PDFを送信したときに「ファイルサイズが大きすぎる」と言われることは、ビジネスでもプライベートでもよくあります。
ページ数は少ないのに、画像を多用したレポートや契約書が数メガバイトにまとまるケース。
圧縮しても品質が落ちてしまうか、ツールの操作が複雑で手間がかかる…。そんな悩みを解消するために、今回「PDFを簡単に縮小する5つの方法:圧縮ソフト&無料ツール徹底比較」をまとめました。
目的は「簡単・高速・高品質」にこだわった圧縮手段を、初心者でもすぐに使える形で紹介し、最適な選択肢を見つけてもらうこと。
以下で、実際に試してみたツールの特徴と、圧縮の際に押さえるべきポイントを解説します。
1. オンライン圧縮サービスで即席に縮小
代表的なサービス
| サービス | 料金 | 使いやすさ | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Smallpdf | 無料(1日50MB) / 有料プランあり | ★★★★★ | アップロードからダウンロードまで1クリック。自動で最適な圧縮レベルを選択。 |
| ILovePDF | 無料(1日30MB) / 有料プランあり | ★★★★☆ | PDFの結合・分割と併用が可能。クラウド上に保存するオプションあり。 |
| PDF Compressor(pdfcompress.com) | 無料 | ★★★★☆ | アップロードサイズ無制限。ただし、アップロード速度でボトルネック。 |
| Google Drive + Google Docs | 無料 | ★★★★☆ | Google Docsで開いて「PDFとしてダウンロード」すると自動圧縮。 |
操作フロー(Smallpdfを例に)
-
アップロード:ブラウザで
smallpdf.com/es/compress-pdfにアクセス。ファイルをドラッグ&ドロップ、または「ファイルを選択」。 - 圧縮選択:標準圧縮(Fast)か「高品質」かを選択。ほとんどの場合、標準圧縮で十分です。
- 圧縮実行:ボタンを押せば自動で処理。数秒〜数十秒で完了。
- ダウンロード:完了ページで「ダウンロード」をクリック。さらにGoogle DriveやDropboxへ直接保存可。
オンラインサービスのメリット・デメリット
-
メリット
- ソフトインストール不要
- シンプルなUIで初心者向き
- 高速(ブラウザ+サーバ側のハードウェア)
-
デメリット
- アップロード/ダウンロード時間がネットワークに依存
- 大容量ファイル(数百MB以上)はアップロード制限あり
- 機密性の高い資料をクラウドに置くリスク
秘訣
1回の圧縮でサイズを半分にしたいなら「標準圧縮」だけで十分。
もし文字や画像が鮮明に残ることが重要なら「高品質」を選択。
ただし、同じファイルを何度も圧縮すると画像が劣化するので、複数回圧縮は避ける。
2. Adobe Acrobat Pro DC:ハンドツールで落ち着いた圧縮
機能概要
- レポート・契約書などのビジネス文書に最適
- PDF内の画像だけでなく、フォント、メタデータ、リンクなども最適化
- 「PDFを最適化」機能により「非表示のリソース」までクリーンアップ
実際の圧縮手順
- Acrobat Pro DCを起動し、対象PDFを開く。
- メニューから「ファイル」→「保存」→「最適化されたPDFとして保存」を選択。
- 「画像」タブで「JPEG 2000」(画像圧縮)や「JPEG」(標準JPEG)を選択。
- 「フォント」タブでは「Embed フォント」→「Subsetting」にチェック。
- 「設定を保存」し、ダウンロード先を指定して「保存」。
アドバンテージ
- 完全自動化:設定済みのプロファイルがあり、業務用にカスタマイズ
- 高品質維持:画像の解像度と圧縮率を微調整できる
- セキュリティ:PDFを再暗号化(パスワード設定)しつつ圧縮可能
デメリット
- 価格:月額¥1,800(2025年時点)
- 操作がやや複雑:設定項目が多く初心者には敷居が高い
- 専用Windows/macOS:Linuxは非対応
Adobe Acrobat Pro DCが選ばれるケース
- 社内で統一したPDF品質・サイズを保ちたいとき
- 法的に保持証拠レベルの品質を必要とする文書
- 画像を低解像度に落とすのではなく、品質を保ちつつファイルを削減したい場合
3. 無料ソフトウェアで気軽に圧縮
3‑1. Ghostscript(コマンドライン)
GhostscriptはPostScript と PDF の処理に定評のあるツール。
以下が代表的な圧縮コマンドです。
gs -sDEVICE=pdfwrite \
