大抵のPDF編集ソフトは「文書を開いて、そこから削除やコメントを加える」だけのイメージになりがちですが、PDF XChange Editorはその先を行く多機能ツールです。
初めて使う方でも安心して操作できるよう、インストールから日常的に使えるテクニックまで、初心者でもわかる手順をまとめました。
これを読めば、**「PDF XChange Editorで何ができるの?」**という疑問は解決し、実務や学習で活用できるレベルに上達できます。
PDF XChange Editorとは何か
PDF XChange Editorは、PDFファイルを閲覧・注釈付け・編集・作成・結合・変換できるWindows用アプリです。
Adobe Acrobatほど多機能ではありませんが、価格の高さがほぼゼロに近い「フリーバージョン」もあり、ビジネス文書の初歩的編集や、学生の課題提出用に適しています。
主な特徴
- 高速起動:PDFファイルを瞬時に読み込みます。
- 軽量:RAMの使用量が少なく、古いPCでも動きます。
- 多彩な注釈ツール:ハイライト、線、図形などが豊富。
- ページ操作:挿入・削除・回転・結合・分割が簡単。
- テキスト抽出・検索:OCR済みPDFでも検索できます。
- 安全な署名:電子署名機能付き。
- 多言語対応:日本語を含む全世界言語で操作可能。
1. インストール手順
- 公式サイトへアクセス
https://www.tracker-software.com/product/pdf-xchange-editor
ここから「無料版」または「商用版」をダウンロードします。 - インストーラを実行
Setup.exeをダブルクリック → インストールウィザード開始。- **「カスタムインストール」**を選択すると、不要な機能を省いた安定版になります。
- ライセンス選択
- 無料版を選ぶ場合は「無料」タブをクリック。
- 有料版(Pro)は「購入」からクレジットカード、PayPal等で決済。
- インストール先とショートカット
- デフォルトで
C:\Program Files (x86)\Tracker Software(64bit) - タスクバーやスタートメニューにショートカットを作成。
- デフォルトで
- 起動してみる
- デスクトップアイコンで起動。
- 初回は UI 言語が Windows 言語と同じになるはずです。
- もし日本語表示にしたい場合は
ツール → 設定 → 一般 → アプリ言語で切り替えてください。
TIP
初期設定で「すべての機能を自動更新」となるため、ネットワーク切断時には起動できないことがあります。オフラインで使う場合は「自動更新を無効」にしておくと安定します。
2. 画面構成と基本操作
2‑1. メインウィンドウ
| 区域 | 役割 |
|---|---|
| ツールバー | ファイル関連・編集・表示操作 |
| サイドパネル | 「ページ」「ズーム」「コメント」「アウトライン」など |
| メインビュー | PDF本体を表示 |
| ステータスバー | ページ番号・ズーム率・状態表示 |
2‑2. ファイルを開く
| 方法 | 手順 |
|---|---|
| ドラッグ&ドロップ | PDFファイルを直接ウィンドウへドロップ |
| ファイルメニュー | ファイル → 開く → ファイルとフォルダーを選択 |
| ローカルストレージ | Ctrl+O キーショートカット |
| 最近使ったファイルリスト | ファイル → 最近使用したファイル で一覧から選択 |
注意
PDFファイルが暗号化されていると、開く際にパスワード入力が求められます。
2‑3. ページのスクロールとズーム
- マウスホイール: 上下スクロール。
Ctrl + マウスホイール: ズームイン/アウト。- ボタン: 上の
ズームドロップダウンを使い、パーセンテージを選択。
2‑4. 表示モードの切り替え
表示タブ →ページレイアウト- シングルページ、継続ページ、両面ページ、フルスクリーン などを選択。
Ctrl+Fでフルスクリーン、Escで通常表示に戻ります。
3. PDF注釈の付け方
PDF XChange Editor は注釈付け機能が非常に充実しています。
3‑1. テキストハイライト
コメントツールからハイライトアイコンを選択。- ハイライトしたいテキストをドラッグ
- カラーダイアログで色を選ぶと、即座にハイライト。
3‑2. スティッキーノート
コメントツールでノートを選択。- PDF内の任意位置でクリック
- 文書内にテキストが入力できる吹き出しが出現。
3‑3. 下線・取り消し線
コメントツールの下線/取り消し線- シンプルな線は PDF のテキストに重ねられ、編集が不要。
3‑4. フォームフィールドの作成
既存の PDF にフォームフィールドを追加すると、オンラインで入力させることができます。
作成→フォームフィールドテキストフィールド/チェックボックス/ラジオボタンなど選択- PDF上でドラッグ&ドロップで配置
- プロパティでフォントやバリデーションを設定
Tip:
F2キーでプロパティパネルを即座に開き、入力必須や最大文字数などを細かく調整できます。
4. ページ操作とファイル編集
4‑1. ページの削除・入れ替え
- サイドパネルの ページサムネイル を表示。
- 削除したいページを右クリック →
ページ削除。 - 入れ替え(ドラッグ&ドロップ)も可能。
4‑2. ページの回転
- サムネイルのページを右クリック →
ページ回転。 - 90度単位の回転で、単方向・両方向選べます。
4‑3. ページの挿入(ファイルから)
