イントロダクション
PDFを「9分割」して印刷することは、レポートの分割、試験の配布資料、または小冊子作りなど多様な用途で求められます。
ただし、一度に大量のファイルを扱うと時間が掛かり、印刷ジョブが途切れ続けるとフラストレーションが溜まります。
本記事では、PDFを9分割しながら印刷する際の高効率なワークフローと失敗しないコツを、具体的なツール例とともに解説します。
1. PDF 9分割に必要な前提知識
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分割単位の定義
- 「ページ数で分割」か「サイズで分割」かを決めましょう。
- 例:24ページのPDFを4ページずつに分割して6本のファイルにする。
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印刷設定の統一
- 用紙サイズ、向き、余白、余白印刷の有無等、全ファイルで統一すると印刷ミスが減ります。
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印刷ジョブ管理
- 1枚ずつ印刷すると時間が掛かるので、プリンタキューで順次処理できるようにしておくと便利です。
2. ツールの選定:有料 vs 無料
| ツール | 特徴 | 価格 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| Adobe Acrobat DC | PDF編集の業界標準。分割・結合・ページ挿入が直感的。 | 1年サブスクリプション | 大規模な業務、長期利用 |
| PDFsam Basic | フリーでオープンソース。分割・結合・抽出が可能。 | 無料 | 一般的な分割・結合 |
| qpdf | コマンドラインツール。スクリプト化が容易。 | 無料 | バッチ処理、サーバー上での自動化 |
| オンラインサービス(Smallpdf, ILovePDF) | ブラウザのみ。即座に利用可能。 | 無料/有料プラン | 小規模作業、機材がない場合 |
コツ
大量ファイルや機密性の高い資料は、ローカルツール(PDFsam, qpdf)を選び、クラウドサービスは避けましょう。
3. 手順A:Adobe Acrobatでの9分割
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ファイルを開く
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ファイル→開く→ 対象PDFを選択。
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ページの抽出
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ページツール→抽出 -
ページ番号に1-4, 5-8, 9-12, …などをカンマ区切りで入力。 -
抽出したページを新規ファイルにをチェックし、保存フォルダを指定。
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自動化したい場合
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ファイル→自動化→アクションウィザード - 「抽出」を追加し、ページ範囲をループさせて複数ファイル生成。
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保存
- ファイル名に
part_01.pdf,part_02.pdfなど番号を付与して保存。
- ファイル名に
ポイント
メニュー → ファイル → プリントで「プリンタを選択」→「Adobe PDF」を指定すると、PDFとして再出力も可能。- 分割時に「ページ数を保持」し、ページ順序が混乱しないように確認します。
4. 手順B:無料ツール PDFsam Basic での9分割
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PDFsam Basic をインストール
- 公式サイト(https://pdfsam.org)からインストール。
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“Split” モジュールを起動
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モジュール→Split - 「ページ数で分割」を選択し、
ページごとに 4 ページ分割を設定。
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範囲設定
- 分割範囲を
1-24など指定(24ページ PDF の場合)。
- 分割範囲を
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保存先
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Advanced settingsでファイル名に連番を追加。
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実行
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Runを押すと複数 PDF が同時に生成。
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ヒント
Bulk splitを使えば複数ファイルを一括処理可能。- 出力フォルダで名前付け規則を統一すると、後からの検索が楽になります。
5. 印刷時のレイアウト調整
5.1 用紙サイズ・向きの設定
- A4:1ページをA4に収める設定。
- A5:A4を半分に折りたたんで印刷。
操作
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印刷設定→ページサイズと処理→ページのスケールを実際のサイズに。 - 余白は「1cm」程度に設定して、切り落としを防止。
5.2 連続印刷のスムーズ化
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プリンターサーバーを利用
- スマートフォンやPCから複数ジョブを送信。
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印刷キューの優先度
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プリンタ→プリンタプロパティ→詳細設定で優先度を高く設定。
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5.3 マージン印刷を抑制
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ページ設定でマージンなしを選択することで余白が発生しない。 - 印刷範囲は「すべてのページ」→「1ページ毎に1枚」を選ぶときちんと管理できます。
6. 作業の自動化スクリプト(qpdf + Bash)
環境
- Linux / macOS で Bash、Windows では PowerShell で qpdf を動作させます。
#!/usr/bin/env bash
# PDF を 4 ページずつに分割して印刷
INPUT="input.pdf"
OUTPUT_DIR="./parts"
mkdir -p "$OUTPUT_DIR"
# 1. PDF分割
qpdf "$INPUT" --split-pages "$OUTPUT_DIR/part_%.pdf"
# 2. 連続印刷処理(CUPSに接続)
for file in "$OUTPUT_DIR"/part_*.pdf; do
lp -o media=A4 -o landscape "$file"
done
- qpdf は「–split-pages」オプションでページごとにファイルを分けられます。
-
lpコマンドで CUPS プリンタへ送信。 - スクリプトを cron で定期実行すると、サーバー上で自動印刷が可能です。
7. 作業時のコツと注意点
| シチュエーション | コツ | 注意 |
|---|---|---|
| 大量PDFを扱う | バッチファイルで一括処理 | ファイル名・フォルダ名に日付や番号を入れる |
| 機密情報が含まれる | ローカル環境でのみ処理 | クラウドサービスは避ける |
| プリンタの紙詰まりが多い | 余白を0に設定しなくても、実際の印刷で確認 | 実機テストで余白を確保 |
| 同時に複数人で作業 | 共有ドライブに“未処理”“処理中”“完了”フォルダを作成 | 変更権限を管理 |
| 定期的な印刷業務 | スクリプト化し cron/PowerShellジョブ設定 | エラーログを必ず確認 |
8. まとめ
- 分割前に目的と分割単位を明確にし、プリンタ設定は統一。
- Adobe Acrobat DCは有料だが高度機能を持ち、PDFsam Basicは無償で十分な基本機能。
- 印刷時はページ設定と余白に注意し、連続印刷キューで作業をスムーズ化。
- 自動化スクリプト(qpdf + Bash/PowerShell)を使えば繰り返し作業はほぼゼロに。
- 「失敗しないコツ」はファイル名・フォルダ名を統一し、実機でテストしてから本番へ。
これらを実践すれば、PDFを9分割して印刷する作業は、効率的でミスのないプロセスへと変わります。ぜひ、毎回の印刷業務に取り入れてみてください。


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