LinuxでPDFを高速編集・管理する5つのベストツールと使い方 ~コマンドラインからGUIまで徹底解説~
LinuxでPDFを扱う際に「高速に編集したい」「大量のPDFを一括で整理したい」などといったニーズは、GUIアプリでは足りないことが多いです。コマンドラインのツールなら正確かつ一気に処理でき、スクリプト化も容易です。ここでは、Linuxユーザー必見の5つのPDF編集・管理ツールを紹介し、具体的な使い方と活用コツを解説します。
1. qpdf – 何でもできる万能のPDFツール
何ができるのか?
- PDFの結合・分割
- ページ回転・抽出・削除
- パスワード保護・解除
- 変換(PDF/Aへの変換など)
- PDFの暗号化解除・再暗号化
インストール
sudo apt-get install qpdf # Debian/Ubuntu
sudo dnf install qpdf # Fedora
基本的な使用例
PDFを結合する
(a.pdf と b.pdf を merged.pdf にまとめる)
qpdf --empty --pages a.pdf b.pdf -- merged.pdf
PDFをページ単位で分割
(1ページずつに分割して output_01.pdf などに保存)
qpdf a.pdf --split-pages --prefix output_ -- \
output_%03d.pdf
ページを回転させて新しいファイルに保存
(1ページ目を90度回転)
qpdf input.pdf --pages . 1- --rotate-90 -- output.pdf
パスワードを削除して暗号化解除
(入力パスワードは mypassword)
qpdf --password=mypassword --decrypt input.pdf output.pdf
ワークフローに取り入れるコツ
- バッチスクリプトで大量PDFに同じ操作を繰り返す
--pagesオプションを使うと抽出も簡単- PDF/A へ変換したい場合は
--compress-streams=noneなどのオプションを併用
2. pdftk – スクリプトで実践するPDF処理の定番
何ができるのか?
- PDFの結合・分割・回転・抽出・削除
- フォームデータの読み取り・埋め込み
- パスワード保護・解除
- テキスト抽出(純粋なテキストは別ツールが必要)
インストール
sudo apt-get install pdftk
(Debian 系では古いパッケージがあるので必要に応じて pdftk-java を検討)
基本的な使用例
複数PDFを結合
pdftk a.pdf b.pdf cat output combined.pdf
PDFをページ単位に分割
pdftk original.pdf burst output split_%03d.pdf
ページの抽出
pdftk original.pdf cat 1-4 10-12 output part.pdf
PDFの回転
pdftk original.pdf cat 1-endE output rotated.pdf
パスワードの解除
pdftk protected.pdf input_pw mysterypass output unlocked.pdf
よく使う組み合わせ
catとburstを組み合わせてページを抽出/分割pdftkはスクリプトに埋め込みやすく、while read f; do ...で複数ファイルをバッチ処理
3. Poppler‑Utils – PDFからテキストや画像を抽出するベーシックセット
Popplerは PDF を読み込むためのライブラリで、CLI ツール一式も含まれます。主なコンポーネントは以下です。
| ツール | 役割 |
|---|---|
pdfinfo |
PDF のメタ情報取得 |
pdftotext |
PDF → テキスト |
pdfimages |
PDF から画像抽出 |
pdfseparate / pdfunite |
分割/結合 |
pdftoppm |
PDF → 画像(PNG/JPEG) |
インストール
sudo apt-get install poppler-utils
代表的な使い方
PDF情報の確認
pdfinfo book.pdf
テキスト抽出
pdftotext -layout book.pdf book.txt
(-layout はレイアウトを維持)
画像抽出
pdfimages -all book.pdf img_
-all はすべての画像フォーマットを抽出
PDFをPNGに変換
pdftoppm book.pdf page -png
(page-001.png, page-002.png … が生成)
使い勝手のコツ