-dCompatibilityLevel=1.4 \
-dPDFSETTINGS=/ebook \
-dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH \
-sOutputFile=output_ebook.pdf \
input.pdf
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
-sDEVICE=pdfwrite |
PDF出力デバイス |
-dCompatibilityLevel=1.4 |
PDFバージョン (1.4=Adobe Reader 6) |
-dPDFSETTINGS=/ebook |
圧縮設定(/screen, /ebook, /printer, /prepress) |
-sOutputFile= |
出力ファイル名 |
ポイント
/screenは最低解像度、/ebookは中程度、/printerは高解像度。
大きな画像を含むPDFは/printerだとサイズが減少しにくいので、/ebookを推奨。
3‑2. PDFsam Basic
PDFsam(PDF Split and Merge)は、分割・結合に特化した GUI アプリ。
「最適化」機能はないが、ページを抜き出すときに不要なページや重複した画像を除去できるので、間接的にサイズ削減が可能です。
3‑3. PDF-XChange Editor(無料版)
- 画像圧縮:メニュー「ファイル」→「プロパティ」→「画像設定」で DPI を下げられる。
- フォントのサブセット化、ページの最適化オプションが無料版で利用可能。
- 操作は初心者向け:ドラッグ&ドロップでファイルを開くだけ。
無料ソフトのメリット・デメリット
-
メリット
- コストゼロ
- フレキシブルなカスタマイズ
- コマンドラインでスクリプト化が可能
-
デメリット
- GUI がシンプルすぎるため、初項は直感で利用できない
- 最高品質の圧縮はオンラインサービス・Acrobat ほどない
- 何度も試行錯誤すると時間がかかる
使い分け
- 小規模で「誰かに送るだけ」のPDFなら無料ソフトで十分。
- 法的な保存が必要な場合はAcrobat の「最適化」を利用。
4. 画像の最適化で効果的にサイズ削減
多くのPDFは画像が圧縮されていないまま埋め込まれています。
画像そのものを圧縮する方法は大きく2つです。
4‑1. 画像を低解像度で埋め込む
- 推奨 DPI:閲覧用途なら72〜150 DPIで十分。
- ツール:FastStone Image Viewer、IrfanView(Windows)、Preview(macOS)
-
手順例(IrfanView)
- 画像を開く
-
Image→Resize/Resample... - DPI を「100」に設定し、画質は「Best」(JPEG)
- 保存し、PDFへ再埋め込み
4‑2. 画像フォーマットの変更
- JPEG 2000:無圧縮(可逆圧縮)ではなく、ロスレスやロスィが選べ、JPEG より小さいケースが多い。
- WebP:Google が開発し、JPEG より約30%〜50%小さく、高品質を保つ。
- PNG:テキストやロゴなど、画質が厳格に必要な画像には最適。
- ツール:XnConvert、ImageOptim、pnmtopng(Linux)
5. 画像圧縮フロー(例)
# 画像を30%圧縮し、WebPに変換
cwebp -q 70 input.png -o output.webp
注意
画像を圧縮した後、PDFへ再埋め込みは「画像の再挿入」や「埋め込み位置」を「背景」から「コンテンツ」に変更しないと、ページレイアウトが崩れる可能性があります。
5. コマンドラインツールで自動化・バッチ処理
5‑1. Ghostscript でバッチ処理
Windows のバッチスクリプトで複数ファイルを一括圧縮。
@echo off
setlocal
set INPUT_DIR=C:\input
set OUTPUT_DIR=C:\output
for %%F in ("%INPUT_DIR%\*.pdf") do (
gswin64c.exe -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.7 \
-dPDFSETTINGS=/ebook -dNOPAUSE -dQUIET -dBATCH \
-sOutputFile="%OUTPUT_DIR%\%%~nF_compressed.pdf" %%F
)
echo All PDFs have been compressed!
