PDFを90度回転させるには、何といっても**「ページ自体の向きを変える」**ことが重要です。
Mac でなら Preview が標準装備されており、数クリックで完結できます。
Windows では Adobe Reader も便利ですが、Edge の「ページ」機能や、PowerShell でのシェルスクリプトを利用すれば、無限に近い自由度が得られます。
この記事では、両OSともで「90度の一回転」を行う具体的な操作手順を、図解とともに詳しく紹介します。PDFファイルがぐるぐる回転して読みにくくなったときに、ぜひ試してみてください。
1. 90度回転の前提知識
1‑1. 「回転」とは何か
- ページを90°右回転:1ページ目を縦長から横長に変換。
- ページ範囲の選択:1ページだけ、2ページ目以降など、対象を限定出来ることが重要。
- 印刷時の向き:回転は閲覧側でのみ反映され、印刷設定で再度向きを調整しない限り、元の向きに戻ってしまう場合もあります。
1‑2. 失敗しやすいポイント
- ファイルのバージョン互換性:PDF 1.7 以降の版では「page rotation」タグが保存されます。
- 右側・左側回転を誤って選択すると、逆の向きになってしまいます。
- 回転しすぎると文字が斜めに表示され、読み取りが困難になるケースもあるため、90°単位で操作するようにしましょう。
2. Mac で PDF を90度回転させる – Preview の手順
2‑1. Preview の基本操作
-
PDF を開く
- ファイルを選択 → 右クリック → 「開く」>「プレビュー」
-
ページサムネイルを表示
- 「表示」メニュー → 「サムネイル」をオン
-
回転したいページを選択
- サムネイルをクリック → 右クリック → 「ページを90°右回転」
ポイント:
- Ctrl + ⇧ + ⟳ で右回転、 Ctrl + ⇧ + ⟲ で左回転。
- 複数ページを一括選択できるので、Shift+クリックで範囲選択してから右回転。
2‑2. 全ページを一括回転
- サムネイル一覧で ⌘ + A を押し全ページ選択。
- 右クリック → 「ページを90°右回転」。
2‑3. 回転を保存
- 「ファイル」→「⟳」(上書き)または「ファイル」→「別名で保存」
- 元ファイルを残したい場合は「別名で保存」で別名を付けると安全です。
2‑4. スクリプトで自動化(Optional)
#!/bin/bash
# すべてのPDFを90°右回転
for pdf in *.pdf; do
/Applications/Preview.app/Contents/MacOS/com.apple.Preview -S "$pdf" -o "rotated_$pdf"
done
上記はAppleScriptと組み合わせるとシェルだけで完結できます。
3. Windows で PDF を90度回転させる – Adobe Reader の手順
3‑1. Adobe Acrobat Reader DC
- PDF を開く → 右側のツールバー**「ページ」**を選択。
- 「ページを回転」ボタン(時計回り・反時計回り)を押す。
- 「右回転」 を選択 → 90°右に回転。
- 「保存」 で上書き保存。
Adobe Reader には「ページ範囲指定」機能が無いため、Acrobat Pro が必要なケースがあります。
ただし、**「ページを回転」→「表示上のみ」で回転した状態を確認のうえ、「保存」**を選択し全体へ反映させることが可能です。
3‑2. Microsoft Edge(Windows 10/11)
- Edge で PDF を開く。
- 右上の**…(メニュー)**をクリック → **「ページを回転」**選択。
- **「90°」**をタップ → 右回転。
Edge の回転は閲覧時のみで、印刷設定で再度回転が必要です。
4. Windows でのコマンドライン回転 – Ghostscript
コマンドラインで大量ファイルを一括処理したいときは Ghostscript が便利です。
以下は90°右回転を実行するサンプルです。
@echo off
set gs=C:\Program Files\gs\gs9.54.0\bin\gswin64c.exe
for %%f in (*.pdf) do (
"%gs%" -dNOPAUSE -dBATCH -sDEVICE=pdfwrite ^
-dPDFSETTINGS=/prepress ^
-c "<< /PageOffset [0 0] /PageRotation 90 >> setpagedevice" ^
-sOutputFile=rotated_%%~nf.pdf "%%f"
)
echo 完了
4‑1. コマンド解説
-
-cで PageRotation 90 を指定。 -
-sOutputFileで出力ファイル名を設定。 - 元ファイルは残り、回転済みのコピーを作成。
注意:Ghostscript を入手している必要があります。公式サイトからダウンロードしてください。
5. macOS でコマンドラインを活用 – qpdf
macOS でもqpdfを使えばスクリプトで回転が可能です。
5‑1. インストール
brew install qpdf
5‑2. 90°右回転の実行
for pdf in *.pdf; do
qpdf "$pdf" --rotate=+90z --output "rotated_$pdf"
done
-
+90zは 90°右回転 を意味します。 -
rotated_$pdfで別名保存。
6. 失敗事例と対処法
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 回転した後、テキストが斜めになった | ページの「Rotate」タグではなく、PDF 内のテキストを反転してしまった | PDF編集専用ソフトで「ページの向きだけ変える」オプションを選ぶ。 |
| 一部のPDFのみ回転されない | 「PDF/A」形式では制約がかかっている | qpdf で -linearize を付けずに回転する、または Adobe Acrobat の「編集」モードを使う。 |
| 印刷時にページが逆になる | 右回転と印刷設定が一致していない | 印刷ダイアログで「ページを90°右回転」にチェックを入れる。 |
| PDF を開こうとすると ファイルが壊れた | 回転処理中に I/O エラー が発生 | 元ファイルをバックアップし、別名で保存してから操作を行う。 |
7. よくある質問(FAQ)
Q1. PDF を90°回転させてもページのレイアウトは変わらないの?
A1. ページの向きだけが変わり、座標系(テキストや画像の位置)はそのままです。回転されたページは再配置されますが、ページ内の要素が斜めになることはありません。
Q2. 逆回転(左回転)も同じ手順でやる?
A2. 右回転の代わりに -90°(または -c "<< /PageRotation -90 >> setpagedevice")で指定すれば左回転です。
Q3. 複数ページを選択して一括で回転できる Mac の方法は?
A3. Preview のサムネイル一覧で Shift+クリックで範囲選択後、右クリック → 「90°右回転」。
Q4. 何冊ものPDFを一括で回転したい場合、どの方法が一番軽量?
A4. Ghostscript(Linux/Windows)や qpdf(macOS)などのコマンドラインツールが高速でメモリ効率も良く、バッチ処理が簡単です。
8. まとめ
- Mac で手軽に – Preview の右クリックメニューやキーボードショートカットで90°回転が可能。
- Windows で便利に – Adobe Reader/Edgeで即座に回転する一方、コマンドラインなら Ghostscript で大量処理が実現。
- スクリプトなら – macOS は qpdf、Windows は Ghostscript がオススメ。
- 重要なのは**「ページ番号」「範囲」「保存先」の確認**です。
この記事を参考に、どのOSでも必要なPDFをスピーディに90°回転させましょう!


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