PDFを別々に分割する方法
(1つのPDFを複数ファイルに簡単に変換する手順)
はじめに
最近はビジネスや学術・趣味などで、1台のPDFファイルを複数に切り分けるケースが増えています。
例としては、
- 大会の提出物を個別に送るために受講者ごとに分割したい
- 企業のマニュアルの章ごとに別添えにしたい
- 複数の講義資料を講義ごとにまとめたい
などがあります。
そんな時に「PDFをどうやって簡単に切り分ければいいの?」と迷うことがよくあります。
ここでは、GUIツールを使う方法、コマンドラインで一括処理する方法、さらに自動化スクリプトまで網羅して、誰にでもわかる解説文献を提供します。
「PDFを分割したい」「ページ単位でスプリットしたい」など、検索者が抱える疑問に答える構成になっています。
1. GUIツールで手軽に分割する方法
1-1 Adobe Acrobat DC(有料・無料版共通)
-
PDFを開く
Acrobatを起動し、対象のPDFをドラッグ&ドロップで開きます。 -
サイドメニューから「ページを整理」
右側のパネルに「ページを整理」オプションがあるのでクリック。 -
「分割」ボタンを選択
上部に「分割」ボタンが表示されるので押します。 -
分割条件を設定
- ページごとに(例:10ページごと)
- ファイルサイズごと(例:10 MBごと)
- ブックマークごと
などから選択。
-
出力先を指定
名前と保存場所を決めて「保存」します。
Acrobatの場合は高い精度とカスタマイズが可能ですが、ライセンスが必要です。
1-2 Microsoft Edge(ブラウザ内で無料)
-
EdgeでPDFを開く
ファイルをEdgeにドラッグ、もしくは右クリックメニューから「Edge で開く」を選択。 -
印刷アイコンをクリック
画面右上の「…」→「印刷」を選択。 -
「プリンター」から「Microsoft Print to PDF」を選択
さらに「ページ」欄に「分割したいページ」を数値で入力。 -
「印刷」→「PDFとして保存」
こうすることで、選択したページだけが別ファイルとして保存できる。
EdgeはWindows 10/11標準に付属しており、軽量に済ませたい場合に便利です。
1-3 Preview(Mac OS標準アプリ)
-
PDFをPreviewで開く
クリックで表示。 -
サイドバーからサムネイルを表示
左側のサイドバーで「サムネイル」を選択。 -
分割したいページをドラッグ
サムネイルをドラッグ&ドロップで別ウィンドウへ。 -
別ファイルとして保存
「ファイル」→「名前を付けて保存」を選択。
注:Preview自体には「ページ数で自動分割」機能はないため、手動で選択・保存が必要です。
1-4 Foxit Reader(Free & Pro)
- PDFを開く
- 「ページ」タブ → 「ページを抽出」
- 「ページ範囲」を指定
- 「抽出して別ファイルに保存」
Foxit Readerは無料版でも分割機能が備わっており、軽量かつ高速です。
1-5 オンラインサービス(Smallpdf、ILovePDFなど)
| サービス | 特徴 | 無料制限 |
|---|---|---|
| Smallpdf | 直感的インターフェース、クラウド上で作業 | 1日10回まで |
| ILovePDF | 分割・結合・圧縮まで幅広い | 5回/月まで |
| PDF2Go | 章単位で分割できるレイアウト保持 | 5回/月まで |
手軽ですが、機密情報は外部に送らないよう注意してください。
2. コマンドラインでの分割 (一括・自動化に最適)
2-1 PDFtk(pdftk)
# ページごとに分割(1ページずつ)
pdftk input.pdf burst
# 1〜10ページを新ファイルにまとめる
pdftk input.pdf cat 1-10 output part01.pdf
# それぞれ分割したファイルを数値付きで保存
pdftk input.pdf burst output out%02d.pdf
PDFtkはWindows, macOS, Linux で利用可能。シンプルな構文で高速に動作します。
2-2 QPDF
# 1〜10ページを新ファイルに抽出
qpdf input.pdf --pages . 1-10 -- output part01.pdf
# 10ページごとに分割
qpdf input.pdf --split-pages 10
QPDFはより低レイヤーでの操作が好きな人向け。
Windows版はオフラインで動作するので、機密ファイルに適しています。
2-3 Ghostscript(gs)
gs -sOutputFile=./out-%d.pdf -sDEVICE=pdfwrite -dNOPAUSE -dBATCH -dFirstPage=1 -dLastPage=10 input.pdf
Ghostscriptは画像化・圧縮が得意で、分割の際に画質保持を確認したい場合強力です。
2-4 Python + PyPDF2 / PyMuPDF
from PyPDF2 import PdfReader, PdfWriter
reader = PdfReader("input.pdf")
for i, page in enumerate(reader.pages):
writer = PdfWriter()
writer.add_page(page)
with open(f"page_{i+1}.pdf", "wb") as f:
writer.write(f)
Pythonなら自動化が容易で、条件分岐(章タイトルから抽出)に柔軟に対応できます。
3. 大量分割・自動化スクリプト例
3-1 Bash スクリプト(Linux/macOS)
#!/usr/bin/env bash
# 変数宣言
INPUT="input.pdf"
OUTPUT_PREFIX="chapter-"
PAGE_COUNT=$(qpdf --show-npages "$INPUT")
# 1ページずつ分割
for i in $(seq 1 $PAGE_COUNT); do
qpdf "$INPUT" --pages . $i -- "${OUTPUT_PREFIX}${i}.pdf"
