当たり前のように思える「PDFをコピーする」作業。しかし、業務で大量のPDFを複製したり、編集前にバックアップを取るだけでなく、PDFに付随する属性(ページ範囲、権限、メタデータ)まで正しく残したまま手軽に複製したいケースは少なくありません。
この記事では「PDFの複製」をスピーディーに、しかもミスが少ないようにするための実践的手順と、ユーザー環境(Windows・Mac・Linux・モバイル)別のおすすめツール・コツを紹介します。
PDFを複製する基本的な手順
| ① | PDFを開く |
| ② | ファイルメニュー >「名前を付けて保存」 |
| ③ | 適切なファイル名・保存先を入力 |
| ④ | 右上またはメニューから「PDFのコピー」(オプション) |
この基本フローでよく使われるビルトインの「名前を付けて保存」だけは、属性が変更される場合があります。以下では「コピー」でも「名前を付けて保存」でも同じ目的を果たすテクニックを解説します。
Windowsで高速にコピーする方法
1. 標準機能「名前を付けて保存」
- 手順
- Adobe Reader / EdgeでPDFを開く
Ctrl + Sで保存ダイアログを開く- 任意名前を付け、フォルダに保存
- コツ
- フォルダに複数のコピーを作る場合は、ファイル名に「_copy1, _copy2」など連番を付けて整理すると分かりやすい。
- 保存先を「デスクトップ」など一時的な場所にすると、すぐにチェックできる。
2. PDFsam Basic(無料オープンソース)
- 特徴
- PDFのページ分割・結合・抽出・回転・削除が可能。
- 「コピー」モジュールを使えば、元ファイルを壊さずに同一内容のPDFを出力できる。
- 利用手順
- PDFsamを起動し「コピー」を選択
- 「ファイルを追加」で元のPDFをドラッグ&ドロップ
- 「ページ範囲」や「メタデータ」をそのままにして「実行」
3. コマンドライン(pdftk)
pdftk input.pdf output duplicate.pdf- 大量ファイルを処理するときは、バッチスクリプトやPowerShellでループすると便利。
4. サードパーティ印刷ドライバ
- CutePDF や Microsoft Print to PDF を印刷先に設定し「印刷」を行う。
- ページ数はそのまま保持されるが、印刷時の設定(解像度)に注意。
macOSで手軽にコピー
1. Preview(プレビュー)で保存
⌘ + Sで新しい名前を付けるとコピーが作成される。- 同一フォルダに複数保存すると、ファイル名に
- copyが自動で付与される。
2. Automatorで自動化
- 「PDFをコピー」や「PDFを生成」などのアクションを組み合わせ、ワンクリックで複製できるワークフローを作成。
- パラメータを変えることで、必要なページだけを抜き出したコピーを作成可能。
3. libharuなどPythonスクリプト
import fitz # PyMuPDF
doc = fitz.open("input.pdf")
doc.save("duplicate.pdf")
- スクリプトを改造して、ファイル名変更やメタデータ追加を同時に行うことができる。
4. PDF Export(プリント)
- ファイル > プリント → PDFドロップダウン → 「PDFとして保存」。
- これにより印刷設定を変更せずにそのままコピーが出来る。
Linux(Ubuntu)でのコピー手順
1. Evince(デフォルトビューア)で保存
Ctrl + Shift + Sで「名前を付けて保存」ダイアログが開く。
2. cp コマンドで一括コピー
cp input.pdf duplicate.pdf- シェルスクリプトでループ処理して、同一フォルダ内に多数コピーを保存。
3. qpdf でメタデータ保持
qpdf --empty --pages input.pdf -- output.pdf- これで元のページ構成と保護設定を維持したコピーができる。
4. Ghostscript スクリプト
gs -sDEVICE=pdfwrite -dPDFSETTINGS=/default -dNOPAUSE -dBATCH -sOutputFile=duplicate.pdf input.pdf
- 画像解像度や圧縮設定を細かく制御できるので、大文字サイズ・高品質のコピーが必要な場合に優秀。
モバイルデバイスでのコピー
iOS
- Files アプリ
- PDFを選択 → 共有アイコン → 「ファイルへコピー」
- 保存先を指定して「コピー」を実行。
- Adobe Acrobat Reader
- 「別名で保存」オプションで同一内容を別名で保存。
Android
- Google PDF Viewer
- ファイルを開く → タップメニュー → 「名前を付けて保存」
- PDF Viewer (PDF Viewer Deluxe)
- タイルタップで「保存」→ コピー先を指定。
共有機能を使う
- メールやクラウドに添付して送るだけで、相手側はダウンロードしてコピーとして扱うことができる。
複製時に注意すべき点
| 項目 | 備考 |
|---|---|
| 著作権 | コピーしたPDFが著作物の場合、許諾が必要。 |
| 権限設定 | PDFに「印刷禁止」や「編集禁止」が設定されていると、コピー後も同条件になる。 |
| ファイルサイズ | 高解像度の画像が入っている場合、サイズが増大するのでメモリに注意。 |
| メタデータ | 日付・作成者情報が正しくコピーされているか確認。 |
| 暗号化 | 暗号化PDFはコピー時にパスワード入力が必要。 |
よくある質問とその答え
Q1. PDFをコピーするときにページ番号や注釈などが失われる場合は?
A. 使用しているビューアが「プリントのみ」保存する設定になっている可能性があります。名前を付けて保存ではなく「保存」メニューを利用し、設定で「全ページ」を選択してください。
Q2. 複数のPDFを一括でコピーしたい。
A. Windowsでは Windows PowerShell で Get-ChildItem *.pdf | ForEach-Object { Copy-Item $_ -Destination "コピー済み\$_" }、Mac/Linuxでは find . -name "*.pdf" -exec cp {} コピーフォルダ/ \; を使います。
Q3. PDFのコピーを行った際に「印刷禁止」設定が残るが、解除したい。
A. qpdf --replace-aac input.pdf output.pdf でアクセス権限をリセットできます。サードパーティのPDF編集ソフトで「編集権限を削除」オプションを選択してください。
まとめ
- シンプル: ほとんどのOSで「名前を付けて保存」だけでコピーが完了。
- 高速: PDFsam、qpdf、Ghostscript などを使えば大量コピーもスピードアップ。
- 安全: メタデータや権限を意識してコピーすることで、後のトラブルを防止。
今回紹介したツールと手順を組み合わせれば、業務や個人利用において「PDFを簡単に複製する」ことが思ったよりもずっとスムーズになります。ぜひ、自分の作業環境に合った方法を試してみてください。


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