始めに、なぜPDFの余白を「ゼロ」にしたいのかを整理します。
- 視覚的インパクト:写真やチラシ、ポスターのようにページ全体をデザイン要素で占めることで、印象的な作品に仕上げたい。
- 情報量の最大化:文字数を増やしたい、図表を大きくしたいという場合、余白を削り残り領域を有効活用します。
- 特定のプロジェクト:教材、プレゼン資料、カード、名刺など、印刷物ごとに異なる余白要件があるため、設定を合わせる必要があります。
このブログでは、PDFに余白を無くし、デザインや印刷をより広い領域に渡すための具体的なテクニックを、ツール別に解説します。
## PDF余白をゼロにするには何が必要?
- 「余白を削る」設定 を持つPDF作成・編集アプリが必要
- 印刷時に「ボーダーレスタイプ」(隣接印刷)をサポートしているプリンター
- PDF自体が適切なページサイズに変更されているか(例えばA4→カスタム寸法)
- 不要なトリミングマーク・セレクションズを外す
## 1. Adobe Acrobat Pro DC での手順
1‑1. PDFのページサイズを変更(トリミング)
- Acrobatを起動し、対象ファイルを開く。
ツール>印刷用設定>ペ―ジ設定・トリミング- 右側のペインで
設定のカスタマイズを押し、余白を 0 mm に入力。 適用・OKで保存。
ポイント:Acrobatは「トリミング」を実際にドキュメントの実際のサイズに変更し、ファイル自身の余白を削減します。
1‑2. 「印刷用設定」でのボーダーレス印刷
- PDFを開き
ファイル>印刷。 - プリンターを選択後、
プリンタプロパティで 「ボーダーレス」 または 「フルページ」 を選択。 - 「ページ設定」 で紙サイズと倍率を確認。
注意:プリンターがボーダーレス印刷をサポートしていない場合、実際にはわずかな境界線が残ります。
## 2. LaTeX で余白ゼロのPDFを作る
LaTeXは数学・科学文書でよく使われますが、以下のようにカスタムページマージンを設定できます。
\documentclass{article}
\usepackage[paperwidth=210mm,paperheight=297mm,margin=0mm]{geometry}
\begin{document}
ここにコンテンツを書きます。
\begin{figure}[ht]
\centering \includegraphics[width=\paperwidth]{image.png}
\end{figure}
\end{document}
補足
paperwidthとpaperheightは印刷したい紙サイズに合わせて調整margin=0mmで全辺の余白を0にgeometryがドキュメント全体のレイアウトを制御- PDFを生成する際に
-quietオプションを付けるとコンパイル出力が抑えられます
ポイント:ボーダーレス印刷を行うプリンタと組み合わせることで、紙の端まで印刷します。
## 3. Microsoft Word での作業
- Word を開き、**「レイアウト」**タブに移動。
- 「余白」をクリックし、「ユーザー設定余白」 を選択。
- 「上・下・左・右」を 0 in に変更し、OK。
- ドキュメントを PDF にエクスポート:
ファイル>エクスポート>PDF/XPSの作成 - PDFを開き、Acrobat などで再度トリミングを確認。
ヒント:Wordでは実際に印刷可能な領域が 0 in でも、プリンタの物理限制により数ミリの余白が残ることがあります。
## 4. 無料PDFエディタを活用(PDF-XChange Editor、Foxit)
PDF-XChange Editor でのカット
- PDFを開き、
表示>ページのトリミングを選択。 - 余白をゼロに設定、
OK。 ファイル>エクスポート>PDFとして保存で上書き保存。
Foxit PhantomPDF(試用版)
レイアウト>ページセットアップ>ページサイズと余白- 余白を
0に設定し、OK。
注意:無料版では一部機能が制限される場合がありますが、余白ゼロ設定は基本的に利用可能です。
## 5. ブラウザー印刷での「隣接印刷」設定
- PDFをブラウザー(Chrome、Edge)で開く。
Ctrl+Pで印刷ダイアログを開く。- ページサイズ を「無制限」に設定。
縦方向/横方向の余白を 「なし」 に変更。- 印刷設定 で「拡大/縮小」を
100%に。
ポイント:Chromeでは「ページ設定」→「余白なし」でも、印刷サイドに
0.5 cmくらい余白が入る場合があるため、プリンタ設定と併用することをおすすめします。
## 6. ボーダーレス印刷に対応したプリンターの選び方
| プリンターモデル | 推奨余白 | 付帯ソフト |
|---|---|---|
| Canon iR‑ADV 5970 | 0.0 mm | Canon Print Management |
| Epson EcoTank ET‑3760 | 0.0 mm | Epson Print Support |
| HP OfficeJet Pro 9025 | 0.0 mm | HP Smart App |
選び方:メーカーの公式サイトで「ボーダーレス印刷」を確認。多くの最近の家庭用・オフィス用プリンターは、紙サイズ全体に印刷できるよう設計されています。
## 7. PDFから余白を削除(後加工ツール使用)
7‑1. QPDF(コマンドライン)
qpdf input.pdf --pages . -- --replace-input --output-format pdf --trim all
trim allが「すべてのページで余白を除去」- 文字列検索でページマージンを動的に調整
7‑2. Ghostscript
gs -sDEVICE=pdfwrite -dDEVICEWIDTHPOINTS=595 -dDEVICEHEIGHTPOINTS=842 -dPDFFitPage -o output.pdf input.pdf
595×842はA4のポイント数- 余白が0に設定されたサイズで出力
ヒント:Ghostscript はスクリプトで自動処理を行う際に便利です。
## 8. 余白ゼロにしたPDFの印刷テスト
- サンプル印刷:A4用紙を用意し、1枚だけ印刷。
- ページを確認し、接着剤で紙をテープで貼り、余白の有無を視覚的に検証。
- 確認後に ラミネート すれば、端までしっかり密着。
もし未印刷領域が見える場合、プリンタードライバの「印刷フィット」や「スケール」に誤った設定が入っていないか、確認してください。
## 9. よくある問題とその対処法
| 問題 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 余白が残る | プリンターがボーダーレスに対応していない | 別モデルへ |
| ファイルが壊れる | PDF自体のメタデータが破損 | PDFを再生成(Adobe Acrobatの「PDFを保存」) |
| 文字が切れてしまう | 余白0 mmで印刷範囲をオーバー | テキストのフォントサイズを縮小 |
| 画像の左側に余白 | 画像のキャッシュに余白が含まれる | 画像を開きトリミングして再挿入 |
## 10. 実践例:ポストカードを作るとき
- サイズ:105 mm × 148 mm
- ファイルを A5 で作成し、
margin=0mm - 余白ゼロに設定後、PDFを保存
- 事前にプリンターの 「紙サイズを手動で設定」 で「105 mm × 148 mm」
- 印刷時に 「ボーダーレス」 をチェック
ポイント:ポストカードは紙自体が端まで印刷できるように設計されていないため、余白を0にしても紙の端で切る必要があります。
## 11. まとめ
- Adobe Acrobat Pro DC は一般ユーザー向けに最も手軽で強力。
- LaTeX は学術・技術文書での精密調整に最適。
- 無料エディタ であれば PDF‑XChange, Foxit で実装が可能。
- プリンタードライバ を適切に設定すれば、物理的余白を最小限に抑えられます。
- 印刷前に必ずテスト し、プリンタのキャップやトリミングマークを確認。
それでは、「余白をなくす」というゴールに到達するためのツールと作業フローを駆使して、クリエイティブに満ちたドキュメントを作成してみてください。


コメント