done
seq 1 $PAGE_COUNTでページ数取得--pages . $iでページ単位抽出
実行権限は chmod +x split.sh で付与し、./split.sh で実行。
3-2 Python スクリプト(クロスプラットフォーム)
import os
import sys
from pathlib import Path
from pypdf import PdfReader, PdfWriter # PyPDF4 も可
def split_by_pages(src, dest_dir, chunk=10):
reader = PdfReader(src)
total_pages = len(reader.pages)
dest_dir.mkdir(parents=True, exist_ok=True)
for start in range(0, total_pages, chunk):
writer = PdfWriter()
for page in reader.pages[start:start+chunk]:
writer.add_page(page)
part_name = dest_dir / f"part_{start//chunk + 1}.pdf"
with open(part_name, "wb") as out_f:
writer.write(out_f)
print(f"Created {part_name}")
if __name__ == "__main__":
src = Path(sys.argv[1])
dest_dir = Path(sys.argv[2]) if len(sys.argv) > 2 else Path("./split_parts")
split_by_pages(src, dest_dir)
使い方
python split_pdf.py input.pdf output_parts
簡易的に10ページずつ分割して output_parts/part_*.pdf として保存。
条件を変えれば、章タイトルに基づいて抽出するロジックを組み込むことも可能です。
4. 分割後のフォーマットと品質チェック
分割処理後に以下を確認すると安心です。
| 項目 | 内容 | ツール |
|---|---|---|
| ページ枚数 | 目的の枚数と一致 | pdfinfo (pdftools), qpdf --show-npages |
| 文字認識 | OCR 必要か | Adobe Acrobat, ABBYY FineReader |
| 画像解像度 | 高解像度が必要か | Ghostscript -dJPEGQ=95 |
| ファイルサイズ | 大きすぎないか | df -h、ls -lh |
5. よくあるトラブルと対策
| 事象 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| フォントが欠ける | PDF 内のフォント埋め込み失敗 | qpdf --replace-input で埋め込み直す |
| 画像がぼやける | Ghostscript で品質低下 | -dJPEGQ=100 を追加 |
| 分割後に順序が入れ替わる | スクリプトのインデックスミス | qpdf --pages . $i+1 を確認 |
| ファイルが破損 | 大量同時書き込み | タスクを分散して実行 |
6. まとめ:あなたに合った分割方法を選ぶコツ
| 目的 | ユーザー | 推奨ツール |
|---|---|---|
| 短時間でいくつかのページを手動で切りたい | 初心者・一人作業 | Adobe Acrobat / Edge / Preview |
| 1000ページを10ページずつ均等に分割したい | エンジニア・研究者 | PDFtk / qpdf |
| 章タイトル自動抽出・スクリプトで大量分割 | ソフトウェア開発者 | Python + PyPDF2 / PyMuPDF |
| ほぼリアルタイムでクラウド上で処理したい | コラボレーション | Smallpdf / ILovePDF |
ポイント
- 機密性:オフラインツール (PDFtk, qpdf, Ghostscript) を選ぶ。
- 自動化:Pythonスクリプトを組むと1度設定すれば何度でも再利用可能。
- 品質:Ghostscript で DPI を指定できるので、高画質が必要な資料向き。
7. さらに知っておきたい:PDFの結合・再結合
分割した後に再度別途結合する必要がある場合も。
- PDFtk:
pdftk part*.pdf cat output merged.pdf - qpdf:
qpdf --empty --pages part1.pdf part2.pdf -- merged.pdf - Python:
PdfWriter()で多ファイルを追加して書き込み
8. 参考リンク
- PDFtk: https://www.pdflabs.com/tools/pdftk-server/
- qpdf: https://github.com/qpdf/qpdf
- Smallpdf: https://smallpdf.com
- ILovePDF: https://www.ilovepdf.com
- PyMuPDF (fitz): https://github.com/pymupdf/PyMuPDF
- Ghostscript: https://www.ghostscript.com
9. 終わりに
「複数ファイルに分割したい!」という要望は、実は多くが標準機能や無料ツールで十分に解決できます。
GUIなら初心者でも簡単、コマンドラインなら大量作業も自動化できます。
まずは自分の目的(機密性、作業量、精度)と環境を照らし合わせて、最適な手段を選択してください。
ご不明点があれば、コメントやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。 Happy splitting!


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