする場合にのみ。

3‑3. 「画像の圧縮」を手動で微調整

  • 「最適化」で「画像の圧縮」→「JPEG」→「品質」を 70–80% に設定。

4. フォントの最適化

4‑1. 文字セットが限られる場合はサブセット埋め込み

  • フォント > カスタム埋め込み

    • 必要な文字だけを埋め込むことで 5–10 % の容量低減が期待できます。

4‑2. 文字のみが含まれるページのフォントを統一

  • 同一フォントの重複埋め込みを回避するため「最適化」で「フォントの統合」オプションを有効化。

5. 不要オブジェクトの除去

オブジェクト 省略方法 効果
透明レイヤー 「最適化」→「レイヤー」タブで「非表示レイヤー」除去 3–5 % 削減
注釈・フォーム 「最適化」→「アクションクリエート」タブで不要項目をオフ 1–2 % 削減
JavaScript 不要なら「最適化」→「ページ情報」タブで「JavaScript を削除」 2–4 % 削減
スクリプト付きリンク 「最適化」→「リダイレクト」タブで「内部リンクのみ保持」 ストリーム短縮

6. PDF/A 変換を利用したサイズ削減 (オプション)

PDF/A はアーカイブ向けの規格で、不要なオプティカル文字認識(OCR)や DRM 等を除去します。

  • ファイルPDF アーカイブ
  • 「オプション」で「PDF/A‑2b」または「PDF/A‑3b」を選択
  • サイズが 5–10 % 低減するケースもあります。

⚠️ ただし PDF/A では リンクの動作埋め込みフォント の制限があるため、実務用途では注意が必要です。


7. まとめ:数 % の削減で実現できること

手法 期待される削減量 注意点
画像圧縮 (JPEG 85%) 10–30 % 画質劣化は実際に確認
フォントサブセット 5–10 % フォント全体に必要な文字が揃っているか確認
不要オブジェクト除去 3–8 % 互換性への影響を確認
PDF/A 変換 5–10 % アクションやリンクが動かない可能性

実際に数 % の削減を実現するには、「画像」「フォント」「不要オブジェクト」「構造最適化」 の各ポイントをバランスよく適用することが肝要です。
Acrobat の「最適化」ダイアログはパラメータを細かく設定できるため、事前にプリフライトで問題箇所を洗い出し、設定を検証しながら作業を進めると、最短で効果的なファイルサイズ縮小が達成できます。

最後に

  • 常にバックアップ を取りながら作業を行うこと。
  • 圧縮後は必ず 「ファイル」→「印刷」 で印刷プレビューを確認し、画像や文字の品質に問題がないかをチェック。
  • ユーザーに共有する前に、「最適化」「PDF/A」 の両方で最終確認すると、閲覧環境に配慮した安全な PDF を提供できます。

これで、Adobe Acrobat を使った PDF 圧縮におけるベストプラクティスが習得できたはずです。ぜひ試してみてください!

コメント