導入
PDF は文書管理の定番フォーマットです。レポート、契約書、設計図、レシピ集――用途はさまざまで、内容の抽出は日常業務で頻繁に発生します。しかし、PDF は「固定レイアウト」の形式であるため、簡単にコピー&ペーストできないケースが多いです。そこで、今回ご紹介するのは「初心者でも簡単に、しかも無料で PDF の内容を抽出できるツールと、その具体的な使い方」をまとめたステップバイステップガイドです。
PDF抽出とは?――データの持ち出し方を考える
PDF は「Portable Document Format」の略で、どのデバイスやOSでも同じ見た目を保つことができるフォーマットです。文字・画像・レイアウトを一体化して保存するため、ファイルが重くなることもあります。
PDF 抽出とは、
- テキストのみを取り出す
- 画像や 図を取り出す
- さらに 表データを取り出して Excel などへ転記できる
という作業全般を指します。
「抽出」することで、
- 既存資料のデータを編集可能な形に変換
- テキスト検索や翻訳の入力データに再利用
- 画像を別ファイルで再利用
など、業務の効率化が可能になります。
初心者におすすめの無料ツール5選
ツールは多種多様ですが、初心者が安心して使える無料ツールを厳選しました。いずれもインストール不要のオンラインサービスも含めています。
| ツール | 主な特徴 | ① インストール | ② 目的 | ③ オンライン可否 |
|---|---|---|---|---|
| PDFsam Basic | 完全無料、分割・結合・抽出機能 | ✅ | PDF 分割・ページ抽出 | 〇 |
| ILovePDF | ウェブ版で操作しやすいインターフェース | ❌ | テキスト・画像抽出、変換 | 〇 |
| Smallpdf | OCR 付きでスキャン文書もテキスト化可能 | ❌ | OCR・画像抽出・変換 | 〇 |
| PDF-XChange Editor Free | デスクトップ、軽量 | ✅ | エディタ+抽出機能 | 〇 |
| Soda PDF Online | ブラウザ上で完結 | ❌ | PDF 解析・変換・抽出 | 〇 |
PDFsam Basic – 分割・ページ単位での抽出
PDFsam は「PDF Split and Merge」の略で、分割と結合だけでなく「Extract」モジュールでページ単位の抽出が可能です。テキストと画像を完全に残したまま新ファイルを作成できるので、既存文書を編集済みバージョンにする際に便利です。
ILovePDF – シンプルさが魅力
ILovePDF は直感的なドラッグ&ドロップで、PDF → Word、PDF → Text 変換を即座に行えます。テキスト化後に Word で自由に編集できます。画像をファイルとして抽出したい場合は「画像抽出」機能を利用。
Smallpdf – OCR 機能付き
スキャンした PDF では文字が画像として埋め込まれているケースがあります。Smallpdf は OCR (Optical Character Recognition) によって画像内文字をテキスト化します。日本語 OCR もあるので、紙の書類をデジタル化したいときにおすすめです。
PDF-XChange Editor Free – エディタ&抽出のワンストップ
PDF-XChange Editor はフリー版でも豊富な編集機能が使えます。テキスト抽出は「エクスポート」メニューから「選択したテキストをテキストファイルに」簡単。画像抽出は「画像を保存」から。デスクトップアプリなので UI が統一されている点が使い勝手抜群です。
Soda PDF Online – 完全ブラウザ版
Soda PDF はオンライン版だけでなく、デスクトップ版も無料。オンラインでは「PDF からテキストへ」や「PDF から画像へ」などの抽出が行え、ファイルをダウンロードするだけで完結。
ステップバイステップ: テキスト抽出の手順
ここでは、ILovePDF を例に、PDF からテキストを抜き出す手順を具体的に紹介します。ほかのツールでも同様のフローで実行できます。
1. オンラインサイトへアクセス
- ブラウザで
ilovepdf.com/ja/pdf-to-textにアクセス。 - ログインは不要なので、すぐに操作できます。
2. ファイルをアップロード
- 「PDF を選択」をクリックし、PC から対象 PDF を選択。
- ドラッグ&ドロップで複数ファイルを同時に追加も可能。
3. 「変換」を押す
- アップロード完了後「変換」ボタンが青くなります。
- クリックすると解析が始まります。
4. 変換完了後にダウンロード
- 解析が終わるとテキストファイルが自動的に生成されます。
- 右上の「ダウンロード」ボタンをクリックし、PC に保存。