5‑2. ImageMagick で画像事前圧縮
# すべてのjpgを圧縮
mogrify -quality 80 -path ./compressed ./images/*.jpg
5‑3. まとめたスクリプト
#!/usr/bin/env bash
INPUT="input.pdf"
OUTPUT="output.pdf"
# 画像を30%圧縮
cwebp -q 70 "$INPUT" -o temp.webp
# PDFに埋め込みつつ Ghostscript で圧縮
gs -sDEVICE=pdfwrite -dPDFSETTINGS=/ebook -dBATCH -dNOPAUSE -sOutputFile="$OUTPUT" "$INPUT"
ポイント
- スクリプト化すると社内共有が楽
- エラー時にログを残すよう
set -e(bash)を入れると安全- 定期的にバッチ処理したい場合は cron/join task と組み合わせる
6. 効率的な圧縮のコツまとめ
| 圧縮前 | 圧縮後 | チェックリスト |
|---|---|---|
| 大きな画像 | 中〜低解像度 | DPI を150以下に設定 |
| フォント全体埋め込み | サブセット化 | 「Embed フォント」→「Subsetting」 |
| 無駄なメタデータ | 削除 | 「元の情報を保持」オフ |
| 複数ページ同じ画像 | 削除 | 「重複画像削除」機能があるツールを利用 |
| PDF/PS の互換性 | 低めで保存 | -dCompatibilityLevel=1.4 を設定 |
- 品質を維持したまま圧縮したい:Adobe Acrobat の「/ebook」設定がベスト
- 無料ツールでコストゼロ:Ghostscript + ImageMagick でバッチ処理
- 手軽に圧縮したい:Smallpdf や ILovePDF(無料枠で最大30MB以内)は即座に完了
7. よくある質問(FAQ)
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| PDFが暗号化されている場合も圧縮できますか? | はい。Acrobat の「再暗号化」や Ghostscript でパスワードを指定すれば圧縮可能。ただし、パスワード管理に注意。 |
| PDF内に埋め込まれたフォントが壊れるケースは? | フォントが特殊な場合は「Subsetting」をオフにすると正しく再埋め込みされる。 |
| WebPDF ツールで圧縮すると文字がざらつく | これは「/screen」設定による。/ebook か pdfwrite の最適化を試す。 |
| 自動化スクリプトで圧縮率を変えたい | Ghostscript の -dPDFSETTINGS=/printer などをスクリプト内で引数化すると簡単。 |
| 圧縮した後に PDF/X 形式に合わせるには? | Acrobat の「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/X-1a:2001」のテンプレートを利用。Ghostscript では -sOutputFile=... に /pdfx デバイスを指定。 |
8. 最終的な推奨ツールチェーン(例)
| ステップ | 推奨ツール | コマンド/URL |
|---|---|---|
| 1. 画像低解像度化 | IrfanView / Preview | Image → Resize |
| 2. PDF へ再埋め込み | Acrobat / PDF-XChange Editor | 最適化 |
| 3. PDF ファイル全体圧縮 | Ghostscript | gs -dPDFSETTINGS=/ebook |
| 4. バッチ化 | Bash / PowerShell | for ループで gs 呼び出し |
8. まとめ
- 無料ツール(Ghostscript + ImageMagick)はコストゼロで高い柔軟性を持つ。
- **Acrobat の「最適化」**は品質とサイズの安定したトレードオフを提供。
- 画像圧縮を先に行うことで、PDF 自体に埋め込む前のサイズ削減が可能。
- スクリプト化とバッチ処理は社内で大量の PDF を扱う際に必須。
それぞれの環境・ニーズに合わせてツールを使い分ければ、**「ファイルサイズを半減」しつつ「閲覧品質はほぼ同等」**な PDF を簡単に得ることができます。ぜひ上記の手順を試してみてください。
そして、質問や感想はぜひコメントへ!
(参考文献・ダウンロードリンクはセキュリティの観点からリンクを除外しましたが、公式サイトから最新版を入手してください。)


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