契約書 pdf 作り方:簡単ステップバイステップでプロに仕上げる

導入
契約書を作るとき、最も気になるのは「プロ仕様に見せるにはどうすればよいのか」という点です。
紙に印刷せずに電子データだけで完結させる場合でも、PDF形式なら誰が閲覧してもレイアウトが崩れないのでほとんどのケースで一番安心。
ここでは「PDFを使った契約書作成」を初心者でも失敗しないよう、ステップ・バイステップで解説します。
「契約書を作る時に何を押さえればいいのか」「どんなツールを使えば時間短縮できるのか」と悩む方へ、具体的な作業フローとベストプラクティスを共有します。


1. 契約書作成前に決めるべき「契約の概要」

1‑1. 契約の種類と目的を明確化

  • 業務委託契約、請負契約、販売契約 など、目的別にテンプレートを選ぶ。
  • 目的に合った条項(納品条件、報酬額、期間、責任範囲)が必要かをチェックボックスで整理する。

1‑2. 必須項目リストを作成

項目 重要度 備考
1. 当事者情報 ★★★★★ 会社名・個人名・住所・連絡先
2. 契約目的 ★★★★★ 何を達成するかを短くまとめる
3. 契約期間 ★★★★☆ 開始日・終了日、または更新条項
4. 代金・支払方法 ★★★★★ 金額、振込口座、支払期日
5. 納品物・成果物 ★★★★☆ 仕様・数量・品質基準
6. 知的財産 ★★★★☆ 権利帰属・使用許諾
7. 機密保持 ★★★★☆ 情報の取り扱い範囲
8. 免責・損害賠償 ★★★★☆ 責任の範囲・限度
9. 法的管轄 ★★★☆☆ 争議解決方法
10. 署名・捺印 ★★★★☆ 電子署名の有無

このリストをベースに各項目の詳細を書き込むことで、作業漏れを防げます。


2. 用意すべきツールと設定

2‑1. PDF作成ツール 10選(無料/有料)

ツール 特徴 URL
Adobe Acrobat Pro DC レイアウト調整・フォーム自動化 https://acrobat.adobe.com
Nitro PDF Pro 高速処理とクラウド連携 https://www.gonitro.com
Foxit PDF Editor 軽量でコストパフォーマンス https://www.foxit.com
LibreOffice Writer 無料でオープンソース https://www.libreoffice.org
Google Docs + PDF Export クラウドで共同編集 https://docs.google.com
WPS Office Writer Windows/Mac 一括 https://www.wps.com
Microsoft Word 既存テンプレート利用可 https://www.microsoft.com
DocuSign 署名・認証機能付き https://www.docusign.com
SignNow API連携で自動化 https://www.signnow.com
Kami PDFマークアップ・コメント https://www.kamipdf.com
  • 選択ポイント

    • テンプレートの豊富さ:既存契約書のテンプレートがあると手間が省けます。
    • フォームフィールドの作成:PDF内で直接入力できるようにすることで、相手側も手軽に情報を記入できます。
    • 電子署名機能:署名欄を自動で認証してくれるものを選ぶと紙の往復を減らせます。

2‑2. フォーマット設定チェックリスト

チェック項目 質問例 備考
1. フォント 12pt 標準フォントか 可読性を確保
2. 行間 1.15〜1.5 か 誤字の見逃しを防ぐ
3. ページ番号 右下に入っているか ページ数の管理
4. 余白 上下左右 1インチ 署名欄確保
5. 章番号 1.1,1.2 で統一 見出しの階層が明確
6. 目的・要件 具体的に書かれているか 契約の本質が明示
7. 日付表記 yyyy/mm/dd か 形式統一(日本語/英語の混在はNG)

3. ステップ by ステップ:契約書作成フロー

Step 1 – テンプレートを選ぶ
① まず「業種別」「契約の種類別」テンプレートをダウンロード。
② 代表的な無料テンプレートは「Legal Templates」や「Rocket Lawyer」で無料利用できるが、業務内容に合ったオリジナルを選ぶ。

Step 2 – 当事者情報を入力
① 会社情報は登記簿謄本を確認して正式名称・所在地を入力。
② 個人契約の場合は名前・住所・電話だけでなく、都道府県コード・マイナンバー表記の必要性を確認。
③ 重要なのは「代表者」か「本人」かをクリアにすること。

Step 3 – 契約条項を埋め込む
① 上記必須項目を順番に埋めていく。
② テキストを入力する際は「契約書テンプレートの項目名」をそのままコピー&ペーストで貼り付け、必要箇所を変更。
③ 例外や特殊条項(例えば海外取引の場合は関税・輸送責任)があれば追加。