5. テキストファイルを確認
- 取得したテキストファイルをメモ帳や VS Code で開き、必要に応じて編集。
- 変換時に「ページ区切り」や「見出し」情報がそのまま文字として残るケースがあるので、整形が必要な場合は
sedやawkなどを使えば自動化も可能です。
ポイント
- 画像内文字(スキャンドキュメント)は OCR が必要です。ILovePDF の場合は「PDF を OCR で変換」オプションを選択します。
- 大きなファイル(数百 MB)を扱うとアップロードに時間がかかるので、分割して処理するのがおすすめです。
画像と表を抜き出すテクニック
PDF から画像を取り出すだけでなく、図表を Excel へ転記したい場合は「PDF から表を抽出」機能が有効です。ここでは Smallpdf を使った手順を紹介します。
1. PDF から画像抽出
- Smallpdf のトップページから「PDF から画像へ」へ進む。
- 画像を抜き出したい PDF をアップロード。
- 画像抽出が完了したら、ZIP ファイルとしてダウンロード。
画像抽出のメリット
- ロゴ、図表、写真などのそのままの品質で取得。
- 複数ページに跨る画像も自動で抽出。
2. OCR 付きテキスト抽出
「PDF を OCR 付きで WORD / Excel へ」機能を使えば、画像上の数値表 などもテキスト化されます。
手順
- 「PDF を OCR で WORD へ」もしくは「PDF を OCR で Excel へ」へ進む。
- PDF をアップロードし、変換を実行。
- Excel が取得できれば、セル毎に編集可能。
注意
- OCR の精度は文字サイズやフォントに左右されます。日本語 OCR は英語よりも誤検出が多い場合があります。
- 大きな表の場合、セルの結合が認識されないこともあるので、抽出後に手作業で整形が必要になることがあります。
3. PDF から表データを直接取得(PDF-XChange Editor)
PDF-XChange Editor の「テーブル抽出」機能は、PDF に埋め込まれた表を直接 CSV や Excel に出力します。
手順
- PDF-XChange Editor で対象 PDF を開く。
- 「ツール」>「テーブル抽出」を選択。
- 解析結果を確認し、CSV 形式で保存。
メリット
- OCR を使わず既存の文字情報から抽出するので、誤認識が少ない。
- 表のセル分割が正確に認識されることが多い。
抽出したデータを活用するアイデア
何度も同じ種類の PDF を開いて情報を抜き取るのは手間がかかります。抽出したテキスト・画像・表を一元管理し、業務で活用する方法を紹介します。
1. データベースやノートアプリへのインポート
- Notion・Evernote などにテキストを貼り付けると、タグ付けや検索が簡単。
- 抽出した CSV ファイルは Microsoft Excel、Google Sheets に直接インポートしてスプレッドシートとして保存。
2. 自動化ワークフロー
- Power Automate(Windows)や Zapier で、PDF 受領 → 抽出 → データベース保存 というワークフローを構築。
- 例えば、契約書をメールで受信したら自動で PDF‑to‑Text で変換し、SharePoint にテキスト保存。
3. 言語学習/翻訳資材の作成
- Google 翻訳 への貼り付けや、DeepL にテキストファイルを直接アップロードして翻訳。
- 画像・図表付きの資料を「PDF → 画像 → 翻訳」ステップで多言語資料を作成。
4. データ抽出と AI 分析
- 抽出したテキストを ChatGPT で要約やキーワード抽出。
- 画像抽出した図を Midjourney で再生成し、レポートに高品質画像を挿入。
まとめ
PDF からテキスト・画像・表を無料で抽出するには、いくつかの手軽に始められるツールが揃っています。
- PDFsam Basic と PDF‑XChange Editor でデスクトップアプリを扱う
- ILovePDF, Smallpdf, Soda PDF などオンラインサービスで手軽に一括処理
- OCR を使えばスキャン文書も文字化可能
ステップバイステップで操作を覚えるだけで、業務の効率化は期待できるはずです。初めは 1 PDF を試してみて、自分の書類の特徴(文字サイズ、表の構造、画像の有無)に合わせてツールを選び、最適なワークフローを構築してみましょう。
PDF から必要な情報を取り出し、再利用できる環境が整えば「情報の壁」を取り払えます。ぜひ、今日から無料ツールを使って、PDF 抽出のスキルを身につけてみてください。


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