PDF の用紙サイズを手軽に変更したいと考えている方へ。
PDF を編集する際に「ページサイズだけ」をいちいち手で変えるのは面倒です。
ここでは、Adobe Acrobat を使った手順から、無料で使えるオンラインサービス、そしてさらに高度な方法まで、段階的にご紹介します。
さらに、サイズ変更時に気を付けるべきポイントや、サイズ変更が必要になるシーンも解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
用紙サイズの基礎知識
PDF の「ページサイズ」と言うと、実際には以下の情報が含まれます。
- 幅 (Width) と 高さ (Height) のピクセル数
- 単位(通常はポイント
pt、1pt = 1/72 インチ) - 縦長(Portrait)と横長(Landscape)の向き
代表的なサイズは次の通りです。
| 用語 | サイズ (mm) | サイズ (pt) |
|---|---|---|
| A4 | 210 × 297 | 595 × 842 |
| Letter | 216 × 279 | 612 × 792 |
| Legal | 216 × 356 | 612 × 1008 |
| 100mm | 100 × 150 | 283.5 × 425.25 |
サイズを変更する際は、**倍率(Scale)**や「向きを逆にする」設定にも注意が必要です。
1. Adobe Acrobat(標準機能)でのページサイズ変更
Adobe Acrobat は機能が豊富で、ページ単位で細かい調整ができます。ここでは、Acrobat DC(最新版)を例に手順を紹介します。
1‑1. PDF を開く
- Acrobat を起動し、
ファイル→開くで対象の PDF を選択。 - ページサイドバーにすべてのページが表示されることを確認。
1‑2. ページサイズを一括変更
- メニューの
ツール→印刷制作をクリック。 - 右側のパネルに「ページサイズ・向きの調整」の項目が表示されます。
サイズドロップダウンから目的のサイズ(A4, Letter など)を選択し、適用をクリック。- ここで「ページを縮小/拡大」オプションを有効にすると、内容がページ上に収まるよう自動でスケール。
- 無効にすると、内容はオリジナルの位置・サイズのままサイズだけ変更され、切れます。
1‑3. 個別ページのサイズ変更
上記は全ページが同一サイズになる設定です。個別に変更したい場合は次の手順です。
ツール→ページ操作→サイズ変更を選択。- 「対象ページ」に
1-5など範囲を入力、または選択したページを選択。 - 「新しいページサイズ」から目的を選択し、必要ならスケール調整。
OKをクリックすると、選択ページだけが変更されます。
1‑4. レジスタード紙のサイズを作成する
既存のサイズに合わない場合は「自動定義」から独自のサイズを作成します。
サイズ変更ダイアログの「+」ボタンをクリック。幅と高さをピクセルまたは mm で入力。名前を付けて保存。- 以降そのサイズを自由に選べます。
1‑5. 保存
変更後は ファイル → 別名で保存 を使用し、オリジナルを残すか、上書きしても構いません。
2. 無料オンラインツールでのページサイズ変更
Acrobat がない、あるいは手軽に試したいだけなら、以下のオンラインサービスがおすすめです。
| サービス | 特徴 | URL |
|---|---|---|
| PDF Resizer | シンプルかつ高速。A4/Letter だけでなく自訂サイズが可能。 | https://toolbox.googleusercontent.com/resize |
| Smallpdf | ドラッグ&ドロップで簡単。PDF をアップロード後、サイズを選択してダウンロード。 | https://www.smallpdf.com/resize-pdf |
| PDF2Go | スケール倍率も手動で設定。ページごとに変更可能。 | https://www.pdf2go.com/resize-pdf/ |
| ILovePDF | 多彩な編集ツールが併設。スケールや向きを自動で調整。 | https://www.ilovepdf.com/resize-pdf |
2‑1. 基本的な使い方
- クリックで PDF をアップロード。
サイズ変更オプションを選択 → 「A4」など、または自由寸法を入力。実行/リサイズボタンを押す。- 変更後の PDF をダウンロード。
注意点
・ ファイルサイズが大きいとアップロードに時間がかかる。
・ 無料版では 1 ファイルあたりのページ数やサイズに制限がある場合がある。
・ 重要機密情報を扱う際は、サービスのプライバシーポリシーを確認。
2‑2. 一括ダウンロード
複数の PDF を一度に処理したい場合は、zip ファイルでまとめてアップロードし、最後にまとめてダウンロードできるサービスも多いので、作業効率が向上します。
3. コマンドラインツールでの自動化
大量の PDF を定期的にリサイズする場合は、スクリプトで自動化すれば効率的です。
3‑1. Ghostscript を使う
Ghostscript は PDF 変換・編集に強く、-sDEVICE=pdfwrite を使ってページサイズを指定できます。
gs -o output.pdf -sDEVICE=pdfwrite \