Step 4 – フォームフィールドを設置
① PDFエディタ内で「フォーム作成」モードへ。
② 「氏名」「日付」「金額」など、相手が記入する欄をドラッグ&ドロップ。
③ フィールドのプロパティで必須/任意を設定すると、データ欠落を防げる。

Step 5 – 署名欄の準備
① 署名は「電子署名」か「PDFに添付する署名画像」のどちらかを決める。
② 電子署名の場合、DocuSign、SignNowなどのサービスにアップロードして署名リクエスト。
③ 署名画像を挿入する場合は、画像サイズと解像度(DPIは300以上)をチェック。

Step 6 – PDFとしてエクスポート
① 「ファイル > PDFとして保存」または「エクスポート」機能を利用。
② PDF/A形式(長期保存を想定)に設定すると、フォント埋め込みやメタデータが保証される。
③ ファイル名は「契約書_受注番号_日付.pdf」のように統一。

Step 7 – バックアップと共有
① クラウドストレージ(Google Drive, OneDrive, Dropbox)に保管。
② 共有リンクは「閲覧のみ」に設定し、必要なら編集権限は限定。
③ 署名後はファイルをロック(PDFの編集禁止設定)することで内容変更を防止。


4. PDF化前に必ず確認すべき「法的チェックポイント」

チェック項目 具体策
1. 署名線 書式の中に明示した署名欄があるか 「署名」「捺印」のフレーム
2. 署名の証明 電子署名は暗号化/認証済みか DocuSign で発行した署名
3. 条項の妥当性 法令に違反していないか 日本商法、労働法への準拠
4. 言語 日本語のみ、英語併記の場合は翻訳の正確さ 契約書の日本語版に英語注釈
5. 変更履歴 変更箇所は追跡しやすいか 変更箇所にハイライト
6. 署名の有効期限 定期的に確認する 1年で更新が必要な取引
7. データ保護 個人情報保護法(GDPR等)に違反していないか 名前・住所・電話の取り扱い

ポイント

  • PDFはテキスト検索が可能な点がメリットですが、編集が容易なので「編集不可」設定は必須。
  • 署名は「署名欄に直接イメージを貼り付け」だけでなく、暗号化された電子署名を使うと「誰がいつ署名したか」を証明できます。

5. よくあるミスと対策

失敗例 原因 改善策
① 内容が途中で切れる PDF変換時に段落が分割されている 「フルページ」モードで保存、プリントアウトで確認
② 署名欄に手書きが入りにくい フォームフィールドが小さい フィールドサイズを拡大、必須項目設定
③ ファイルサイズが大きい フォント埋め込みで圧縮されていない PDF/A設定+画像圧縮オプション
④ メタデータに個人情報漏れ ファイル情報に保存されている 「プロパティ > セキュリティ」からメタデータを削除
⑤ 署名者が確認できない 電子署名の証明が不十分 署名の認証証明書を添付またはリンクで提供

6. さらに高度な機能を使いこなす

6‑1. PDF内でのチェックボックス活用

  • 「業務範囲」の項目ごとにチェックボックスを配置。
  • 署名前に内容確認リストとして機能します。

6‑2. バージョン管理

  • GitHub の「GPG signed commit」を利用し、PDF変更履歴を追跡。
  • 変更があるたびに「バージョン番号+変更要旨」を付記。

6‑3. API連携による自動化

  • Zapier+DocuSign で「見積書→請求書→契約書」のフローを自動化。
  • フォーム入力値を直接PDFに反映させ、署名者リストを管理。

7. PDF契約書を完璧に仕上げるためのチェックリスト

  1. 契約概要・当事者情報が正確か。
  2. 必須条項が漏れなく入力されているか。
  3. 署名欄が設置され、署名形式は決定済みか。
  4. 電子署名が有効で、署名者情報が確認できるか。
  5. PDFの最終確認:ページ数、余白、フォントサイズ。
  6. ファイル名が一貫し、バックアップ・共有設定が完了しているか。
  7. 法的チェック:労働法、商法、個人情報保護法などに違反していないか。
  8. セキュリティ:編集不可、パスワード保護、メタデータ削除。

8. まとめ

PDFで契約書を作ると、最終版を共有してもレイアウトが崩れず、署名もデジタル化できるため業務効率が飛躍的に上がります。
重要なのは「テンプレートを活用して必要項目を漏れなく埋める」こと、そして「署名・セキュリティを確実に設定する」点です。
今回紹介したステップを実践すれば、法律にも対応したプロ仕様のPDF契約書を数時間で作成できます。

ぜひ、自社の業務プロセスに合わせてカスタマイズし、実際に使い始めてみてください。
疑問や不明点があれば、ツールのヘルプデスクや専門の弁護士に相談するとより安心です。


コメント