はじめに
設計図やイラスト、手書きの図面をデジタル化した PDF を測定する際、昔はマウスと目で寸法を取る作業が主流でした。
マウスのカーソル位置を正確に合わせるのに時間がかかったり、測定値をコピー&ペーストして数式に落とし込む作業に手間が多かったため、作業効率が大幅に低下していました。
そんな煩わしさを解消するのが PDF Ruler(PDFルーラー)です。
このツールは PDF 上に線分や矢印を描き、直径・面積・角度などを瞬時に算出できます。今回のガイドでは、初心者の方でもスムーズに使い始められるよう、PDF Ruler の入門から高度な使い方までをステップバイステップで解説します。
PDF Ruler とは?
- 概要
PDF ファイル上で無料・簡単に測定ができるブラウザ拡張機能(※Chrome, Edge 用) - 主な機能
- 直線・角度測定
- 面積・円の半径・直径計測
- 座標表示 (x, y)
- 単位選択(mm, cm, in, px, pt)
- 測定結果のコピーまたはエクスポート
- メリット
- 即座に測定 → 何度もスクロールしたくない作業を瞬時に完了
- 精度と再現性の確保 → 同一図面で何度でも同じ測定値を得られる
- 作業時間の削減 → 1 分で数個の寸法を取得し、Excel 等に貼り付け
PDF Ruler の入手とインストール
- Chrome ウェブストア(または Microsoft Edge Add-ons)
- ブラウザで検索バーに
PDF Rulerと入力 - 「PDF Ruler (Ruler for PDF)」を選択
- 「Chrome に追加」または「Edge に追加」
- ブラウザで検索バーに
- 拡張機能の有効化
- インストール後、ブラウザ右上のアイコンが表示されます。
- まだ無効化になっている場合は、設定 > 拡張機能 で ON に切り替え
- 最短で使えるまで設定
- 「オプション」ボタンをクリック
- デフォルト単位は
mmですが、必要に応じてpxなどへ変更
注意
PDF Ruler は PDF ファイルを開いた状態のブラウザタブに対して機能します。
ファイルを PDF ビューアアプリ(Adobe Acrobat 等)で開いているだけでは使用できません。
PDF Ruler の基本操作
① 測定モードの選択
- 画面上部のツールバーから「直線」「角度」「円」「矩形」を選択します。
- 直線を描くと、始点と終点が表示され、距離が自動で計算されます。
② 線の描画
- クリックで始点 → ドラッグして終点 → クリックで確定
- 線の上にカーソルを合わせると、距離がツールチップに表示されます。
③ 面積・円の計測
- 矩形 を描くと、面積と長辺・短辺の長さが表示。
- 円 を描くと、半径、直径、円周、面積が自動計算。
④ 角度の測定
- 角度を測るには 2 本の線(または 1 本の線と 1 本の水平線)を描き、交点で角度が表示されます。
⑤ 測定値のコピー
- 線上にカーソルを合わせるとアクションメニューが表示。
- 「コピー (mm)」「コピー (px)」を選択するとクリップボードに数値がコピーされます。
- さらに「CSV 形式でコピー」とすれば、複数ラインの測定値を CSV で取得可能です。
初心者向け設定コツ
| 目的 | 設定方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 単位をわかりやすく | 「オプション」→「単位」→任意に設定 | PDF の元単位に合わせて設定すると目視で比較しやすい |
| スタートラインの色 | オプションで色を変える | 視認性を向上、背景色が濃い PDF との対比を明確に |
| 測定値表示のフォント | オプションでフォントサイズ調整 | 読みやすくするために大きめに設定をおすすめ |
| 座標表示 on/off | ツールバー→「座標表示」切り替え | 位置情報を把握したい場合に有効 |
効率的な測定フロー
- PDF を最大化
- 全体が一目で見える状態で測定を開始すると、繰り返しがスムーズ。
- グリッドやガイドラインの利用
- ブラウザの「表示」メニューから「ズーム」で10% ぐらいに拡大し、「オプション」 で「網目線」を有効化。
- 測定項目をキーボードでスイッチ
L→ 直線、R→ 矩形、C→ 円、A→ 角度、Escでキャンセル。
- 測定値を一括コピー
- 複数測定後、ツールバー → 「測定結果まとめ」→CSV をコピーし、Excel へ一括貼り付け。
- 測定結果を保存
- 「結果をファイルに保存」→CSVまたはJSONで保存し、後から開いて確認。
高度な機能と応用例
| 機能 | 値の使用例 |
|---|---|
| 測定値のスケール補正 | 例えば図面の 1:10 の拡大率を自動で補正し、実寸に直す。 |
| テンプレート保存 | 既存の測定パターン(例:机の角の寸法)を「テンプレート」として保存し、同じ紙質・スキャン設定で再利用。 |
| API 連携 | 開発者向けに、測定データを JSON でエクスポートし、JavaScript で他のツールへ送る(例えば、図面管理システムへ自動入力)。 |
| 自動座標表示 | 複数図形を一度に測定した際に、自動で座標情報も一括取得(特に CAD からエクスポートした PDF の検証に便利)。 |
失敗を防ぐためのトラブルシューティング
| 問題 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 測定値が 0 になる | マウスのクリック位置が図面の範囲外である | 縮小を確認し、図面内をクリックする |
| 単位がずれる | PDF 自体が別単位でスキャンされている | 「オプション」で単位を調整、または PDF を再スキャン時に単位を統一 |
| 拡大率に合わせてラインが伸びない | ブラウザのズーム設定が 100% でない | 100% にリセット、または「自動ズーム」オプションを有効化 |
| ツールバーが表示されない | 拡張機能が無効化 | 「拡張機能」メニューで有効化するか、ブラウザを再起動 |
| 測定値が正しくコピーできない | クリップボードの権限が無効 | ブラウザの設定で拡張機能にクリップボードアクセスを許可 |
PDF Ruler でできないこと・代替ツールの紹介
- 画像ベースの測定(JPEG/PNG)は直接できません。
- 代替: Pixlr や Photopea 等で測定ツールを使う、または画像を PDF へ変換。
- 3D 図面 の測定は不可能。
- 代替: SketchUp, Fusion 360 などで 3D 測定。
- 自動レイアウト検証(例えば図形間距離の自動計算)は限定的。
- 代替: AutoCAD の測定機能、または LibreCAD(無料)を使用。
まとめ
PDF Ruler を使えば、PDF 上の寸法測定が瞬時に行えるため、設計図や印刷資料のレビュー、製品検査、在庫管理など多岐に渡る業務で時間と労力を大幅に削減できます。
初心者の方は「直線」ツールで距離を測ってみる、次に「円」ツールで直径を確認する、とシンプルに始めるのがコツです。
さらに慣れてきたら、複数測定を一括でコピーしたり、テンプレート機能で作業を自動化したりすることで、毎日使う作業をよりスムーズに!


コメント