-sPAPERSIZE=a4 -g595x842 \
input.pdf
-sPAPERSIZEで標準サイズを、-gでピクセル数を指定。- さらに
-dDEVICEWIDTHPOINTS,-dDEVICEHEIGHTPOINTSオプションで細かいカスタムサイズが可能。
例:50% スケールで縮小
gs -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 \
-dPDFFitPage=true -dPreserveAnnots=true \
-dDEVICEWIDTHPOINTS=298 -dDEVICEHEIGHTPOINTS=421 \
-g590x837 -dPDFFitPage -o output.pdf input.pdf
3‑2. qpdf を使ってページサイズを保持しつつ変更
qpdf input.pdf --pages . --replace-input --
--pages=1- --transform=rotate --transform=scale=0.75 \
output.pdf
qpdfはページ単位での回転・スケール変換が可能ですが、ページサイズ自体は変わらない場合があるので注意。
3‑3. Python/ReportLab
Python スクリプトで PyPDF2 や reportlab を組み合わせると、高度なカスタムリサイズも実現できます。
import PyPDF2
from reportlab.lib.pagesizes import A4
with open('input.pdf', 'rb') as f:
reader = PyPDF2.PdfReader(f)
writer = PyPDF2.PdfWriter()
for page in reader.pages:
page.mediabox.upper_right = (A4[0], A4[1]) # A4 に変更
writer.add_page(page)
with open('output.pdf', 'wb') as out_f:
writer.write(out_f)
4. 代替ソフトウェアとアドオンサービス
4‑1. Foxit PhantomPDF
Acrobat に比べ軽量で、ページ単位のサイズ変更も簡単。
編集→ページサイズで変更可能。- スケールオプションも入っているため、内容が切れる心配が少ない。
4‑2. LibreOffice Draw
オープンソースで無料。
- Draw で PDF を開く。
編集→ファイル設定→ページでサイズ変更。- 保存 → PDF として再エクスポート。
4‑3. クラウドベースの PDF エディタ
- PDFescape, Sejda, PDF Candy などはブラウザだけで完結。
- これらは一括処理は不可能になることが多いので、少数のファイルに適しています。
5. 重要ポイントとよくある質問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| PDF の内容がサイズ変更で切れるのはどうすれば回避できますか? | Acrobat の「ページを縮小/拡大」オプションをオンにするか、オンラインツールの「自動フィット」機能を利用。スケールを 90% 以下に設定すると内容が落ち着きます。 |
| 多くのページを A4 から Letter に統一したい場合、どうすればいいですか? | Acrobat の ツール → 印刷制作 → すべてのページを一括で変更。スクリプト(Ghostscript)で自動化すると大量作業が楽。 |
| PDF が暗号化されているとサイズ変更できないのはなぜですか? | 暗号化された PDF は読み取り権限が制限されている場合があります。Acrobat は「編集制限解除」を行う機能があります。 |
| サイズ変更後にもページ番号がずれることがあります。 | Acrobat では「ページ番号付きヘッダー」などの要素は固定座標で配置されているため、リサイズに合わせて手動で調整する必要があります。 |
| 自動でサイズ変更した PDF がページごとに縦横倒しになるケース | -dPDFSETTINGS=/prepress や -dPreserveAnnots=true を付与して Ghostscript を実行すると、向き情報が保持されます。 |
6. まとめ
- Acrobat を使えばGUIで簡単に全ページまたは個別ページのサイズ変更が可能。
- オンラインツール は手軽に試せるが、ファイルサイズや個人情報の取り扱いに注意。
- コマンドライン(Ghostscript/ qpdf/ Python) を使えば大量ファイルでもスクリプトによる自動化が可能。
- LibreOffice Draw などのフリーオプションも、数ページ程度なら十分。
「PDF の用紙サイズを手軽に変更する」 方法は複数あるため、用途・環境に合わせて最適なツールを選びましょう。
作業前に必ずバックアップを取ること、そして変更後に文書全体を確認して内容が正しく保持されているかを確かめてください。これで、紙媒体のサイズに合わせた PDF をスムーズに作成・共有できます。


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