ダウンロードした PDF が自動的に開くと、思わぬダウンロード再開やセキュリティリスクにさらされる恐れがあります。
また、ブラウザが新しいタブを開いてしまうと、画面が乱れるだけでなく、閲覧速度が低下したり、個人情報が漏れる可能性もあります。
今回は「PDF をダウンロードだけで勝手に開く問題」を解消するための実践的な 4 ステップを紹介します。
各ステップは主要ブラウザ(Chrome、Edge、Firefox、Safari)での設定を中心に説明します。
1. ブラウザのダウンロード設定を確認・変更する
多くのブラウザは、デフォルトで「ダウンロードしたファイルを自動で開く」設定を有効にしているケースがあります。
以下では各ブラウザでの設定方法を示します。
| ブラウザ | 設定手順 | 備考 |
|---|---|---|
| Chrome | 設定 > プライバシーとセキュリティ > ダウンロード で「ダウンロード後に自動的にファイルを開く」オプションをオフにする |
旧バージョンでは「ダウンロードの際に確認」になる |
| Edge | 設定 > プライバシー、検索、サービス > クリア閲覧データ で「ダウンロード自動実行を許可」ボタンを解除 |
企業用ポリシーでロックされている場合は管理者に問い合わせ |
| Firefox | オプション > 一般 > ファイルとアプリケーション で「ダウンロードを常に確認する」にチェックを入れる |
「PDF をデフォルトで開く」アイコンをクリックして「ファイルとして保存」に変更 |
| Safari | Safari > 環境設定 > 一般 で「ダウンロードされたファイルを自動的に開く」チェックを外す |
macOS 最新版でのみ表示 |
ポイント
・複数タブで同時に PDF をダウンロードする際、設定が一時的に上書きされる場合があります。
・企業環境では、ブラウザの設定がグループポリシーにより一括で管理されている可能性があるため、IT 管理者に相談してください。
2. 拡張機能やプラグインで自動起動をブロックする
ブラウザの標準設定だけでは不十分な場合、サードパーティ製の拡張機能を導入してダウンロード後の自動起動を防止できます。
以下に代表的な拡張機能と設定例を紹介します。
2‑1. Chrome/Edge で「NoScript」や「uMatrix」を使う
- NoScript
スクリプトや自動起動を完全に無効化。PDF の自動表示もオフにできる。chrome://extensions/から NoScript をインストール。- 「ダウンロード」ページで「自動起動」をブロック設定。
- uMatrix
高度なフィルタリング機能を備えている。- 適切に制御すれば、PDF 自動表示を完全に停止可能。
注意
NoScript は JavaScript のブロックが強力なので、サイト側の機能が使えなくなる場合があります。必要に応じて許可リストを最適化してください。
2‑2. Firefox で「Disable JavaScript」で防御
- Firefox の
about:configでdom.allow_scripts_to_close_windowsとdom.allow_scripts_to_open_windowsをfalseに設定。 - これにより、JavaScript で作成された自動ウィンドウを完全にブロック。
備考
about:configは慎重に操作してください。誤った変更はブラウザ固有の機能に影響します。
3. OS レベルで PDF ビューワーの自動起動設定を無効化
多くのオペレーティングシステム(Windows、macOS、Linux)では、ファイル拡張子とアプリの連携が自動起動する設定になっています。
ここでは、オペレーティングシステム側で PDF を「開く」ではなく「保存」や「プレビュー」だけに制限する方法を解説します。
3‑1. Windows 10/11
設定 > アプリ > デフォルトアプリ- 「PDF を開くアプリを選択」ボタンで、既定の PDF ビューワー(例:Adobe Acrobat Reader)を選択。
設定 > システム > デバイスで「ドライブの自動実行」オプションをオフにする。
補足
Windows の場合、USB ストレージから直接ファイルが開くことはないため、主にブラウザでのダウンロード後に起動されるケースを防ぎます。
3‑2. macOS
- Finder で任意の PDF ファイルを右クリック → 「情報を見る」。
- 「このアプリケーションで開く」を「標準のアプリ」 → 「プレビュー」に設定。
- 「すべてを変更」をクリックして全 PDF ファイルに適用。
注意
既定のアプリを「プレビュー」に設定すると、PDF をダブルクリックしても自動で外部ビューアが起動しなくなります。
3‑3. Linux(Ubuntu 20.04 等)
- ファイルマネージャー(Nautilus)で任意の PDF を右クリック → 「デフォルトのアプリで開く」 →「アプリケーションを選択」
- 「標準プログラム」から
evinceなどに変更。 - システム設定 > デフォルトアプリから全てのファイルタイプを確認。
ポイント
Linux 系では、ブラウザ自体が Linux コンテナ内で開く場合もあるので、オープンされるプログラムを必ず確認してください。
4. スクリプトや自動化ツールでプロセスを監視・停止する
自動起動を完全に防げない環境や、特定の業務で PDF を開く処理が必須である場合は、ダウンロード後に自動で起動するプロセスを検知・停止する方法があります。
4‑1. タスクスケジューラで「pdf」のプロセスを監視
- Windows の
タスク スケジューラで「プロセスが開始されたとき」トリガーにAcroRd32.exeを設定し、アクションで「タスクを停止」や「プロセスを終了」させる。
備考
これにより、Adobe Acrobat Reader からの自動起動をブロックできます。
ただし、アプリの正常な機能にも影響する可能性があるため、必ず社内で承認を取得してください。
4‑2. Bash スクリプトで監視・終了
#!/usr/bin/env bash
watch -n 1 'ps aux | grep -i "evince\|sumatraPDF" | grep -v grep' | while read -r line; do
pid=$(echo "$line" | awk '{print $2}')
kill -9 "$pid"
echo "PDF reader $pid terminated."
done
使い方
sudo chmod +x monitor_pdf.sh→sudo ./monitor_pdf.sh
このスクリプトは 1 秒ごとに PDF ビューワーのプロセスを確認し、見つかった場合に即座に終了します。
まとめ
- ブラウザの設定:ダウンロード後に自動起動するオプションをオフにする。
- 拡張機能:NoScript や uMatrix、Firefox の
about:configで詳細設定。 - OS のデフォルト設定:PDF ビューワーの自動起動を無効化。
- 自動化・監視:タスクスケジューラやスクリプトでプロセスを監視して停止。
これらを組み合わせることで、ダウンロードした PDF が勝手に開く現象を確実に防げます。
もし「自動で開く」設定が業務に必要な場合は、セキュリティチームに相談し、適切な例外ルールを設定するとよいでしょう。
安全かつ快適な閲覧環境を保ち、不要な自動起動で起こるトラブルを回避してください。


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