PDFをワードで編集する前に知っておくこと
PDF(Portable Document Format)は、閲覧するだけでなく、内容を編集できるようにもなっていますが、実際には「変換」する必要があります。なぜなら、PDFは基本的に「印刷用」に最適化された固定レイアウトで、テキストや画像が「ページに貼り付けられた」状態になっているからです。
Wordは「可変レイアウト」の文書エディタなので、PDFからWordへの変換はレイアウトの崩れが起きやすい作業です。
本記事では、初心者でも間違いなく実行できる、代表的な変換方法を3つ紹介します。
- ① Microsoft Word(2013以降)が提供する「PDFからWordに変換」
- ② Adobe Acrobat DCの「PDFコンテンツを編集」
- ③ 無料のオンラインコンバーター(SmallPDF, ILovePDF, PDF2DOCなど)
それぞれの手順はほぼ同じですが、解像度、フォント、レイアウトの保持度合いに差があります。自分の目的に合った方法を選択しましょう。
Microsoft WordでPDFを開く・変換する
ステップ 1:Wordを起動する
- Office 2013以降をインストール済みであることを確認します。
- 「Word」を起動し、空白文書を開きます。
ポイント
Word 2016以降では、PDFは直接開くことができるので、別途「変換」ボタンは必要ありません。
ただし、Word 2013でも「開く」→「ファイルを選択」→「PDF」から開けます。
ステップ 2:PDFファイルを選択
- 「ファイル」>「開く」>「参照」へ移動。
- 「ファイルの種類」を「PDF ファイル」に設定。
- 変換したいPDFを選び、「開く」をクリック。
WordはPDFを自動で内部表現に変換します。変換される際にレイアウトが崩れる場合は、以下の「変換の設定」を調整します。
ステップ 3:変換設定の調整(Word 2016以降)
- 「ファイル」>「オプション」>「表示」へ進む。
- 「PDFファイルを編集する際に」→「既存のPDFのレイアウトを最適化」などのチェックを確認。
- 設定を保存し、再度PDFを開く。
注意
文字が連結したり、改行が不自然に入ることがあります。これはPDF自体のレイアウトが「テキスト段落」ではなく「テキストブロック」であるためです。
このままで構わない場合も多いですが、編集がスムーズに行いたい場合はAdobe Acrobatやオンラインツールを併用するのがベストです。
ステップ 4:Wordで編集を開始
- 変換された文書は通常、画像として保存されるテキストブロックは選択不可です。
- 文字を正しく修正するには、ページレイアウトを整え、必要に応じて「図」→「図の挿入」や「テキストボックス」を追加します。
- 変更が終わったら、「ファイル」>「名前を付けて保存」でWord形式(.docx)またはPDFとして再出力します。
Adobe Acrobat DCでPDFを編集
Adobe AcrobatはPDFをネイティブに編集できる最も強力なソフトウェアです。以下の手順は「Pro」バージョンを前提としています。
ステップ 1:PDFを開く
- Acrobat DCを起動し、メニューから「ファイル」>「開く」を選択。
- 編集したいPDFを選びます。
AcrobatはPDFを内部データに変換して表示します。この際、レイアウトがほぼそのまま保たれます。
ステップ 2:編集ツールを呼び出す
- 「ツール」タブをクリック。
- 「PDFを編集」を選択すると、右側に編集オプションが表示されます。
この時点でテキスト、画像、リンク、注釈などを個別に編集できます。
ステップ 3:テキストを編集
- 編集したいテキストエリアをクリック。
- 文字を修正、フォント、サイズ、色を変更。
- 段落の整形(インデントや行間)もここから可能です。
ヒント
文字がグリッドに沿って配置されているときは、Ctrl+CでコピーしてWordに貼り付けると、可変レイアウトの文書として再編集しやすくなります。
ステップ 4:画像や図形を編集
- 画像をクリックし、右クリック→「画像の交換」や「編集」を選択。
- 画像のサイズ変更はドラッグで行えます。
- 不要な図形は選択してDeleteキーで削除。
ステップ 5:編集結果を保存
- 「ファイル」>「別名で保存」または「名前を付けて保存」を選択。
- 「PDF」または「Word」形式で保存します。
- Wordで保存した場合、