pdftotextの-enc UTF-8オプションで文字化けを防止pdfimagesは PNG 変換時に高圧縮になるので-jpegオプションを使うとファイルサイズが減るpdfuniteで複数PDFを一括結合し、pdftotextで一括テキスト化
4. ExifTool – PDF のメタデータを自在に扱う
PDF には作成日、作者、キーワード、カスタムタグなど多様なメタ情報が埋め込まれます。ExifTool はその編集・抽出を一括で行う万能ツールです。
インストール
sudo apt-get install libimage-exiftool-perl
主要な機能
メタ情報の表示
exiftool book.pdf
カスタムタグの追加
exiftool -Author="John Doe" -Subject="Sample PDF" book.pdf
メタデータの削除
exiftool -all= -overwrite_original book.pdf
バッチでメタデータをコピー
exiftool -tagsfromfile src.pdf -Author -Subject -overwrite_original *.pdf
シェルスクリプトへ組み込む場合
#!/bin/bash
for file in *.pdf; do
exiftool -Author="Company XYZ" -overwrite_original "$file"
done
これにより、フォルダ内のすべての PDF に同じ作者情報を追加できます。
便利ポイント
- ファイルをオーバーライドせずにバックアップ作成がデフォルトで
*.origが生成されます。 -d "%Y-%m-%d"オプションで日付形式を統一可能。- 他に
MetadataDateを固定すると、検索に有効。
5. Master PDF Editor(GUI) – 高度な編集を簡単に
コマンドラインツールは強力ですが、GUI が必要なケースもあります。特に「注釈付け」「ページのドラッグ&ドロップ」「OCR」など直感的操作が求められる場面では、Master PDF Editor が有効です。
インストール
sudo apt-get install master-pdf-editor
(公式リポジトリから入手する場合もあり)
主要機能
- ページ編集:入れ替え、削除、挿入、回転が直感的に。
- 注釈:ハイライト、テキスト追加、図形挿入が簡単。
- OCR:内蔵 OCR エンジンによりスキャンした PDF も検索可能に。
- フォーム作成:PDF フォームを作成・編集可能。
- パスワード設定:GUI で簡易設定。
使い分けコツ
- 大量ファイル処理はコマンドライン。
- 1〜5件程度のファイルを細かく編集したいときは GUI を使用。
- Master PDF Editor の
Print機能を使えば、PDF を別のフォーマットに変換することも可能。
よくある疑問とその解決策
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| PDFを大量に結合したい時、最速は何? | pdftk の cat コマンドか、pdfunite。両者ともに 1GB 以上の PDF を数秒で処理できます。ただし、concat 方式の qpdf も高速。 |
| PDFを一括でパスワード解除したい。 | pdftk input.pdf input_pw <password> output out.pdf とバッシュループで。 |
| PDF からテキストだけを抜くと文字化けする。 | pdftotext -enc UTF-8 book.pdf を使うか、-layout の併用でレイアウト保持。 |
| 画像をすべて PNG で取り出したい。 | pdfimages -png book.pdf img_(PNG 形式で出力)。 |
| メタデータを標準化したい。 | ExifTool で一括取得/上書き、またファイル名から抽出して自動入力。 |
まとめ
Linux で PDF を高速に編集・管理したい場合、ツールを「コマンドライン」と「GUI」に分けて選ぶと効率が格段に上がります。
- qpdf は汎用的な編集の基盤。
- pdftk はスクリプト化が非常に容易。
- Poppler‑Utils はテキストや画像の抽出に最適。
- ExifTool でメタデータ一括管理。
- Master PDF Editor は GUI で少量の細かな編集に適応。
それぞれのツールを組み合わせることで、例えば「PDFを分割し、テキストと画像を取り出し、メタデータを正規化し、最終的に結合して PDF/A 形式に変換」まで、全工程をスクリプト化できます。
まずは一つずつコマンドを試してみて、プロジェクトに合わせたワークフローを構築しましょう。Happy PDF editing!


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