始めに
PDFの「黒塗り」は、個人情報や機密情報を保護するために欠かせない対策です。
取引先の送付リクエストや法的要件で「個人情報を開示できない」といったケースが増える中、
誰でも簡単に、しかも安全に黒塗り処理を行えるツール選びは重要です。
この記事では、Adobe Acrobatとさまざまなオンラインツールを使い分ける方法を、
ステップバイステップで紹介します。
PDF黒塗り処理の基本
黒塗り(Blackout)とは、PDF内の特定の部分を透明にせずに真っ黒(または不透明)に塗りつぶす処理です。
- 対象情報:氏名・住所・電話番号・ID番号や機密写真・図面など
- 目的:情報漏洩を防止し、法的・社内規定に適合させる
- 注意点:一度黒塗りした画像は復元できないため、必ずバックアップを取る
黒塗りと類似する「PDFの保護」には、パスワード設定やコピー禁止などがありますが、本記事では内容を消す「黒塗り」に限定します。
Adobe Acrobatでの黒塗り手順
Adobe Acrobat DC(Standard / Pro)は、公式機能として黒塗りツールを実装しています。
以下はPro版の場合の代表的な手順です。
1. PDFを開く
Ctrl + O で対象PDFを読み込みます。
ファイルが画像のみの場合は、Acrobat が OCR を自動で実行してから編集可能になります(Pro版のみ)。
2. 「保護」タブを開く
リボンのメニューから 保護 → コンテンツ → 黒塗り を選択します。
「黒塗り」ダイアログが表示され、範囲選択モードをセットできます。
3. 黒塗り範囲を指定
- 矩形:四角形で選択
- ラジオ:円形で選択
- フリーフォーム:自由曲線で選択
- スキャン画像の自動検出:Acrobat によるオブジェクト認識(推奨)
範囲をドラッグすると、即座に真っ黒のボックスが貼られ、「プレビュー」 ボタンで内容が残らないか確認できます。
4. 必要なら複数ページに適用
「すべてのページに適用」オプションで、一括処理が可能です。
注意:PDFに多くのページがある場合は、設定を確認しておくと便利です。
5. ファイルを保存
Ctrl + S で上書き保存、もしくは Ctrl + Shift + S で別名保存。
バックアップコピーは必ず別フォルダに保管しておきましょう。
Pro版との違い
- Standard版 でも黒塗りは可能ですが、OCR機能が無効のため、スキャン画像は編集できません。
- Pro版 ではPDF内のテキストや画像を認識し、対象情報のみをピンポイントで黒塗りできます。
オンラインツールとの比較
オンラインツールは、Acrobatの購入が不要で手軽に利用できる反面、セキュリティと機能制限の面で注意が必要です。
| 項目 | Adobe Acrobat | オンラインツール |
|---|---|---|
| 使い方 | デスクトップアプリ | Webブラウザ |
| 導入コスト | 1年10,000円〜 | 無料〜数千円 |
| 機能 | OCR + AI検出 + 大容量 | 画像貼り付け + 手動選択 |
| セキュリティ | ファイルはローカル | 送信先サーバーにアップロード |
| ファイルサイズ | 無制限 | 50〜100 MB程度が多い |
| プライバシー | データはローカル | サーバーに保存・解析されるリスク |
| 対応OS | Windows / macOS | ほとんどのOS(ブラウザ) |
よく使われるオンラインツールと特徴
-
PDF-XChange Editor (オンライン版)
- 無料版で黒塗り機能あり
- ファイルサイズが大きいと処理が重くなる
-
DocFly(旧PDF Pro)
- 使いやすいインターフェース
- 無料枠は500 ページ/月
-
Smallpdf
- ブラウザベース、マウスでドラッグ&ドロップ
- ログイン無しで10 回/月まで無料
-
Sejda
- 高度なオプション設定あり(例:自動検索・削除)
- 無料版は5 回/日、最大PDF 50 MB
具体的な使い方(例:Sejda)
- ブラウザで sejda.com を開く
- 「黒塗り」オプションを選択
- PDF をアップロード
- 画面上で範囲をドラッグ(自動検出機能も利用可)
- 「適用」をクリック
- ダウンロードボタンで保存
セキュリティとプライバシーの考慮点
- ローカル編集が可能なツールが安全:Acrobatはファイルをローカルで処理するため、外部サーバーに情報が送信されません。
- オンラインツールは暗号化を確認:SSL/TLS(https)で暗号化されているか、アップロード直後にファイルが削除されるかを確認しましょう。
- 企業の場合は社内サーバーの導入:プライバシー規定が厳しい場合、企業内にPDF処理サーバーを置き、内部ネットワークのみで完結させる手段もあります。
- バックアップは別メディアに:オンラインツールで黒塗りを行った場合、元ファイルを失わないよう、別の暗号化USBやクラウドストレージに保管することを推奨。
どちらを選ぶべきか
| 使い方 | 推奨ツール |
|---|---|
| 単発、個人で少数の文書 | オンラインツール(無料) |
| 定期的に大量のPDFを扱う | Adobe Acrobat(有料) |
| セキュリティ・規制重視 | Adobe Acrobat、または社内サーバー |
| 高精度なAI検出が必要 | Adobe Acrobat Pro、Sejda Pro |
具体例
- フリーランスの税理士:Smallpdf を利用して、顧客情報を毎回黒塗り。
- 中規模事業部:Adobe Acrobat Pro を導入し、部署全体で統一した黒塗りポリシーを実装。
- 法務部門:高い機密性を保つため、社内専用 PDFサーバーに Sejda Pro を配置し、ログ管理と完全バックアップを実施。
まとめ
PDFの黒塗りは情報漏洩対策として不可欠ですが、どのツールを選ぶかで作業効率と安全性が大きく変わります。
- Adobe Acrobat は高機能・ローカル処理で最も安全・確実。
- オンラインツール は手軽さと無料性が魅力だが、ファイルサイズ制限やプライバシーリスクがある。
用途・予算・規定に合わせて、使い分けを行うことで「もっと簡単に、もっと安全に」黒塗り処理が実現できます。
以上を踏まえて、まずは無料のオンラインツールで試し、作業フローが確立したら必要に応じて Adobe Acrobat の導入を検討するとよいでしょう。


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