ファイル>名前を付けて保存>Word 文書 (*.docx)を選ぶと、Adobeが内部的に変換したWordファイルが生成されます。
Adobe Acrobatは“PDFとして保存”はもちろん、”Microsoft Wordとして保存”というオプションがあります。
ただし、Wordへの変換は“Word 365, 2019, 2016 互換モード”に限られる点に注意してください。
無料オンラインコンバーター(SmallPDF、ILovePDF、PDF2DOC)
事前準備
- セキュリティ:個人情報や機密文書をアップロードする場合は、サービスのプライバシーポリシーを確認。
- ファイルサイズ:ほとんどの無料サービスはファイルサイズ制限(5〜10 MB)があります。大きいファイルは「有料版」を検討。
ステップ 1:サイトにアクセス
- SmallPDF(smallpdf.com)、ILovePDF(ilovepdf.com)、PDF2DOC(pdf2doc.com)など。
- それぞれ「PDF to Word」あるいは「PDFをWordに変換」のボタンをクリック。
ステップ 2:PDFファイルをアップロード
- 「ファイルを選択」または「ドラッグ&ドロップ」
- パソコンから対象ファイルを選び、アップロード。
ステップ 3:変換待ち
- サーバー側でPDFを解析し、Word形式に変換。
- 完了メッセージが表示されるまで数十秒待ち(ファイルサイズや接続速度に依存)。
ステップ 4:Wordファイルをダウンロード
- 「ダウンロード」ボタンをクリックし、.docxファイルをパソコンへ保存。
- 保存後、Wordで開き、必要に応じて編集。
注意
無料サービスは“OCR(Optical Character Recognition)”機能がない場合があります。
つまり、スキャンした画像として格納されているPDFは変換できません。
このような場合は、Adobe Acrobat DCやMicrosoft Wordの“PDFを開く”機能を利用したほうが確実です。
PDFからWordへ変換する際に失敗しやすいポイントと対策
| 観点 | よくある失敗 | 対策 |
|---|---|---|
| 画像化されたPDF | 文字が編集できない | OCR機能付きのサービス(Adobe Acrobat, SmallPDF Pro, ABBYY FineReader)を使う |
| レイアウト崩れ | 文字の位置が狂う、段落がずれる | 「PDFを開く」→「レイアウトを最適化」オプションを有効に、変換後に手動で整形 |
| フォントの欠落 | PDFに埋め込まれていないフォントが読み込めない | 「フォントの埋め込み」オプションを確認、あるいは事前に同等フォントをWordにインストール |
| リンクや注釈の消失 | クリックできるハイパーリンクがなくなる | 変換ツールの“リンクを保持”設定、または元のPDFを編集してから再保存 |
| 行間・改紙 | 文章が詰まりすぎて読みにくい | 変換後にページレイアウト → 行間設定で調整 |
| 大量データ(複数ページ) | 変換に時間がかかり、途中でセッションが切れる | 1ページずつ変換するか、PDFを分割して処理 |
まとめ:初心者でも簡単にできる「PDF → Word」手順
-
Word 2016以降
- 「ファイル」→「開く」→PDFを選択→変換完了。
- 変換後にレイアウトを調整し、Wordで編集。
-
Adobe Acrobat DC
- 直接PDFを編集し、必要に応じて「Wordとして保存」。
-
オンラインコンバーター(SmallPDF, ILovePDF, PDF2DOC)
- ファイルをアップロード→変換→ダウンロード→Wordで検証。
-
失敗を防ぐポイント
- OCRが必要な画像化PDFは専用ソフトを使用。
- フォント埋め込みの確認。
- 変換後は必ず「レイアウト」「フォント」「リンク」をチェック。
最後に
PDFをWordに変換する目的は「編集」か「データ移行」です。
編集が主目的なら、Adobe AcrobatまたはWord 2016以降の機能が最も信頼性があります。
データ移行だけであれば、オンラインサービスも十分に利便性があります。
どの方法を選んでも、基本的には「開く」→「変換」→「編集」→「保存」のフローを守れば、安心して作業が進められます。
ぜひ、上記の手順を試し、ドキュメント作成の幅を広げてください。


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