ファイル → ページ挿入- 挿入したいファイルを選択
- ページ挿入場所 で「前後へ」「指定ページへ」などを決定
4‑4. PDF結合・分割
| 操作 | 手順 |
|---|---|
| 結合 | ファイル → 複数ファイル → ファイルの結合 |
| 分割 | ファイル → ページ操作 → ページ分割 |
| 単体保存 | ファイル → 別名で保存 → PDF(独立ページ) |
TIP
大量の PDF を結合する際は、ファイル名に連番を付けておくと「ページ順序が入れ替わる」問題を回避できます。
5. PDFの変換と作成
5‑1. Word へのエクスポート
ファイル → エクスポート → Microsoft WordDOCX形式で保存- 変換時に「テキストと表を保持」オプションをオンにすると、レイアウトが崩れにくいです。
5‑2. 画像→PDFへの変換
ファイル → 画像を PDF に変換- 拡張子を jpg, png, bmp で選択
- 複数画像同時変換は「選択したファイル」→「全て結合」で一括処理
5‑3. PDFから画像への抽出
ファイル → サウンド & ビデオ → 画像として抽出- 抽出範囲をページ単位・特定範囲指定で選択
5‑4. HTML への保存
公式サポートはありませんが、
ファイル → エクスポート → PDF to HTMLで可能。
ただし、レイアウトが崩れやすく、CSSが不自然になる場合があります。
6. 電子署名とセキュリティ
6‑1. デジタル署名の追加
作成→署名署名領域を追加→ ドラッグして署名ブロックを配置- 署名をクリック →
署名作成 - 「デジタルID」または「証明書」を選択し、署名
- 完成後、ファイルに署名情報が埋め込まれます。
6‑2. パスワード保護
ファイル → 開く → パスワードで保護- 「暗号化とセキュリティ」タブ → 「パスワードで保護」チェック
- 読み取り・印刷・変更制限を設定
6‑3. コーパーレッスン(複写防止)
表示 → 保護で「コピー禁止」に設定すると、コピー&ペーストが無効化されます。
注意
署名やパスワードは一度設定するとファイルを開くたびに入力が必要になります。バックアップの際に同じ保護設定を行うと、ファイル管理が煩雑になることがあります。
7. OCR(文字認識)機能
PDF XChange Editor は、画像だけでなくベタ書きのスキャン文書にも OCR を適用できます。
編集 → OCR ページ- 言語(日本語/英語)を選択
- OCR 出力を「テキスト」または「注釈」へ設定
- 成功すると、選択範囲で検索したりコピーできるようになります。
ヒント
スキャン解像度が低いと認識率が落ちます。600DPI前後を推奨。
8. バージョンアップの管理
8‑1. オートアップデートの確認
ツール → 設定 → 一般で「自動更新チェック」をオン/オフ可- 手動で更新が必要な場合は公式サイトへアクセス
8‑2. ライセンスの再有効化
- プロバージョンを購入した場合、一度インストールしたキーを再登録するには
ツール → ライセンス管理→ 「登録情報を更新」
9. よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ファイルが開かない | 暗号化されている | パスワード入力、あるいは PDFを復号 で開く |
| 文字が表示できない | フォントが埋め込まれていない | プロパティ → フォント埋め込み で PDF を再作成 |
| 注釈が消える | PDFを読み取り専用モードで開いている | 表示 → ビューモード → 編集可能 を選択 |
| 起動が不安定 | 旧バージョンのドライバが衝突 | グラフィックドライバを最新版に更新 |
| 印刷時に文字が欠ける | 解像度不足 | ファイル → プリント設定 で高解像度に設定 |
10. 実践例:業務でのPDF作業を効率化する5つのワークフロー
-
契約書確認
- PDFを開き、必要箇所に ハイライト。
- クラウドストレージに保存し、共有リンクで関係者へ送付。
-
報告書の作成
- スキャンした報告書を OCR でテキスト化。
Wordへのエクスポートで編集。
-
社内マニュアル整備
- 複数ページを 結合。
- 重要ポイントに ノート を入れ、社内イントラに貼り付け。
-
経費精算の領収書処理
- 領収書画像 → PDF変換。
- ページ分割 で不要ページを削除。
- デジタル署名で経理承認。
-
顧客資料のカスタムテンプレート化
フォームフィールドで「顧客名」「住所」「金額」などを設置。- CSV から一括登録して、カスタマイズ版PDFを自動生成。
まとめ
PDF XChange Editor は、PDF操作の基礎から高度な編集、セキュリティまで網羅したツールです。
無料版でも十分に機能が備わっており、まずは基本操作(開く・ページ操作・注釈付け)を身につけ、次に注釈ツールとフォーム機能へ踏み込めば、業務効率は大幅に向上します。
本記事を参考に、ぜひ以下のような実務シナリオで活用してみてください。
- 社内資料の注釈共有
- 契約書の電子承認システム構築
- 教育教材のオンライン配布
もし他に知りたい機能やトラブルがあれば、公式フォーラムやマニュアル、YouTube のチュートリアル動画も活用するとよいでしょう。
PDF XChange Editor をうまく使いこなすことで、PDF文書の操作が「面倒な作業」から「スムーズなワークフロー」へ変わるはずです。
ぜひ、今日から実践してみてください。


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